• Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076308

作品紹介・あらすじ

貧しさのなかで懸命に暮らす人々の日々のやりくりとは?経済学の最新成果が丹念に明かす、マイクロファイナンスなどの実態と、貧困削減への新たな処方箋。

感想・レビュー・書評

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  •  発展途上国における貧困世帯の暮らしを非常にミクロな視点から捉えようとした一冊。著者は、1日2ドル未満で暮らす貧困世帯がいかにして金銭をやり取りしているかという点について、ファイナンシャルダイアリーという独自の調査方法を用いて明らかにしている。1日たった2ドルしか稼がない人々がここまで詳細な金銭やり取りを行っていることに驚きを隠せない者も多いだろう。しかし、むしろ彼らは1日に2ドルしか稼げないからこそ、少ない資金をどうやって管理すべきか日々頭を悩ませながら暮らしているのである。
     貧困世帯による日々の金融行動の詳細は、実際に現地に足を運ばなければ情報収集は難しい。実際に現地に赴いたとしてもここまで細かい情報を得ることは困難であろう。しかし、この本を手に取って読んでみると、途上国における貧困世帯の日々の暮らしやそこで生じる葛藤のリアルがまさに目の前で起きているような、そんな感覚に浸ることが出来る。これから開発の道に進もうとする人。貧困について興味はあるけどいまいちその実態をよく知らない人。貧困世帯を対象にこれから活動を始めたいと考える人達にぜひ読んでもらいたい一冊である。
     また近年、途上国において金融のデジタル化が進んでいる。1日2ドルで暮らす人々もモバイルフォンを通じた送金、決済、支払いサービスを利用している状況にある。この本は、現金をやり取りする貧困世帯を対象に彼らの金融行動を浮き彫りにしているが、金融がデジタル化する今、彼らの金融行動はどのように変化しつつあるのだろうか。
    (名古屋大学国際開発研究科博士課程 綿貫竜史)

  • 想像もつかないような貧困層がどのように資金繰りをしているのかを示したものであり、とても面白かった。
    貧困層には、不安定、少額、手に入れる方法がないという三重苦に襲われている。
    その中で、インフォーマルな借り方をしている。(友達から借りたり、クラブを作ったり)
    貧困層がお金を借りる上で重要なことは、利便性、信頼性、柔軟性、構造の4点である。
    また、自分を律することができないために、わざわざお金を払って、貯蓄に当てる人もいるという。
    平均とは脆いもので、リスクが降りかかって来たときに、払えるお金が必要。
    何種類も方法があったほうがリスクが分散される。

  • 確かザッカーバーグがおすすめしていた本。安定した仕事をもたない「貧しい」とされる人たちは、裕福とされる日本人よりも金融リテラシーに明るく、知恵を駆使してキャッシュフローを組み立てていたのにはびっくり。

  • 根気強く長い期間調査をしたその調査結果を知ることができる。貧困やマイクロファイナンスにとって非常に有意義な研究だろうということがうかがえた。

    ・貧困者はお金を銀行に預けるためにお金を払うことがある
    ・貯蓄は切実な欲求である
    ・1日2ドル以下の生活でもキャッシュフローは非常に活発である

    などの点は本書を読んで常識がくつがえされたポイントである。

  • 金融の知識が浅いので、いまいちピンときていないのかも。読むのが少し辛かったけど、専門書としては優しめ。

    何度も出てくるように、貧困世帯の抱える障害として①収入が少ない、②収入を得られる時期が決まっていない(毎日1日2ドルずつお金が入ってくるわけではない、収入の上下動を予測できない)、③世帯のキャッシュフローのパターンに必ずしも適合しない金融手段に頼ってやりくりしなければならない、ということが考えられる。
    これらの障害に対して捕捉できるような金融サービスをどうすれば提供できるかが主題。例えばローンを有効活用することで季節による影響を緩和して消費活動を平準化させリスクを管理できる。

    サンプル数は少ないのかもしれないが、定点観測しているからこそ、貧困層のやりくりの努力や収入を管理するための手段に不満を抱いていることが明確になっている。一見合理的でないインフォーマルな金貸しの利子率は手数料と考えていることや、やはり病気等何かしらのハプニングで最貧困層に転落したり、彼らが資産を消費する要因は冠婚葬祭で特に祭りである等なるほどーと思うこともちらほらあり、貧困層の生活を想像しやすい。当然だが、何かあった時に最も煽りを食らうのが貧困層だなと改めて。
    肥料を購入できるような金融ツールが提供されると化学肥料を使用する農家が増え収穫量も増加したという事例はまさに金融ならではのアプローチ。生きていくにはいかにお金を管理するかが大事で、人々の生活に密着しているのがこのアプローチの魅力。

  • 開発経済学の佳作3作に評される『貧乏人の経済学』『善意で貧困はなくせるのか?』と本作は、それぞれ違った視点で書かれているので全て読むことで重層的な理解が得られます。平均して1日2ドル程度の収入の人たちの財務は極めて本質的なミクロ経済の姿を表していて、信用創造のラディカルな様相や、バランスシートを膨らますことがリスクヘッジになることがかなり刺激的なエピソードで思い知らされます。

    『貧乏人〜』は総論とイシューの提示、『善意で〜』は実践とアイデアのフロンティア、そして本作は金融面の記述を扱っています。『善意で〜』と本作のどちらを先に読んでも良いですが、『貧乏人〜』は是非とも最初に読むと良いです。

  • 1日2ドル未満で暮らしている人々が、実際にはどのように生計を立てているのかを、インド・バングラデシュ・南アフリカでの家計調査によって得られた「ポートフォリオ」に基づいて分析した研究成果。貧困層といわれる人々の生活戦略の緻密さ、妥当性には目から鱗が落ちたと同時に、その脆さも垣間見ることができた。

    貧困層=その日暮らしで何とか生活できている人たちで、貯蓄なんてできないだろう、という先入観を持っている読者に推薦したい。

  • 第1章 貧困者のポートフォリオ
    第2章 骨の折れる日々
    第3章 リスクに対処する
    第4章 こつこつと積み上げる
    第5章 お金の値段
    第6章 マイクロファイナンス再考
    第7章 よりよいポートフォリオへ

  • 「収入が小さい」「収入が不規則」「資金の調達が難しい」

    これらの課題に対処するために、
    「マイクロクレジット」「マイクロ貯蓄」「葬儀保険」「ROSCA」「マネーガード」…

    農村金融のあらゆるツールを駆使して、資産の10倍以上のキャッシュフローを生み、日々の生計をやりくりする1日2ドル以下で生活する貧困層の生存戦略には舌を巻く。

    貧困家計のバランスシートを長期にわたって収集するという斬新かつ粘り強い調査により、援助される側からの要望を浮き彫りにし、開発側偏重のマイクロファイナンスの現状へ新しい視座をもたらしている。

  • 目を引くための表題なのだろう。そして引っかかった。最底辺というよりは、「1日2ドルで暮らす」ことのできる世界で、どういう生活が成り立ってるか、という程度の内容。何となく何が書いてあるか分かってしまうの

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