哲学は何を問うてきたか

  • みすず書房 (2014年1月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784622078074

感想・レビュー・書評

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  • 真理と善―われわれはなぜ悪を行うのか? ソクラテス
    存在と非存在―実在するものは何か? エレアのパルメニデス
    変化、衝突、調和―宇宙はどのように作動するのか? エフェソスのヘラクレイトス
    善きものと正しきもの―真理の源は何か? プラトン
    徳と合理性―幸福とは何か? アリストテレス
    自然に従った人生―このような人生を送るとわれわれは幸せになるのか? ヒエラポリスのエピクテトス
    知識と信念―われわれは何かを知ることができるのか? セクストス・エンペイリコス
    神と人間―悪とは何か? 聖アウグスティヌス
    神の必然性―神が存在しない可能性はあるのか? 聖アンセルムス
    神秘主義と徳―なぜ罪ではないのか? マイスター・エックハルト
    知識、信仰、魂―世界は善きものか? 聖トマス・アクィナス
    存在しているもの―観念は存在するのか? オッカムのウィリアム
    絶対者と世界―神には神の創造物が必要か? クースのニコラス
    神、世界、精神―どのように確実性を得られるのか? ルネ・デカルト
    神の本質―われわれは自由意志をもっているのか? ベネディクト・スピノザ
    神と世界―なぜ何も存在しないのではなく何かが存在しているのか? ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ
    信仰―どうして信じるべきなのか? ブレーズ・パスカル
    理性、平等、自由―神がわれわれに賦与した能力は何か? ジョン・ロック
    恐怖と宗教―最善の国家とはどのようなものか? トマス・ホッブズ
    知覚と因果―われわれは何を認識できるか? デイヴィッド・ヒューム
    理性、必然性、道徳―どうして知識が得られるのか? イマヌエル・カント
    歴史と絶対者―善悪なき進歩? ゲオルク・ヴィルヘルム・ヘーゲル
    世界、意志、性―われわれは自殺すべきなのか? アルトゥル・ショーペンハウアー
    神と信仰―教会は必要か? セーレン・オービエ・キルケゴール
    力への意志―善悪は存在するか? フリードリヒ・ニーチェ
    意識と進化―人間の魂とは何か? アンリ・ベルクソン
    確実性の基盤―何を認識できるのか? どのように認識できるのか? エドムント・フッサール
    真理、存在、無―人間存在とは何か? マルティン・ハイデガー
    実存と超越者―苦難はわれわれを豊かにするのか? カール・ヤスパース
    〈一なるもの〉と創造――物は悪か? プロティノス

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757125

  • 30の哲学者について、著者の視点から時系列に沿って解説してくれる。
    哲学に全く明るくない人が読むのにちょうどいい。

    ◯ソクラテス 紀元前469-399
    <真理と善>
    ・イエス同様自ら残した書き物はない。プラトンとの対話が紐解く財力
    ・不変の真理、基本概念すなわち、正義とは、徳とは、勇気とは、同等とはを追及した。
    ・絶え間ない対話でこれを追及きたのは、真理はすでに我々の中に存在していると考えていたから。かつては知っていたけど忘れてしまったことを思い出す。
    ・理性を愛した。全ての物事は理性の支配下にあり、理性以外の権威は認められない。
    ・法も大事にした。

    ◯エレアのパルメニデス 紀元前515-450
    <存在と非存在>
    ・存在に関する議論を展開している、経験の世界は実在していると言えるのか?
    ・ヨーロッパ思想の一大潮流に勢いをつけたと思われ、その意味で存在意義がある、その理由は表現不可能なものを表現しようとする試みそのものだと考えられる。

    ◯エフェソスのヘラクレイトス 紀元前540-480 <変化、衝突、調和>
    ・人間の愚かしさをしばしば嘆き、涙を流す哲学者と呼ばれる。また両義的で謎が多い。
    ・「万物は流転する」「同じ川には二度と足を踏み入れることはできない」→絶え間ない変化と無常の擁護者
    ・「上り道と下り道は全く同一である」

    ◯プラトン 紀元前427-347
    <善と正義>
    ・重要な問題を考察し、その歴史を紐解くとプラトンにたどり着く、そのくらい重要な人物。ヨーロッパ哲学の基本計画の設計者。
    ・「イデア論」イデアは時間と空間を超越して存在する理想的な形態。理性からしか接近できない。例えば何かが正しいという時、個別の事実や行為や制度を正義という概念(正義についての普遍のイデア)に照らすことでできる。

    ◯アリストテレス 紀元前384-322
    <幸福とは何か>
    ・プラトンのあまり忠実でない弟子、誰よりも博識、ヨーロッパ哲学の基盤を作り上げた建造者。
    ・今でも意味をなすのは、「ニコマス倫理学」を中心に議論される道徳性、幸福をめぐる論点。
    ・幸福は英語でいうhappy(満足)ではなく、束の間の快や利得ではなく、個人の長続きする状態、徳に従って理性的な人間の魂が活動すること。
    ・幸福を得るための根本原則: 全ての行為で安全な中道から逸れず、不足過剰から生じる欠陥を避けるべし
    ・筆者の疑問: 主観的側面を取り除いた幸福という概念に意味を見出せるのか?物事を極端に考える人は本当に不幸せなのか?

