秋の四重奏 (Lettres)

  • みすず書房
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本棚登録 : 80
感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622072164

感想・レビュー・書評

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  • 同じ職場で働く定年間近の4人の生活が、まさに四重奏のように描かれる。
    高齢者(人間?)の偏屈さ、善行へのとらわれ、起こりっぽさなどよく理解してるから、ちょっぴり辛辣にかけるのかもしれない。


  • ロンドン、全員ひとり暮らしの男女が四人。共に、同じ会社に勤め、定年間近の年齢である。まず女性二人が退職する。そのうち、マーシャがやがて亡くなり、レティは老後の生活になんとか順応しようと努める。男たち、エドウィンとノーマンはまだ勤めているが、まもなく会社を去ることになるだろう。こうした四人の平凡な日常風景―職場のやりとりや昼食、互いのささやかな思いやりやすれ違い、ヴァカンスやクリスマスの計画、遺産相続などが淡々と描かれるだけで、何であれ、劇的な事件には発展しない。マーシャの死さえも日常生活の中の一齣にすぎない。これら凡庸な四人のありふれた「老い」が、この味わい深い上質のユーモアに満ちた「コメディ」の核心をなしている。われわれはここで、静かに奏でられた、ふつうの現代人の、孤独な「生と死」の意味あるいは無意味に向き合うことになる。温厚かつ辛辣な作風によって、「現代のオースティン」という声価を得た英国作家の代表作。

    『偏愛読書トライアングル』(瀧井朝世)で紹介されていたので、手に取ってみた。
    海外小説は、登場人物の名前を覚えるのが苦手で普段は読まないのだが、この作品は登場人物が少ないので、その点読みやすかった。

    大きな事件は起こらないけれど、“老人”と呼ばれる年齢になった彼らの関心ごとが、恋愛や人間関係だということに、新しい世界を見た気がした。
    年を取っても人間の根本は変わらない。

  • とても、おもしろかった。
    人物描写がいちいち腑に落ちる感じで共感しまくり。ただ、みんな経済的不安はないようなので、そこはうらやましいw
    なんか最近適当に読んでみた本がことごとく微妙に老後の不安を煽る系だったんだけど、これはマーシャ含めてうらやましい生き方だなあ、と。

  • この間読んで最高に面白かったピムの『よくできた女(ひと)』、
    その勢いで買うのを保留にしていた『幸せのグラス』も
    パッと購入。

    買ってきた本を片手で押さえながら(イメージです)
    図書館で借りてきたこの本を、先に読む!

    同じ会社に勤める定年間近の男女四人(全員一人暮らし)の話、
    と最初粗筋をみた時は、
    「…面白いのかな?」と多少不安がよぎったけれど、
    それは杞憂に終わりましたの。

    登場人物の中の特にレティの日常と悩みにどっと共感。

    身の回りを小奇麗にして、自分で作った決まりの中で
    満足して毎日を平穏に過ごしているんだけれど、
    ふとよぎる閉塞感やぼやぼやと感じる先行きの不安、
    「このままこんな感じかな、(しかもちょっと悪くなる予感もある)」
    と自分の人生が「ずっとつまらない」気が急にして悩んだり…
    こう言う気持ちって世代を問わず普遍的なものなのね。

    また、このレティの友達の
    自分の幸せ優先で、レティを裏切ったり、またある意味便利に使ったり、
    そしてそれを本人はほぼ無意識でやっていると言う描写が秀逸。

    『よくできた女(ひと)』でもそうだったのだけれど、
    キリスト教の色々について沢山出てくるんだけど、
    そこら辺が不勉強なもので、もしここも詳しかったら
    より楽しめるんだろうなと、そこは残念。

    そんな時代背景とか、宗教のこととか
    詳しい人が教えてくれる読書会があったら絶対参加したいものだ。

    だから今考えると、学校の授業って本当に貴重だったのだね。

  • 1970年代のイギリスが舞台。定年前後の一人暮らしをしている4人の男女が奏でる物語。退職すると今までしたいと思っていたいろいろなことをする時間ができる、読みたくても読めなかった本を読むことができるし・・・。さてどんな生活になるのでしょうか。

  • 数年越しでやっと読めた本。
    バーバラ・ピムは、「よくできた女」がすごく良かったので、本書も期待が高かったのだけど、まさに期待通りの本でした。
    四重奏、というタイトルがまさに巧い。
    決して、お互いに近づきすぎないような関係の四人。(定年間際の会社の同僚たち)

    淡々と、次々に起こる小さな出来事の積み重ね。
    そのなかで人は、自分の思ったとおりに進んだり、思わぬことに巻き込まれて、ぶつかりあって、生きていく。
    そういう当たり前の日常をまざまざと描いています。
    たとえ、独身でも、一人暮らしでも、(もちろんそうでなくても、)食事を食べなくてはならないし、夜は寝るし、家はあるし、親戚や友人が多少はいて、仕事して会話して、着替えて暮らしている。
    この世に在る、とはこういうことだな。

    マーシャの個性が強烈で(でもこういう人って確かにいる)、ほかの三人の影が薄い気もしたけど、それぞれの性格や暮らしぶりが細かに描かれていて、本当にこんな人たちと知り合いであるように読むことができた。

    ノーマンとマーシャの間の不思議な関係も気になった。
    でも故人の車庫が牛乳瓶だらけ、ガリガリに痩せて死んだ女の家には未開封の缶づめだらけ、ってちょっとしたホラーかもしれないね。
    マーシャがこういうひとだと、彼らが知ってたからまだいいものの。

  • [ 内容 ]
    ロンドン、全員ひとり暮らしの男女が四人。
    共に、同じ会社に勤め、定年間近の年齢である。
    まず女性二人が退職する。
    そのうち、マーシャがやがて亡くなり、レティは老後の生活になんとか順応しようと努める。
    男たち、エドウィンとノーマンはまだ勤めているが、まもなく会社を去ることになるだろう。
    こうした四人の平凡な日常風景―職場のやりとりや昼食、互いのささやかな思いやりやすれ違い、ヴァカンスやクリスマスの計画、遺産相続などが淡々と描かれるだけで、何であれ、劇的な事件には発展しない。
    マーシャの死さえも日常生活の中の一齣にすぎない。
    これら凡庸な四人のありふれた「老い」が、この味わい深い上質のユーモアに満ちた「コメディ」の核心をなしている。
    われわれはここで、静かに奏でられた、ふつうの現代人の、孤独な「生と死」の意味あるいは無意味に向き合うことになる。
    温厚かつ辛辣な作風によって、「現代のオースティン」という声価を得た英国作家の代表作。

    [ 目次 ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • いくつまで働いたのだろう。不思議な職場。持ち家があるのがいいのか悪いのか?人が思っているより自分は自分のことを年寄りとは考えない。

  • いわゆる若い人達が思う典型的な「年寄り」の4人組。適度な距離感で自立しており、読んでて穏かに楽しい本です。ただね、今の時代の年寄り予備軍から見ると、枯れすぎてますね。この人たちは60代初めの人達なわけで、こんなに自分が年老いていることを受け容れて泰然としてる人は、今は少ないのではないですか。それと暮らしがとても慎ましいのです。なんか理想的で、羨ましい。

  • なんていうことなくなにも起こらないけど、どきどきして読んでしまう。独身女性が私のようだ。

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