ラヴェル

  • みすず書房
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本棚登録 : 101
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622073321

作品紹介・あらすじ

「ボレロ」の作曲家モーリス・ラヴェルの晩年を生き生きと描く、まるで音楽みたいな小説。モーリアック賞に輝く最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 1時間30分

  • ラヴェル

  • 終始、冷然とした語り口で、悲しげな気だるさがゆっくりと、しかし早い展開で続いていく。著者は、ラヴェルの内面に上手く入り込んでいるように思える。最後の数ページでは虚無感が残った。

  • ジャンエシュノーズ「ラヴェル」http://www.msz.co.jp/book/detail/07332.html … 読んだ。ラヴェルの死ぬ前の10年は崩壊と偏狭と孤独の10年。以前読んだ音楽療法の本でもラヴェルはアルツハイマーを抱えつつボレロを作曲したという推測があったけどこの本でもそれに結びつくシーンが(つづく

    自分で演奏できなくなりピアニストに託したら勝手に編曲演奏されたりボレロを音楽性皆無のリズム曲と言いつつそれしか作れなくなったり。おもしろかったけど別の訳で読みたかった。一例だけど「一日千秋」の意味が違う。もし正しい意味で使っているとしても文脈ではそう読めない。酷い(おわり

  • 教会でマルセル・プルーストを埋葬するミサが行われた際、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が演奏されたという。

    作曲家モーリス・ラヴェルは、プルーストとほぼ同世代を生きた人だが、プルーストより4年遅く生まれ、15年遅く死んだ。

    ラヴェルの作品で有名なのは、「亡き王女のためのパヴァーヌ」より、やはり、「ボレロ」だろう。

    クロード・ルルーシュ製作監督の「愛と哀しみのボレロ」で流れるボレロを印象的に思い出す。

    著者のジャン・エシュノーズは1947年生まれのフランスの作家で、ゴンクール賞などの受賞歴がある。
    本書は、音楽に強い関心を抱いてきたエシュノーズが、自国の作曲家モーリス・ラヴェルの晩年を描き、モーリアック賞を受賞している。

    モーツアルトやベートーヴェン、ショパンなどのように、ラヴェルの生涯について、あまり知り得ていることがなかった。というよりも、作曲家自身に興味を覚えなかったというべきか。

    ラヴェルはとても背の低い小柄の人だったという。
    なんとなくそんなことにも驚きながらページをめくる。
    100p強の書物なのですぐに読めてしまうが、読んでいる間は、ラヴェルの生きた時代や、ラヴェルという個性的な人間の人生にどっぷりつかる。

    ラヴェルは渡米して演奏旅行を行ったが、その洋上での様子や、帰国してからの仲間との交流、死の5年前の交通事故から、死の直前の脳の手術のことなど、作曲家として成功をおさめたラヴェルの晩年をいきいきと描き、ラヴェルを身近に感じる一冊となっている。

  • どう考えても、おかしな日本語・・・
    でも読後に残る独特の余韻がなかなか消えない。

    訳者のあとがきを読んでこの奇妙な日本語訳は、原書を忠実に再現しているため、ということが分かった。
    音楽のような物語。
    訳者は詩人ということで、日本語の選び方がとても丁寧で美しい。だから、文法、正しい日本語という枠を超えてでも心を打つことができるんだな、と納得。

  • ラヴェルの「ボレロ」というとフィギュアスケートを連想し、一昨年の村主章枝のSPを思い出す。その時のコーチはまだ佐藤信夫で、あのボレロの静かでいながらも荘厳な出だしに不釣り合いな村主の奇怪な振り付けに笑い、何度もビデオを再生した記憶が残っている。

    この小説も同様にユーモラスで、音楽でいう所のスタッカートが効いている。だから単調で無いリズミカルな歯切れの良さを生み、この本のアクセントとなる。

    本当は滑らかで美しく、哀しい物語風の伝記であるのだけれども、いちいち出てくるラヴェルの典型的A型であろう気質と、村主のボレロの出だしの滑稽さが重なり、脳内ではきっちり髪の毛を撫付けた親父がふりふりの衣装でボレロを演じるといった暴挙に出た。小蝿のようだ。

    でも素敵な小説です。

  •  とても好きだし、良いとは思うのだけど、読むと淋しくなる
     ラヴェルは悲しい

  • ラヴェルって気むずかしかったんだね!でもこれって音楽家とかだと結構当たり前な程度の気むずかしさなんだろうか。ウィトゲンシュタインの弟は傷痍兵かつ演奏家なのがビックリだよ

  •  「ボレロ」のラヴェルを滑稽さと皮肉と悲哀をこめて、愛すべき作曲家として表現されています。独特な文体、例えば演奏旅行やヴァカンスといった事実は「〜だった」と端的に書き、ラヴェルの神経質な、しかしコロコロと変わりやすい気分などを表すときには、彼の気持ちを代弁するようにテンポ良く描写しています。
     特に「ボレロ」の作曲秘話と解釈、そして「ボレロ」を作曲したあとの話が面白いと思います。「ボレロ」で意図せず喝采を得てしまったあとに、作曲における音楽について苦悩する。今でもこういうことに悩む創作者はいると思います。自分の創りたいものと世間の評価の違い、ちなみに私は「亡き王女のためのパヴァーヌ」のほうが好きですが。途中まではとっつきにくいかもしれませんが、タイトルにひかれた方は読んでみても良いかと思います。

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