21世紀の資本

  • みすず書房
3.91
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本棚登録 : 2972
感想 : 164
  • Amazon.co.jp ・本 (728ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622078760

作品紹介・あらすじ

「21世紀の資本」はトマス・ピケティが執筆した経済書。
経済書としては異例の売り上げを記録したとしてテレビや雑誌などでも大々的に取り上げられています。日本経済の先行きやアベノミクスの今後と予言する書物として、サラリーマンや主婦、学生などにも広く読まれています。世の先行きへの不安を反映しての人気ということができます。

感想・レビュー・書評

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  • 『21世紀の資本』。
    フランスの経済学者であるトマ・ピケティの著書で、2013年にフランス語で刊行され、その後各国で翻訳本が刊行されたそうである。
    経済本にしては珍しく、ベストセラーになったようである。
    が、私は、今日、知ったばかり。

    何やら、資本を持つ者と持たない者の格差が広がっていくこと、そして格差是正への提案を、長期的データを基に論理的に展開しているようだ。

    やはり、世の中の格差を実感している方が多いから、読まれたのかな。

  • r > g
    資本の収益率 > 経済成長率

    20カ国以上の所得と富の分配をめぐる世界的な動学を研究し、過去15年にわたり30人以上と集めた歴史的データを活用。

    <以下引用>--------------------------

    資本収益率が長期的に成長率を大きく上回っていれば、富の分配で格差が増大するリスクは大いに高まる。

    この根本的な不等式を
               r>g
    と書こう。

    rは資本の平均年間収益率で、利潤、配当、利子、賃料などの資本からの収入を、その資本の総価値で割ったもの。
    gは、その経済の成長率、つまり所得や産出の年間増加量。    p.28

    <資本主義の第一基本法則>  α=r×β

    資本/所得比率βは、国民所得の中で資本からの所得の占める割合(αで表す)と単純な関係を持っており、以下の式で表される。

    α=r×β

    ここでrは資本収益率だ。  P.56


    <資本主義の第2基本法則>

    長期的には、資本/所得比率βは、貯蓄率s、成長率gと以下の方程式で示される単純明快な関係を持つ。

    β=s/g

    たとえばs=12%、g=2% なら β=s/g=600% となる。    
    p.173

    α=r×βという式を使うと、ある国全体、さらには全世界についてさえも資本の重要性を分析できる。
    また、個別企業の財務も研究できる。

    たとえば、500万ユーロの資本を使い、年に100万ユーロの財を生産し、うち60万ユーロが労働者の賃金、利潤が40万ユーロだとする。

    この会社の資本/所得比率は β=5
    (資本が産出5年分に相当)
    資本所得のシェア αは40% 
    資本収益率 r=8%         p.59


    インフレは事実上、有閑階級に対する税、もっと正確には、投資されていない財産に対する税と言える。 p.470

    だが現代のインフレは、きわめて切れ味が悪い道具であると認識しておくことが重要だ。 ・・・・ 累進資本課税のほうが、民主的透明性と、現実の有効性の両方において、もっと適切な政策だ。 p.473

    いったん通貨が貴金属への兌換性を失うと、中央銀行がお金を作る能力は潜在的に無限になってしまうので、厳格な規制が必要だ。これが中央銀行の独立性に関する論争の核心だし、無数の誤解の源にもなっている。
    p.576

    世界の金融資産の大部分がすでにさまざまなタックス・ヘイブンに隠されていて、世界的な富の地理的分布の分析に限界をもたらしているという点だ。  p.483

    課税における20世紀の大イノベーションは累進所得税の考案と発展だ。
    この制度は、20世紀における格差低減に重要な役割を果たしたが、今では、国際税制競争により深刻に脅かされている。      p.514

    累進課税は、格差削減のかなりリベラルな手法だと言える。自由競争と私有財産は尊重されつつ、私的なインセンティヴはかなり過激にもなりかねない形で改変されるが、それでも常に民主的論争で検討されたルールにしたがって行われるのだ。    p.528

