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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784622078722
作品紹介・あらすじ
◆「私が今年読んだノンフィクションのベストワン。……ダーウィンの著作を読むときにも似た、深く、静かな読書の愉しみを与えてくれた」(オリバー・サックス、2007年)。◆植物の進化と繁栄は、従来想像されていた以上にダイナミックに地球の景観や気候を作り変えていた──。陸上植物の出現にはじまる“緑の地球”の5億年の歴史絵巻を、最新の研究成果の数々をつぶさに参照しながら大胆に描きだす刺激的な科学読み物。◆著者は進化生物学、植物生理学、古生物学、地球科学の知見を統合する新しい研究アプローチの若き旗手。
感想・レビュー・書評
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■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001082496
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本で大事なのはなんだろうか?、と考えると、やはり正しいことが書いてあるかどうかと、新しいことを知ることができるかどうかだろう。
その面で言えばこの本はとても高い点をつけられる。
そもそも昔のことは知らない上に植物について全然知らない(C3光合成と、C4光合成も初耳)ので、わからないことがてんこ盛り。またこれまで漠然と信じてたことが時代遅れの理論(間違っているだろう理論)だったりもすることがわかったり。全体としてはいろんな論点があり、とっちらかると言えなくもないが、なかなかに刺激的で面白い本でした。 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17940373 -
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17940373 -
知的好奇心を刺激し、過去の科学者たちが辿った歴史に触れることごでき、読み物としても非常に面白い。 辻褄が合う話に簡単に食いつくのではなく、データと証拠を検証して真相に近づいていく科学の重要性についても考えさせられる。著者は英国王立協会のフェローにも選出された一流の植物学者とのこと、今後の一般向け著書についても大いに期待される。 欲を言えば、テーマ的にはシアノバクテリアについても言及してほしかった
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植物の進化ということだけでなく、植物が地球の気候・環境に大きく影響を与えたということに感銘を受けました。これまで長い年月をかけて、地球と二酸化炭素と植物の関係を変化させてきたのに、そのバランスをものすごいスピードで変えている人間という生物は、近いうちに恐竜のように絶滅してしまうのではないかなと思わされました。
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植物と地球の環境が互いにゆっくりとだけど激しく影響を与えあっていること。作り出された物質は地上から空から水から海底からいろいろなところに集まり流され流転していく。そんな昔の話を人は化石などの「おぼろげに映る鏡」を通して少しずつ理解していこうとしている。その学びはいまこの地球上で起こっていると言われる急速な温暖化がなにをもたらそうとしているかを予測することにもなる。それが人類にとって取り返しのつかないことになる時までに間に合うのかどうかはわからない。でもたとえ人類が恐竜や巨大昆虫のように滅んだとしても植物は気孔の数や葉の形なんかをかえて生き残っていくのだろう。
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地球の5億年の歴史の中で、その変化を植物はただ客席で眺めていた訳ではない。植物はむしろ舞台上の役者だった。しかも脇役ではなく主役クラスである。著者がこの本で伝えたかった事実のひとつがこのことだ。そしてもうひとつは、過去5億年の地球におこった出来事を明らかにする上で、植物の化石が果たしている重要性である。著者は英国シェフィールド大学で植物学や古気候学を専門とする研究者で、「訳者あとがき」によれば、本書の内容はどれも著者のチームが明らかにした研究成果と関係しているという。
この本には7つの物語が紹介されている。
最初の2つの章(1−2章)は「植物の持っている力」の大きさが強調されている。植物は環境の変化を受けて進化してきたが、その環境の変化を促したのも植物自身だったという。今から4億年前から3億5000万年前のあいだに地球の二酸化炭素濃度はおよそ10分の1にまで低下してしまった。この時期に章物は多様化したのだが、葉の進化が二酸化炭素の減少を押し進めた(1章)。酸素に目を向けると、酸素濃度は3億年前に急上昇したあと激減した。この酸素濃度の変化にも植物の進化がかかわっている(2章)。植物が背丈の高さを保つのに必要な物質の進化が酸素濃度を上昇させたという(69ページ)。
後半の5つの章(3−7章)では地球の気候変化を知る上で、植物の化石が重要な証拠をいくつも提供してくれたことが示されている。ペルム紀末の大絶滅の時期にあたる2億5100万年前にはオゾン層が消滅した(3章)。植物の化石がこの事実を知るための手掛かりとなる。オゾン層がなくなれば地上には有害な紫外線が降り注いで植物にある種の突然変異が増える(110-115ページ)。そして突然変異した植物の化石が世界のいたるところで発見されたのだ。また、葉の化石は2億年前の火山噴火についても教えてくれる(137-138ページ)。2億年前には巨大火山の大規模な噴火が起きて、その結果、大気中の二酸化炭素濃度が急上昇して地球温暖化がもたらされた。三畳紀末の大量絶滅はこの地球温暖化が原因だとされている。5章では落葉樹の化石が極地で見つかったエピソードが紹介されている。現在では想像もつかないが、過去5億年のうち大半の期間は極圏にも森が広がっていたという(170ページ)。地球はとても暖かかったということだ。5000万年前ほどにはこの暖かさの原因として二酸化炭素だけでなくその他の温室効果ガスの濃度も上昇した証拠があるらしい(6章)。前章とは変わって、7章では二酸化炭素が急減したあとに登場した「C4植物」について述べられている。二酸化炭素の減少と火事が効率的な光合成システムを持つ植物を登場させたのだ。これらの植物は成長が速く、将来の食糧事情を改善する役に立つ可能性が指摘されている。
化石はとても雄弁である。化石は過去の地球についてたくさんのことを教えてくれる。これはたとえばリチャード・フォーティ『生命40億年全史』などを読んだときにも思ったことだが、本書を読んで改めて感じさせられたことだ。ただし、化石が発するメッセージを理解するにはたくさんの科学的な作業が必要であることも本書を読むとわかる。化石を調べて仮説を立てた上で現在の植物の生態を調べたり実験を行ったりする。さらに数理モデルを組み立ててシミュレーション分析を行う。そして地球科学や進化生物学などの他分野とのコラボレーションも欠かせない。現代の科学研究がどのように知識を積み重ねているのかを知ることもできる良書だと思う。
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