写真の秘密

  • みすず書房
3.50
  • (2)
  • (1)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 98
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076469

作品紹介・あらすじ

名作『ユリシーズの涙』で愛犬と世界の犬たちの逸話を楽しく語ってくれた90歳のフランス作家が贈る、歴代の愛機と写真家たちの思い出と、数多の写真にまつわるアネクドート集。グルニエのファンはもちろん、カメラと写真、人生を愛するすべての人々のための、言葉によるアルバム。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館で冒頭の文章にほれ込んで、著者のことを何も知らないままに借りたので、途中まで著者は写真家だと思っていた(よくよく読めば、もっと早くに気が付くはずなのだが……)。

    けれど、それくらい著者と写真の関係が身近で、それでいて不思議な縁のようなものを感じたのだ。
    淡々と、それこそ本当に古いアルバムを一枚一枚めくっていくように、文章が綴られている。それ自体は何も私たちに語りかけているわけではない。しかし、それを見る私たち、それを読む私たちが否応なしに、それらから「見る」ことや「読む」ことよりももっと多くのことを読み取るのだ。
    本物が本物であることが、私たちの中で、確かな重みとなっている。一枚の写真、それが実際のもの(少なくとも、実際に「撮られた」もの)であることが、何よりも多くのことを語る。

    気負いのない、それでいてどこか茶目っ気を含んだ、著者の語り口がとてもいい。
    私はフランス文学にはなんとなく苦手意識を持っているのだが、フランス文学を読むと、一度フランス人になってみたいものだなぁ、と思う。
    イギリス文学の方がずっと自分の好みに合うものが多いと思っているはずなのに、なぜか「イギリス人になってみたい」とは全く思わない。……あは。

  • ふむ

  • ・人名とかでよく知らない人も出てくるが、写真への思いが伝わってくる。それに伴う出来事も鮮明に表現されている。

  • 2011-11-18

  • エスプリの効いたエッセイで知られるフランス人の元ジャーナリストにして作家であるグルニエの手になる写真の話。
     
    この本を手に取る方々は、単なる作家としてのグルニエしか知らぬということはいないのだろうが、そもそも生家が眼鏡店で、写真スタジオを兼ねていたということを知る人は少ないかも知れない。私もこの本を読んでから、彼のカメラや写真に関する造詣が深いわけが分かった。

    それにしても、この老作家の持つ写真家を始めとする文人・画人の知己の多さ、第二次大戦前の時代から戦後に至る有名な人々の名前が友人の名としてスラスラ出てくるというのが驚きだ。実話の醸し出す何とも言えぬ臨場感がある。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

Roger Grenier(1919-2017)
フランスの小説家、ジャーナリスト、放送作家、編集者。
ノルマンディ地方のカーンに生まれ、フランス南西部のポーで育つ。大戦中はレジスタンス活動に関わり、戦後アルベール・カミュに誘われて「コンバ」紙の記者としてジャーナリストのキャリアをスタート。その後、ラジオの放送作家などを経て、1963年よりパリの老舗出版社ガリマールの編集委員を半世紀以上務めた。1972年、長篇『シネロマン』でフェミナ賞受賞。1985年にはそれまでの作品全体に対してアカデミー・フランセーズ文学大賞が授与された。刊行したタイトルは50以上あり、とりわけ短篇の名手として定評がある。邦訳は『編集室』『別離のとき』(ともに短篇集)、『黒いピエロ』(長篇)、『ユリシーズの涙』『写真の秘密』(ともにエッセイ)など。亡くなる直前までほぼ毎日ガリマール社内のオフィスで原稿に向かっていたが、2017年、98歳でこの世を去る。本書は生前最後の短篇集。

「2023年 『長い物語のためのいくつかの短いお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロジェ・グルニエの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
クラフト・エヴィ...
堀江 敏幸
ヴィクトール・E...
三島由紀夫
アントニオ・タブ...
ジャレド・ダイア...
ウンベルト エー...
遠藤 周作
ポール オースタ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×