わたしの非暴力〈1〉 (みすずライブラリー)

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622050179

感想・レビュー・書評

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  • これも長い間、積ん読状態にあった本ですね。

    1920〜1948年に新聞などにかかれた政治的な文章の2巻のアンソロジーです。

    これは、その1巻目で1920〜1940年の分です。

    ガンジーの思想はいろいろな本で読めるのだけど、現実の世界に対してどう考えていたのか、具体的にどういう行動をとっていたのか、がよく分かりますね。

    ここで一貫して語られていることは、非暴力は、臆病者が反撃できない、死ぬのが怖いので行うものでなく、パワフルで、勇敢なものであるということ。臆病者の非暴力よりは、不条理な暴力に対して、力を使って真実のために戦うほうがよい。だが、本当の非暴力は、そういう戦いよりももっとパワフルなものである、ということ。

    もうそれしか書いていないといってもいいくらい。

    じゃあ、そのパワフルな非暴力って、どういう感じかというと、敵に対して、わたしはあなたの暴力には屈しませんよ、あなたの決めたルールはわたしは従いません、わたしを殺したいなら、どうぞ殺しなさい、と胸をはだける、みたいな感じですね。

    これを口でいうだけでなくて、本当にインドの独立に向けての戦いで実行しているんですね。イギリス軍が、「その線から入るな」とか言っても、無視して、怖れもなく自然に線を超える。イギリス軍が発砲をして、第1列が撃たれる。が、なにもないかのように第2列目が軽々と線を超えて進み出る。イギリス軍は発砲を続ける。が、また3列目がと続き、イギリス軍のほうが、怖くなって、逃げ出す。みたいな戦いなんですね。非暴力・不服従って。人間の良心に対して、体をはって、訴えかけることで、暴力を終息させるんですね。

    こんなことが歴史上にあったんだとただただ驚愕です。

    そう、時代は、第1次大戦後から、第2次大戦、ヒットラーがヨーロッパで戦争を始めているときに、非暴力を貫くのって、ほんとすごいです。

    精神世界の話しではなくて、リアルな戦争、暴力のなかで、非暴力を政治として実践すること。やっぱ、ガンジーって、スゴすぎるです。

    そういえば、個人的には、「非暴力」、「暴力がない」というのは、暴力の対概念なので、どうしてもう少しポジティブな表現をしなかったのかなと思っていたのですが、これに対する明確なお答えもありました。あの世では、暴力も非暴力も存在しない一なる世界である。だが、この世においては、暴力があるので、非暴力が存在する。ので、二項対立的に捉えるしかない。だから、この世では非暴力なんだそうだ。

    この答えは、すごく腑に落ちました。

    ちなみに、ガンジーの自伝は、1920年で終わっていて、政治的な活動が増えるまえで終わっている。ガンジーにとって大切なのは、真実を生きる、人生のなかで実践するということで、政治活動的なのは、その精神がただ形として現われているだけなので、自伝として書くほどのことでもない、ということなんでしょうね。で、この「わたしの非暴力」は、まさに1920年から始まっているので、ガンジーの自伝の続きとしても読むことができます。

  • 非暴力は理想にすぎない
    しかし理性ある人間は限りなく近づく努力をしなければならない
    いつかは叶うだろうと実感する

  • [ 内容 ]
    1948年1月30日夕刻、凶弾に斃れた「マハトマ=偉大な魂」は、複数の民族主義と言語、原理主義的行動にはしりがちな多くの宗教が入り乱れるインドにあって、あくまでも「非暴力」で祖国をイギリスから独立させ、統一しようとした。
    その79年の生涯を賭けて。
    その理想主義を嗤うものもいた。
    しかしチャーチルは、大英帝国の版図が音を立てて崩壊してゆくのを目撃する。
    「たった一人の粗末な白衣をまとった小男にイギリスが敗れた」。
    本巻には1920年から1940年までのガンディーの言葉による行脚を収める。
    全2巻。

    [ 目次 ]
    剣の教義
    わたしには一歩前進でけっこう
    われらの隣人たち
    辺境地方の友たち
    兵士たち
    なぜわたしは前大戦に協力したか
    わが道
    西洋についてはどうか
    アメリカの友らに
    軍事義務教練〔ほか〕

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • マハトマ・ガンディーの思想を知るなら、
    まずはこの本。

    非暴力・抵抗主義の凄まじさが、
    分かります。

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著者プロフィール

1869-1948。モーハンダス・カラムチャンド・ガンディーはインド西海岸の小藩王国の宰相の家に生れる。19歳でイギリスに留学、3年後弁護士の資格をえて帰国・開業したが、生来の内気のために成功しなかった。1893年に商社の顧問弁護士として南アフリカに渡ったが、上陸後まもなく白人の言語道断の人種差別を体験、これが決定的な人生の転機となった。
1915年にインドに帰り、南アフリカでの貴重な体験を生かして、農民争議やエ場ストライキを有利に指導して注目された。1919年にインドにおける最初の大衆非協力運動を開始した。1922年に民衆の不祥事件を理由にこの運動を中止、自らも投獄されたが、彼にあってはあくまでも手段(非暴力)が目的に先行しなければならなかった。1930年にガンディーの「塩の行進」をのろしとして、インドは国をあげて第二次非協力運動に突入、1942年には、「インド撤退要求」を合言葉に激しい対英抗争を展開した。けれども念願した「一つのインド」は実現せず、1947年インドとパキスタンは分離独立した。1948年、狂信的なヒンドゥー教徒の凶弾によって生涯の幕をとじた。

「2021年 『わたしの非暴力【新装合本】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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