フェミニズムの政治学―― ケアの倫理をグローバル社会へ

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 66
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076391

作品紹介・あらすじ

他者との非暴力的な関係が政治のはじまりだ。ケアの倫理から政治的主体を根底的に覆し、傷つき依存する関係から社会を構想する、フェミニズム理論の到達点。

感想・レビュー・書評

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  •  すべての人は生まれるとき、病んだ時、亡くなる時、必ずケアを必要とする。その声に時に葛藤しながら、母たちは応えることしか、他に選択肢はない。
     著者は、自律した個人を想定し、自らの意思で選ぶことができる、という近代国民国家の前提に、公私二元論自体に隠蔽されたものを、明らかにしていく。重厚な論。
     前半の政治思想史、リベラリズムの解釈については読み込みすぎかなという気がしないでもないし、読むのに予備知識がないと難解。
     でも心を奪われるのは、第二部と第三部。ここだけでも十分伝わる。
     「人類の歴史のなかで、わたしたちがまったく想像も及ばない多くの人たちから奪われてきたものこそが人権」で本質的には実定法において規定される権利は、厳格にいえばもはや人権ではない、と。嘆くこと、そこに危険性も同時にはらみながらも、証言の政治を実現する新たな地平が非暴力の中に切り開かれるのではと。

  • 「ねつ造」発言看過できない フェミ科研費裁判の意義 原告の一人・同志社大学教授 岡野八代さんに聞く/自民・杉田衆院議員「慰安婦」研究を中傷 – 京都民報Web
    https://www.kyoto-minpo.net/archives/2019/05/20/post-23264.php

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    近代国家は「自律した個」を理想像とし、子育てや介護などケアする者を政治的に二流の存在とみなしてきた。男を公的領域、女を私的領域に振り分けるその力学を、フェミニズムは公私二元論として鋭く批判してきた。そして、公的領域で“男並み”になることがゴールではないことも指摘した。フェミニズムはその先どこへいくのか。
    本書は母・家族・ケアという概念と格闘してきたフェミニズム理論の立場から、プラトンからロールズまで政治思想を貫く公私二元論を徹底的に検討する。そこで明らかになるのは、自律的主体が隠蔽するもの、すなわち、ひとは傷つき依存して生きるという事実だ。依存する存在は自律的主体の下位概念ではない。それこそが「人間の条件」であり、政治学の基礎単位なのだ。
    「ヴァルネラブルな存在が世界の代表である」(H・アーレント)。国家暴力に傷つけられながら抵抗し、ケアにおいて他者との非暴力的な関係を実践してきた女の経験こそが、新たな政治の領野を切り拓く。女であることの絶えざる葛藤を理論に鍛え上げ、非暴力の社会を構想する、フェミニズム理論の到達点。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/07639.html

  • 烏兎の庭 第五部 書評 1.31.16
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto05/bunsho/okano.html

  • いろいろ勉強していて偉いが難しい。

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著者プロフィール

おかの・やよ
同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授。
政治学、政治思想。
著書に
『法の政治学』(青土社)、
『シティズンシップの政治学』(白澤社)、
『フェミニズムの政治学』(みすず書房)、
『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』
(岩波書店)。
共著に『憲法のポリティカ
――哲学者と政治学者の対話』(白澤社)。
訳書に
アイリス・マリオン・ヤング
『正義への責任』(岩波書店)、
エヴァ・フェダー・キテイ
『ケアの倫理からはじめる正義論』(白澤社)など。

「2018年 『思想の廃墟から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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