- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622077268
作品紹介・あらすじ
"社会実験"+"行動経済学"が世界を救う。イェール大学教授と現場のリサーチャーが最前線のフィールド研究から教えてくれる貧困削減のためのアイデアが満載。
感想・レビュー・書評
-
現代には国際的な援助プロジェクトがさまざまに林立していて、それぞれが支援を求めています。ただ、営利団体と違って、こういった団体・プログラムが自らに課している評価や検証は甘いケースが多いので、その援助が実際に貧困層にどのような影響を与えるのか、投資対効果はどうか、持続可能なものなのか、そういったことを精査し続ける必要性を強く訴えた1冊。
医療の分野でよく使用されているRCT(ランダム化比較実験)の手法を用いて、支援をしたグループと何もしていないグループを比較することで効果測定します。「こうすれば、きっとこういう効果が得られるから投資しよう」という安易な”善意”ではなく、現実世界できちんと実験して効果測定することの大切さをひしひしと感じました。本書は全体を通して、このRCTのさまざまな事例を紹介してくれています。
寄付というのは投票行動でもあるので、われわれも安易に寄付するのではなく、その団体・プログラムがどういうものであるか理解したうえで寄付するという責任があるのだなとも感じました。
開発経済学という今世界で非常に脚光を浴びている学問分野を、とてもわかりやすく、読みやすくまとめてくれている。語り口もとても軽妙で痛快。こういう入門書が他の分野にもあればよいのに、と思うくらいの良書でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ややタイトル詐欺。善意はあんまり関係ない。
途上国、貧困層に対する援助やその評価方法に行動経済学といわれる関わり方が変革をもたらしている。そんな状況を解説している本。
貧困層の行動原理はどのようになっているか。それは変えるべきか。どうすれば変えられるか。もっと効率の良い方法は。
実際に現場で活動してきた著者達だけあって理屈が通ってるだけで満足せずやってみよう観測してみようというという態度が一貫している。
「なにがうまくいって、なにがだめなのか」を社会実験ではっきり実証している点が単なる援助と一線を画している。 -
効き目のある開発の手法とはなんなのか。貴重な善意を最大限に活かすためにはどうしたら良いのか。行動経済学とフィールド実験を結びつけ、貧困削減の手立てを根本から変える研究成果を紹介し、具体的提案を行なう。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40181537 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB11748001 -
SDGs|目標1 貧困をなくそう|
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688545 -
開発目標1:貧困をなくそう
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99504038 -
●他者のために良いことをしようと努めるのは、僕たちの最良の部分だ。世界の貧困との戦いと解決に向けて真っ先に結集される資源は「善意」だ。ただ善意がどんなに大きくても、それを実行する最も効率の良い方法がとられていないことがある。
●貧しい人たちにお金を借りさせることが、世界の貧困撲滅における最大の希望の1つになっている。ただマイクロクレジットは、目的を達成するための手段で、目的そのものではない。万能薬ではない。
●どんなに少しずつでも、貯金をしていればいずれ大きな違いが生まれると言うこと。
●大事なのは学校に来させること。1部の生徒に制服を無料で配り、出席率が良くなったかどうかを見てみる。
●寄生虫駆除をすると大きな効果があった。慢性的な全身倦怠感を取り除く。
●マラリアの仕組み。感染した人を蚊が刺したらその蚊がキャリアになる。蚊の腹の中で原虫が繁殖して増えるのに2週間かかるので、蚊は2週間は生き続ける必要がある。でもこれはなかなか難しい。ほとんどの蚊は2週間程度が寿命だからだ。そうなって初めて、他の人を感染させるようになる。
-
開発経済学に関して、数式や経済学の理論などを用いずに文章で明快に解説されていて、初学者でも読みやすい内容だった。
日常や仕事においても考え方が応用できそうな内容ばかりだったので、困難にぶつかった時はまた読み返したい。 -
行動経済学の本。
求めてい内容よりややエッセー風だったけれども、それによって行動経済学への印象が柔らかいものへと変わった。
「善意」は貧困をなくす必要条件だけど十分条件ではないということを再認識した。
マクロファイナンスの内容が多めなので、それの実例を知る本としては優れているかも。