    <以上引用>----------------------------------------

    ↓ ネットで公開されてる。どのピケティ本より参考になった。

    ピケティ『21世紀の資本』
    訳者解説 (v.1.1) 2015.1.23-2.1
    山形浩生
    hiyori13@alum.mit.edu

    ↑ 山形浩生が必要最小限の図式化で明快解説。必見。

    山形は、ピケティはインフレーションに対して、この本の中では賛成とも反対ともとれる書き方をしている、と述べている。
    しかし、オレは、ピケティはインフレに対しては否定的だとしか思えない。

    「だが現代のインフレは、きわめて切れ味が悪い道具であると認識しておくことが重要だ。 ・・・・ 累進資本課税のほうが、民主的透明性と、現実の有効性の両方において、もっと適切な政策だ。」 p.473

    ---------------------------------------------------

    最初、図書館で予約「7人待ち」だった。順番がきて読んでるんだけど、ネットで予約状況を確認すると「116人待ち」になっててビックリ。
    すげー人気だ。

    先に『東洋経済』『エコノミスト』その他の雑誌のピケティ特集が何冊も届き、そちらを先に読む。『21世紀の資本』入門系の本も先に読んで、最後に、この本が届いた。

    オレのイメージでは、ピケティの『21世紀の資本』は膨大なデータを集めて分析した本で、彼は、人口学者エマニュエル・トッドをエコノミストにしたような人だと思っていた。

    ピケティ自身が、雑誌のインタヴューなどで何度も口にしているように、彼はマルクスには何の興味もない。
    少なくとも『21世紀の資本』は『資本論』とは何の関係もない本だと思っていたんだけど、「第Ⅱ部資本/所得比率の動学」で、マルクスに言及していることに、逆に、びっくりした。
    オレもそうだけど、現代人は、いまさらマルクスの話など聞きたいとも思わないし、マルクス経済学は過去の話だと思ってる。

    ピケティは数学の大秀才なんだけど、現在の、数学モデルだけで構築される経済学からはみ出して、政治歴史経済学をやろうとしてる。
    これが正しいことなのか、間違ったことなのか、50年後や100年後に評価するしかない。

    ただ、彼の文章見てると、計量経済学の秀才とはいえ、なんだか経済学者じゃないみたいな気がしてくる。

    アメリカの経済学者が、純粋な科学者であろうとして、数学やデータ分析を崇め奉るのに比べ、フランスの経済学者は、教養や哲学を有難がる風潮がある。
    どちらも、偏りすぎると、現実から乖離した架空の経済学になってしまう。

    純粋な経済学にとって、政治学や哲学は、できるだけ介在しないほうが、イデオロギーに左右されない科学的な結論が引き出せる、というのが現代の経済学であるのに対して、ピケティは経済学に自ら政治や歴史を導入しようとしてる。
    これは正しいことなのか?間違ったことなのか?


    私がボストンで教えていたときの夢は、パリの社会科学高等研究所で教えることだった。その教授陣には、リュシアン・フェーヴル、フェルナン・ブローデル、クロード・レヴィ=ストロース、ピエール・ブルデュー、フランソワ・エルティエ、モーリス・ゴドリエをはじめとする導きの光が多数存在していた。
    ・・・・
    私はたぶん、ロバート・ソローやサイモン・クズネッツと比べてすら、こうした学者のほうをもっと崇拝しているのだ。
    」 p.35

    この人の資本論は、格差が広がる21世紀に殺意を募らせる我々にとって、希望となるだろうか?

