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- Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622050216
作品紹介・あらすじ
人が近代について考える時、ルソーの存在はつねに新しく、つねに重要な「問題」として発現してくる。安易な一般化を許さぬ、逆説にみちた近代思想の父・ルソーの生き生きとした「精神の運動」の内部へ深く沈潜することにより、独自・鮮明なルソー像を描出した、カッシーラーによるルソー解読のための先駆的・基本的著作。
感想・レビュー・書評
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感情の重要性。しかし単なる感情の強調ではなくその先の意志の重要性の認識。
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エルンスト・カッシーラーによる、ルソー思想の根本を探求する試み。叙述それ自体はさほど長くないが、ルソーの自然主義的傾向(人間の「自然」を重んじる態度)と理想主義的傾向(革新的社会建設の呼びかけ)を統一的な視座で理解することができるか、できるとすればいかなる視座か、これがルソー問題の根本である。カッシーラーは、カントの実践哲学に引き付けつつ、ルソーが根本的に人間の「意志」にこそ全ての可能性を見いだしたのだとする。時に『エミール』のルソーと『社会契約論』のルソーの分裂が語られるが、カッシーラーのこうした解明に基づけば、それは解消不可能な分裂ではないと理解できる。感情と理性を自発的意志のもとに統合することこそ、ルソーが提起した根本的問題であったと言えよう。その意味で、ルソー問題はいまだ立ち返られるべき問題として在る。そうしたことを、この著作は教えてくれる。
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