ロスコ 芸術家のリアリティ

制作 : クリストファー・ロスコ  中林 和雄 
  • みすず書房
3.77
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本棚登録 : 45
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622074359

作品紹介・あらすじ

現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903‐70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術のの系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキスト-死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 芸術や創作、という言葉は私には恐れ多い。

    何かをつくることによって人の生と関わる者として、異なる時代や文化の創作物とどのように向き合えばいいのか、つまりは一個人として歴史と風土に対峙する姿勢を教わったような気がする。

    彼自身は、抽象画と呼ばれる自らの作品を、空前の試みとしてではなく、古代から連綿と反復されるある調和形成の一変奏、全く正統な継承であると捉えていた。そこにこそ、彼の絵画の奥深さの源泉がある。

  • ロスコが一時期絵筆を置いた時期に書かれた美術論集。ロスコが芸術とは何かを改めて考え自分のスタイルを確率していく過程が読みとれる。彼が重要視する触知性や神話をどのように考えて択びとったのか、それをどのように発展させていこうとしているか、その緻密で論理的な思索の旅に同行できて面白い。根底には人間の本質や人間と社会といったものへの考察があり、結局芸術家の仕事というのはその考えを個のものとしてではなく、どう普遍的なものに高めるか、どうすれば人間との「直接的な接触」ができるか、どうすれば人々と共鳴することができるかを考えていく過程なのだなあと。
    ロスコが主題の認識過程について、対象→その対象が絡む状況・逸話→表現や全体的な雰囲気から最後にそれらが指し示す抽象的な経験(喜びや気高さといった)気分の経験へと及ぶと言う。これは小説を読む時と変わらないではないか笑。人物がいて彼らが織り成す物語があって…って。何度も造形は絵画の言語であるというようなことを言っているのだが本当にそうなんだなあ。もっと絵画的言語の習得に努めたい。

  • とにかく抽象化スルンダという強い意気込みが伝わってきました。

  • マーク・ロスコ、おもしろい絵だな、気になるな、とは思うけど、わたしにとっては正直なところ「わからない絵」に入るものだった。この本は「序」で息子さんが書かれている通り、美術論としての完成度は低いけど、マーク・ロスコの絵に近づくにはとても重要な本だった。少しだけ、分かった気がする。(文章は半分くらいしか理解できなかったけど…)これを読んで、今ある解説を読むと、「ロスコが言いたかったことと真逆じゃない?」と思う部分も。色と四角形のあの抽象画が描かれる以前に書かれた文章だけど、ロスコが表現したかったことというのはすべてに通じていて、根っこの部分では変わってないんだろうな、と思った。

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