    ◯ヒエラポリスのエピクテトス 50-130
    <自然に従った人生>
    ・尊厳と晴れやかな幸せを送る方法を教えたいストア派の哲学者。
    ・書き物がなく、熱心な生徒の講義録、有名なのは「提要」、対話形式で長い「語録」
    ・天命が全てを制御している。運命を受け入れ平静に保つこと、これが自然に従って暮らすということ。
    ・筆者の疑問: 全てが摂理で決まるならば、我々の選択の自由は何の意味があるのか。超人的な無関心、不動心、無感動は果たして幸福と呼べるのか。

    ◯セクストス・エンペイリコス 2世紀
    <知識と信念>
    ・懐疑論者(物事を注意深く検討する人)、懐疑論の諸説を古代に成文化した唯一の著者。
    ・懐疑論は独断的な主張はせず判断を保留にする。真理を求めず、解読不可能なものに悩むのを止めることで魂を負担から解放する。我々の体内から有害な体液を排出するとともにそれ自身も排出される薬も、懐疑論は懐疑論という薬も含めて何も必要なくなった健康な精神状態。
    ・人生における目的は静穏あるいは冷静さである。
    ・著者の疑問: セクストスは人間が本性的に真理を愛する動物だと認めていた。だとすると真理を追及すふのは実用的な目的はのためではないか、それなのに真理に無関心でいられるのか。

    ◯聖アウグスティヌス 354-430
    <悪とは何か>
    ・神と魂について知ることが全てを知ること。すなわち創造とその目的、世界に対する認識と知識、真理の観念、理性と信仰の力、宇宙における人間の位置と時間の本質がこれにあたる。
    ・長大な論考「神の国」は古代キリスト教で最も重要な著作。悪の問題を至る所で論じている。
    ・33でマニ教からキリスト教に改宗、キリスト教の創造主は善良で悪を行わないが、善悪の対照で世界を豊かにするために悪を許容する。
    ・悪は存在の一種ではなく、無、空虚、物事の秩序が転倒すること。
    ・世界に出ていくことなかれ。自分自身に帰れ。真理は人間に宿る。
    ・信じるために理解しようとするなかれ。理解するために信じよ。信仰が理性よりも優先される。命題を信じてから後から証明しようとする。
    ・我々が認識する全ては神がもたらす真理の光のおかげ。しかし神に背を向けることがあり得ないわけではない。悪が我々に根付かないこともないからだ。自由意志で行う全ては神に反する悪。我々が行う良き行いは全て神の恩寵のおかげで、否応無くもたらされる恩寵を我々は拒絶できない。神の恩寵がなければ我々は皆地獄行き。
    ・著者の疑問: 神が従う人の中から天国に入る人を選ぶ、一方選ばれるかは功罪に関係ない、神の正義の矛盾を感じる。

    ◯聖アンセルムス 1033-1109
    <神の必然性>
    ・神の存在を示すための存在論証明の一連の議論を構築し、価値ある数々の疑問を換気し、多くの著名人が骨を折った。
    ・理性よりも信仰が優先されると考えたが、信仰を完全に開花させ、神に至る道を開くために理性は不可欠。スコラ学の原動力となった。
    ・※神の存在証明の内容は読んでいても理解できなかった…
    ・アンセルムスはキリスト教信仰を合理化しようと大変な努力を傾けだが、議論の妥当性を信仰が超越していることに変わりはないと強力に主張した。
    ・著者の疑問: 神が存在する証拠がないとわかっていながら神を信仰することは不合理なのか

    ◯マイスター・エックハルト 1260-1327
    <神秘主義と徳>
    ・神秘主義哲学者(神と一体化を体験する一つの形態)のうちで最も有名

    スルー

    ◯聖トマス・アクィナス 1225-1274
    <知識、信仰、魂>
    ・彼ほど数多くの人が熱心に追従、擁護した偉大な哲学者はいない。

    スルー

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著者プロフィール

レシェク・コワコフスキ
Leszek Kolakowski  1927~2009
ポーランド・ラドム生まれ。父母はともに教師。1943年に父親がドイツのゲシュタポに殺害され、一家は東部の寒村に避難した。ドイツ軍が学校教育を停止したので、自学して、学校卒業試験に合格し、45年創設のウッチ大学で哲学を学んだ。
49年 「共産主義青年団」参加
50年 ポーランド統一労働者党に入る
50年 モスクワ留学
52年 ワルシャワ大学で講義開始、59年同大学哲学史の講座主任
53年 スピノザの研究で博士の学位取得
66年 党から除籍処分を受ける
68年 ワルシャワ大学解雇
70年 オクスフォード大学オール・ソウルズ・カレッジのフェロー(95年まで)
03年 米国議会図書館から第1回ジョン・W・クルーゲ賞(人間科学部門)を授与
邦訳された著書
『責任と歴史 -知識人とマルクス主義』(勁草書房 1967)、『悪魔との対話』(筑摩書房 1986)、『ライロニア国物語 ―大人も子どもも楽しめる13のおとぎ話』(国書刊行会 1995)、『哲学は何を問うてきたか』(みすず書房 2014)

「2024年 『マルクス主義の主要潮流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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