- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622071198
作品紹介・あらすじ
20世紀ソ連科学界を代表する物理学者レフ・ランダウの名は、世界的名著とされるリフシッツとの共著『理論物理学教程』により日本でもよく知られている。また、1962年、凍結した路面での輪禍により重体に陥り死の淵をさまよった彼が、国際的医師団の懸命の治療によって一命をとりとめるや、"モスクワの奇蹟"として全世界に報道され、その回復を鼓舞するかのように同年ノーベル賞が授けられたことは、いまも人々の記憶に残っている。だが、この事故の四半世紀前にランダウが、ほぼ確実に抹殺されるはずだったもう一つの危機を生き延びてきたことを知る人は少ないだろう。1938年4月27日深夜、彼は内務人民委員部によって突如逮捕され、まる1年を獄窓に過ごさなければならなかったのである。本書は、ソ連崩壊にともなうグラスノスチによって解禁された、ランダウ逮捕に関するKGB(秘密警察)資料を中心に、関連論考を集成し、ランダウの科学思想と彼の知られざる政治的叛逆の事績を明らかにするものである。
感想・レビュー・書評
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ランダウ・リフシッツ「場の古典論」をミーハーで購入して、1ページたりとも読んでいない私にとって、本書はランダウの人間像を知る良き1冊となった。前半は、ランダウの生い立ちから物理の専門的業績などの記述が多く、やはりすごい物理学者だったのだなあ、と漠然と思っていた。ボーア、ハイゼンベルク、シュレディンガー、ディラックなどが第一級の物理学者であり、アインシュタインは二分の一級であるなんていう一文を読むと、やはりミーハーの私はぞくぞくする。しかし、後半に入って様子がおかしいことに気付く。前半でも逮捕歴があるとの記述はあるが、いかほどのものかは不明である。ところが、後半ランダウ自身の証言事実を読むと、そこまでだったのかと驚かされる。時代がそうさせたのか、ランダウ自身の性格なのか。さらには、女性との関係については、さらっとしか記述がないが、なかなか問題が多かったようである。山本氏の訳者あとがきも興味深い。山本氏自身の著作は手を出さずじまいなのだが、一度しっかり読んでみたい。「場の古典論」も数式飛ばし読みでもしてみたくなって、書棚の奥から引っ張り出しておいた。自動車事故についての記述はほとんどなかったように思うが、実際にはどうだったのだろう。ただの事故だったのかどうか。図書館で偶然見つけて読んでみました。
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140920 中央図書館
物理学の全領域に渡って総合的なテキストを世に残したといえば、ファインマンとランダウが双璧である。
ちょうど、一緒に借り出した「定理が生まれる」がランダウ減衰を扱っていたので、ちょっとした偶然が面白かった。
<blockquote>彼は、理論物理学のすべての分野において得られている基本的な結果のあらかたを自分の手で再現し深く考え抜いていた。(p89)</blockquote> -
超自然現象について「恐ろしげな雪男よりも黒猫の影響を信じる方が、より根拠のあることだと思います。というのも猫は現実のものですから。」思わずワロタ。