- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622050346
感想・レビュー・書評
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ウィーンのユダヤ人として爛熟した世紀の変わり目を生きて、歴史上のビッグネームと連続した社会でその一部とは実際に交流して成長したツヴァイク。ヨーロッパのコスモポリタンとして築いた世界が戦争によって崩れていくのを手も出せず見守るしかないやるせなさ、第一次世界大戦で全てが変わってしまった社会への哀悼が溢れ出る。1914/7/28サラエボ事件のリアルなオーストリア人の受け止め方は他では知ることがなかったのでとても新鮮に感じた。
読み易い翻訳の素晴らしさも特筆に値する。 -
意地の悪い言い方をすれば、ひたすら「昔は良かった」という内容だが、オーストリア系ユダヤ人として、第一次大戦で祖国が凋落し、その後はナチス・ドイツに蹂躙され、自身も迫害を逃れて亡命するような人生であれば、昔が懐かしく、今に絶望もするだろう。ツヴァイクは、第二次大戦の行く末を見届ける前に服毒自殺している。
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Grand Budapest Hotelが切り取った、抗えぬうねりに圧し潰される知性と品格のきらめき。胸に抱える苦さが毒に変わり、やがて生を全うできなくなるまで、記録し問うことの意味がここにある。
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ウィーン世紀末文化がユダヤ人たちによって形作られていたことを初めて認識した。この時代の学生たちが、なんと早熟で知的に豊かな生活を送っていたのかも。
第一次世界大戦に突入する欧州の様子も印象的。誰も戦争は起こらないと思っていた、これまで同様にギリギリのところで踏みとどまれると思っていたのに、現実になってしまった、という描写は、今の世界にも通じるようで恐ろしい。 -
歴史
思索 -
抑圧的な学校生活に反発し、芸術に熱狂していった青春時代。
著名人になってもますます情熱的で、交友関係も広く、物凄い行動派。
ツヴァイクが見ていたのは、ヨーロッパの最も豊潤な一面だったのだろうな。
それと戦争に向かう現実とは表裏のように思える。
ユダヤ人であり、ヨーロッパ人であり、世界市民であるという自らの位置付けは、ツヴァイクの愛する自由と平和の形そのものだ。
でも彼が信じたヨーロッパの一致は、全く正反対の悪い意味においてなされることになる。
Ⅱへ続く。 -
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かなり分量のある本だけど、なんとか2週間で読破!続いて後編もしっかりと読んでいきたい。