図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情

著者 :
  • みすず書房
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077626

感想・レビュー・書評

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  • ビット2013.07.17 電通報2013.07.15号で見つける。

  • 月刊「みすず」に連載された図書館に関連したエッセーである。著者は編集者、翻訳権エージェントとして出版業界を生きてきた経験をもとに、後期高齢者として昨今の図書館を利用している者としての視点で図書館を見たことを書いている。より利用者目線に立った図書館の活用形態が翻って図書館の存立基盤に利するだろうと言っているように思う。

  • 大活字本の読書 施設入所老人の不穏を抑えた

  • 利用者目線はこうしたものか。

  • 出版社に勤めていた方でも、図書館に対する知識はその程度なのか、と思った。しかし、近い位置にありながら図書館の知識を伝えられていない、広報が不得手な図書館側の問題も大きいと感じた。普段聞くことができない、利用者目線からの図書館に対する意見を聞くことができた。

    翻訳など、知らなかったことは目から鱗。

    論の進め方は奔放であるのが気になった。過去と現在に至るつながりや、別の論に飛ぶ際のつながりが記されていないため、やや混乱することも。
    もう少し整理されていれば読みやすく、著者の考え方を理解することができるのに、という点が残念でならない。

  • 『戦後「翻訳」風雲録』の宮田昇さんの本です。今度は図書館について。図書館の蔵書があまりにも汚く、「借り手のモラルの低下以上に、汚れた本を棚に置いて恥じない公共図書館と行政に、「タダで読ましてやる」という読者蔑視を感じた」(p117)というくだりには胸がすっとしました。また、アメリカの電子書籍専門図書館について。端末で2週間だけ貸出できるシステム、日本にも導入できないんでしょうか?
     最後に、「敵法な引用」について自分のために引用しておきます。「敵法とは、引用された部分が明瞭にわかり、かつ歪めず正確に、しかも引用される必然性があり、最低限の量であること。そしていちばん重要な要件、どの著作物のどの箇所から引用したかという、出所が明示されていることである」(p212)

  • 図書館というサービスが何を目的にしているのか。その経済事情はどうなっているのか。これからの図書館は何を目指すのか・・・といったことが書いてあるのかと愉しみに読んだのだが、期待外れ。基本的には図書館で読んだ本の話であって、図書館について全然触れていないというわけではないが、素人の所感レベルで目新しいものはない。この人、編集者だったのだから素人じゃないと思うのだが。
    「中の人」の話が読みたい。

  • 図書館は「公立無料貸本屋」ではいけないのか? という問いかけから始まる図書館を利用しての読書エッセイ。
    出版界から第一線を退いてから図書館で小説を借りるようになりおもしろさにはまった、という著者。
    でも<当世「公立無料貸本屋」事情>という刺激的?なサブタイトルからもうちょっとつっこんだ図書館への取材や考察があるかと思ったらちょっと期待はずれ。
    あちこちで取り上げられる匿名の人物や地名もなんだか中途半端でもやもやする。
    でも昔の大橋図書館や貸本屋の事情や取り上げられる本には興味をそそられた。

  • 僕も図書館をよく使う。『当世「公立無料貸本屋」事情』というタイトルに惹かれる。著者は出版業に長く携わり、かつては貸本屋も営んでいたという著者が何を語るのか。ところが、過去の詳細な描写に対して、現在は隠遁した老人として公立無料貸本屋を利用する著者の立場はずいぶんと身近、いやそれを通り越して、ぼやきにさえ見えてしまう。過去と現在の断層が大きくて、「当世」を期待したのに過去の話のほうが面白いという皮肉。公立無料貸本屋をなくさないでほしい、あれしてほしい、これしてほしい、という要望が目立ってしまう。過去と当世を断層ではなく、連続した変化として読めれば、この本は面白いかもしれないが、僕にはなかなかむずかしい。

  • (ちょっと不真面目だけど、『図書館戦争』のDVDを観ていて思い出した)
    全くの使う側からの目線で、図書館側のデータは、本当にデータだけで取材したような形跡はなし。
    でも内容は図書館のみならず出版に関わる事柄まで広くて、感心しながら読んでたら読み終わった感じ。

    いや私だってこの本そのもの、図書館から借りて読んだわけですが
    なんかこの本は図書館にあるのにふさわしい図書だなと思った。
    『図書館は利用されてナンボ』(要)
    ってのがあったと記憶していますが、ええ、利用させていただきます。

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著者プロフィール

宮田 昇(みやた のぼる)

一九二八年東京に生まれる。元、早川書房編集者。同社を退職後、チャールズ・E・タトル商会で勤務する傍ら、数多くの児童書の執筆・翻訳を手がける。一九六七年に矢野著作権事務所(のちの日本ユニ・エージェンシー)を創業、一九九一年、日本ユニ著作権センターを設立。戦前戦後のわが国の翻訳権、出版権の変遷の歴史を熟知する数少ない一人であり、翻訳著作権に関する著作も多く、斯界の第一人者として知られている。
一九九九年、『翻訳権の戦後史』で第二一回出版学会賞、二〇〇二年には、第二三回著作権功労賞を受賞。
著書に、『東は東、西は西――戦後翻訳出版の変遷』(早川書房、一九六八)、『翻訳出版の実務』(日本エディタースクール出版部、一九八九)、『翻訳権の戦後史』(みすず書房、一九九九)、、『新編戦後翻訳風雲録』(みすず書房、二〇〇七)、『図書館に通う――当世「公立無料貸本屋」事情』(みすず書房、二〇一三)、『小尾俊人の戦後――みすず書房出発の頃』(みすず書房、二〇一六)、『出版の境界に生きる』(太田出版、二〇一七)ほか多数。

「2017年 『昭和の翻訳出版事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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