音楽と感情

制作 : 朝倉 和子 
  • みすず書房
3.67
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本棚登録 : 62
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622076681

作品紹介・あらすじ

バッハからベルクまで、クラシックの作曲家はどのように聴き手の感情を波立たせる名曲を作ったか。音楽を知りつくした『ピアノ・ノート』の著者が語る奥義。

感想・レビュー・書評

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  • とにかく楽譜がたくさん引用されていて飽きなかった。著者による楽譜の詳細な分析をたどるにつれひしひしと実感したのは、
    音楽>感情
    ということ。音楽が何らかの感情(例えば、悲しみや苦しみ)を表現しているのではなく、音楽の抽象的で秩序だった構造に私たちはかなり恣意的に感情を投影しているということ。同じ音形、和音進行であっても、時代の流行や好みなどによって、まったく正反対の感情の表現として受け取られる。
    数式に美しさを感じることは、ひょっとすると音楽を聴くこととすごく近いのではないだろうか。

  • 借り物

  • 『ピアノ・ノート』の著者の本だが、前著は私にはさほど面白くもないように感じられ、今回の著作も題名は興味を惹くものの、やはり学究的というよりは単なるエッセイだろうな、とあたりをつけていた。その通りだった。
    しかし読んでいくとなかなか面白い。
    音楽が情動・感情を喚起するその機能に関して、バロック時代から古典主義時代(近代)、ロマン主義、および現代(20世紀初頭モダニズム)といった時代の変遷とともに、いかに構造的に変容してきたかを辿る、音楽史の書である。
    譜例が極めて豊富で、ハイドンやベートーヴェンがいかにして「異なる情趣のモティーフ」をまとめて呈示したかを分析するくだりが圧巻だ。
    バロック時代に同一情緒の持続、というスタイルが提起され、古典主義時代にそれが相反するようなモティーフの(アウフヘーベン的)融合というドラマへと展開する。その後のロマン主義では再び楽曲における情動の統一が全面に出されるが、ただし今度はえらく拡張されており、いわばデフォルメ状態にある。そしてとりわけ「音色」に関心が高まっていく。
    情緒表現(ただし音楽のそれは一義的なものではない)に着目する限り、このように近代西洋音楽史が概観されたわけだが、音楽の「感情」をめぐっては、私はもっと遠くまで考察できるのではないかと期待している。
    この本を音楽的感情の限界を示すもの、と捉えてしまっては後が続かない。私は先へと飛躍したい。

  • ○感情に溺れず、理性(音楽理論)にも傾かず、ただひたすら音楽における感情の表現方法に迫る一冊です。ただ、内容は音楽理論に基づいて解釈を行っている部分が多いので、ぼくには難しい内容でした。個人的には、より分かりやすい、同氏の「ピアノ・ノート(http://booklog.jp/item/1/4622074893)」のほうをおすすめします。

    ○音楽に込められた感情の構造はどのように変化してきたのか。感情の構造というのは僕の勝手な言葉ですが、それは感情自体の分析ではなくて、その情動(エネルギー)をどのように表現するのかという”表現の方法”の違いを考えているということです。「音楽と”感情”」というタイトルから、この本があたかも楽曲ごとにどのような感情を表現しているのかについて解説しているものだと思われる恐れがあります(クレメンティのあるピアノ作品のこの部分はギターの音を模している、というような内容ではない)。そうした人がこの本を手に取ると、涙目になりながら本書を叩きつけることは間違いありません。そういう内容とは全く違うからです。

    ○この本の内容について、バロック時代における情動の統一の時代から古典派における情動の対立の時代というのは分かりやすいけれど、そこからどんどん専門的な話になってよく分からなくなってしまいました。他のサイトでも内容に突っ込んだレビューがあまりありませんので、ぜひ教えて頂きたいところ。再読予定です。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784622076681

  • 人々と音楽の関係の変遷について。授業中の紹介された本であるが、トートロジー的原点回帰の視点を再認識。

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