  • トマ・ピケティ(1971年~)は、フランスの経済学者。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞。パリ経済学院設立の中心人物、教授。社会科学高等研究院の研究部門代表者。
    本書は、2013年にフランス語で発表され、2014年4月に英語版が発売されるやベストセラーとなり、同年12月には日本語版が出版されブームとなった。30ヶ国以上で翻訳され、経済学書では異例の300万部以上を売り上げている。また、2019年には、ピケティ本人が出演するドキュメンタリー映画が公開された。
    私は従前より、世界中で格差を広げる資本主義に問題意識を持っており、これまでも、ジョセフ・スティグリッツ、水野和夫、広井良典(社会学者)らの本を読んできたが、近年の斎藤幸平のベストセラー『人新世の「資本論」』を読むに至り、あまりの大部であるがために敬遠していた本書を手に取ってみた。実際には、予めネットで本書のポイントを押さえ、その部分を中心に飛ばし読みをしたが、著者の言いたいことは極めて明確なので十分だったように思う。
    論旨は概ね以下である。
    ◆長期的なデータによると、資本収益率(r)は概ね4~5%、先進国の国民所得の成長率(g)は1.5%程度であり、r>gである。これは、資本(不動産や金融商品)の増加率は所得の増加率を上回っている、即ち、資本で稼ぐ人と所得で稼ぐ人の格差は広がっていることを示し、これが資本主義の根本的矛盾である。また、<資本主義の第1基本法則>資本分配率(α)=r×資本ストック(β)なので、先進国のβを概ね国民所得の6倍程度であり、r=5%とすると、α=30%となり、国民所得の分配は、労働による所得:資本による所得=70%:30%となる。
    ◆また、<資本主義の第2基本法則>β=貯蓄率(s)/gなので、国民所得の成長率(g)が低くなるほど資本ストック(β)は増え、資本分配率が上がり、格差が拡大する。
    ◆格差の拡大という矛盾を解消するためには、(ユートピア的提案ではあるが)保有資産の透明化や、巨額の資産への世界共通の累進資本課税が必要である。

    本書の特徴は、著者が15年をかけて収集した20ヶ国/300年分のビッグデータ(このデータだけでノーベル賞の価値があるという研究者すらいる)に基づく分析にある。理論的ではないとの批判もあるようだが、著者は、経済学者の多くが数理的な理論の研究に偏りがちであることに疑問を呈し、「(歴史的に)実際の数値はどうだったのか」を知ることに立ち戻るべきと語っており、まさにその点が本書の狙いだったのだ。
    また、『資本論』を想起させる題名にもかかわらず、マルクスの主張とは大きく異なる(資本主義には不平等が内在しているという点のみ共通している)ものであるし、資本主義システム自体を否定してもいない。しかし、格差の拡大という資本主義の抱える最大の問題のひとつをデータで明らかにしており、ジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマンらニューケインジアン左派の経済学者の主張に近く(実際に本書は彼らからも称賛されている)、延いては『人新世の「資本論」』とも親和性があると言えるだろう。
    資本主義の矛盾・限界と、修正のアプローチの一つとして、概要だけでも知っておく意味はある。

  • 時間が有り余っている学生時代に読めておけて本当に良かった。

    r > g の原則を知らずに社会人として社会に放り込まれていた可能性を考えると怖くなる。
    中々裕福になれないやるせなさを感じるも原因は分からない。なぜなら資産の大半は上位層がガッツリ確保しており、それを使って芋ずる式に不労所得を蓄えているのだから。

    歴史から得られる原則と、信用性の高い数字と向き合う大切さを学べた。
    様々な事象や通説が重なりあって経済は動いている。

    あとは読解力がかなり増した気がする。本書を読む前後では、他の本を読む時の理解力が断然に違う。

    本書に出会えたことに感謝を。

  • 5年以上、積読だった本。きっと一人じゃ読まないままだ、と思い友人を巻き込みたった二人の読書会を企てました。二週間に一部ずつ読んで、週末2時間zoomで語り合うという方式です。全4部構成を4回で読み終わりました。ものすごい達成感!ノートを取りながら読書したの学生以来か。夜、夕食後に自宅で集えるzoomという仕組みに感謝。いやいやこの試みに付き合ってくれる友人の存在することが最大の幸せ。大昔、パルコのコピーに「本読む馬鹿が、私は好きよ。」というのがありましたが、本を読む馬鹿仲間は宝物です。この読書会と同時に読んでいた「人新世の資本論」でピケティの新刊「資本とイデオロギー」が出ることを知り、次のテキストはそれにするか?その前に、もう一発、別の読むか?そんなやりとりも楽しいです。

