転移の心理学

  • みすず書房 (2000年10月10日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784622049876

感想・レビュー・書評

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  • これはよく分からないなりに、スゴい本だ!

    「転移」とは、患者(クライアント)が分析医(カウンセラー/コーチ)に、自分の無意識などを「投影」することから始まる複雑な関係性みたいなもの。

    この本は、プロの臨床分析医に対して、「転移」を論じる専門書で、かなり難解。

    ということなのだが、ユングは、「転移」を、錬金術の「哲学者の薔薇園」という10枚の図版にもとづき説明していて、これが、「転移とはなにか」という本題をひとまず脇において読むと、ものすごく面白い。

    簡単に言うと、「男性性」と「女性性」の結合、対立するものの結合に関する錬金術的なプロセス。
    これが、まさにU理論というか、ヒーローズ・ジャーニーというか、十牛図というか、という感じ。

    本当に、洋の東西に関わらず、真にクリエイティブなプロセスは、Uプロセス的なものになる、という確信を新たにした。

    つまり、対立するもののダイナミックな統合、「全体性」の回復、ということなんですね。

    素晴らしい!!!

    一方、これが「転移」とどう関係しているか、というのは結局のところ、よく分からない。

    多分、患者と医者との関係、治療の可能性は、こういう相互的なクリエイティブ・プロセスのなかにある、ということが言いたいんだろうけど、訳者の解説でもややクエスチョンがでているとおり、今ひとつ、強引な感じは残る。

    「男性性」と「女性性」の統合の話しと割り切って、「転移」についてもヒントを得られればいい、というくらいのスタンスで読むといいかな。

  • 難しいところは飛ばし読み。それでも、参考になる部分があった。心理療法における「転移」と「逆転移」について、知識を得ることができる。カウンセラー的な立場で人と関わる人は、こういうことを知っておいた方がいい、と思えることが書いてあった。

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著者プロフィール

1875-1961。1875年7月26日、スイス北部のケスヴィルにて生まれる。バーゼル大学卒業後、ブルクヘルツリ病院のブロイラーのもとで言語連想実験の研究に従事。その後、フロイトの精神分析運動に参加し、フロイトの後継者と目されるほど、その中心人物として精力的に活動した。1913年にフロイトと決別。その後は独自の心理学の構築に専心し、「コンプレクス」「元型」「集合的無意識」「無意識の補償機能」「内向/外向」「個性化」などの独創的な理論を提唱していった。1961年6月6日、死去。20世紀最大の心理学者の一人。

「2019年 『分析心理学セミナー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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