トラウマの声を聞く―共同体の記憶と歴史の未来

  • みすず書房
4.20
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622072188

作品紹介・あらすじ

語れば語るほど戦争の本質が見えなくなるのはなぜか。共同体に刻まれたトラウマ記憶への洞察を来たるべきエシックスに架橋する、9・11以降の歴史の解読法。

感想・レビュー・書評

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  •  精神分析はどうも性にあわなかったので、ずっと敬遠してきた。しかし、戦争と記憶/表象の問題を理論的に扱ううえでは、どうしても避けて通れない。「トラウマ」という言葉自体は「心の闇」にかかる通俗的な語りの中で濫用され、すっかり陳腐化してしまったが、その概念としての潜勢力を再認識させられた。
     
     ひとはまさに現在進行しつつあるおぞましいことを、まさにそうであるがゆえに認知することができず(麻痺)、幻想=物語の中でまどろむが、そのような幻想=物語の中に突如として嵌入する表象が人間の時間をこわばらせ、〈現在〉に引き戻し続ける(回帰)。
     「トラウマ的記憶」の作用をそのようなものとして捕らえるなら、日本社会にとっての「戦後」という時間それ自体を、「トラウマ的なもの」と捉え返すことさえできそうだ。さまざまな議論のヒントを頂戴した、折にふれて再読したい一冊である。

  • 烏兎の庭 第三部 書評 8.12.06
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/bunsho/duras.html

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