  • 本屋さんに行くと今でも何冊もの解説本が置かれているのが目につきますが、とうとう原作(翻訳本ですが)を読みました。その本の名前は、ピケティが書いた「21世紀の資本です。

    今まで何冊かの解説本を読んできたお蔭もあり、何を言いたい本なのかが分かっていたため、最後まで読み通すことができましたが、特に図表の少なくなる、第三部以降は読んでいて挫けそうになりました、解説本を書いた方々の努力に頭が下がりました。

    前半部分では、膨大なデータを処理してやっと完成した興味ある図表が出てきます。1700年以降の合計300年間以上のデータをグラフ化したものには中々出会うことができません。とても貴重な経験をすることができました。

    以下は気になったポイントです。

    ・資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基礎となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになる(p2、29)

    ・第一の結論:1910-50年にかけて殆どの先進国で生じた格差の低減は、何よりも戦争の結果であり、戦争のショックに対応するため政府が採用した結果である、課税と金融に関する部分が大きい(p23)

    ・第二の結論:富の分配の力学を見ると、収斂と拡大を交互に進めるような強力なメカニズムがわかる(p23)

    ・根本的な不等式(r>g、r;資本平均年間収益率で、利潤・配当・利子・賃料などの資本からの収入を資本総価値で割ったもの、g:経済成長率、所得・産出の年間増加率)(p28)

    ・富裕国で資本の重要性が高まったのは、人口増加と生産性成長がどちらも減速したせいが大きい。この変化を理解するには、資本と労働の分配率だけでなく、資本/所得比率(資本の総ストックと年間の所得フロー比率)の変化も分析することである(p45)

    ・国民所得を計算するには、GDPからその生産を可能にした資本の減価償却分を差し引く必要あり、これが「国内純生産」となる、GDPの9割程度(p46)

    ・国民所得=国内算出+外国からの純収入=資本所得+
    労働所得、資本から人的資本を除外するのは、人的資本は他人が所有したり市場取引できないものだから(p49)

    ・所得はフロー、ある期間(通常1年)の間に生産され分配された財の量、資本はストック、ある時点で所有されている富の総額(総資産)、資本はおおむね、住宅資本と企業・政府が使う物的資本に分かれる(p54)

    ・上場企業の株式市場における総市場価値は、通常はその企業の年間利潤12-15年分、つまり年間投資収益率:6-8%(税弾き前)である。500万ユーロの資本を使い、年間100万ユーロの財を生産、60万を労働者賃金、利潤を40万とする。この会社の資本/所得比率β=5(資本が産出5年分)、資本所得のシェア:αは40%、資本収益率r=8%となる、α=r×β(p59)

    ・欧米は産業革命で実現したリードにより、世界に占める人口比率の2-3倍の世界算出シェアを実現できた。これは一人当たりの算出が世界平均より2-3倍高かったからで、こんな時代は終わりつつある(p64)

    ・資本減価償却を1割として考えると、世界では1人当たり平均月額所得@2012は760ユーロとなる、日本は2250ユーロ、EUは2040、米国は3050、中国は520である。(p66)

    ・為替レートでなく購買力平価を使うのは、各国の市民は通常は所得を外国ではなく自国で使うから(p69)

    ・外国からの純所得は日本とドイツでGDPの2-3%であるが、数十年に渡り蓄積してきたので、それに対する今日の収益は大きい(p73)

    ・貧困国が富裕国に追いつくのは、同水準の技術ノウハウや技能・教育を実現するからであって、富裕国の持ち物になることで追いつくことではない。これは正当性のある効率よい政府が実現できるかに密接に関連している(p76)

    ・1700-2012年で世界の算出は年率平均1.6%で成長したが、そのうち0.8%は人口増加分、残りが一人当たり産出の増加からきている、1700年までは成長率0.1%(ローマ帝国時代も2億人はいたと推定)、1820年までは0.5%、1913年までは1.5%、それ以降が3.0%(p78、82)

    ・日本が過去30年で見せた一人当たり産出成長率は1-1.5%だが、人々の生活は大きく変化した。一人当たり産出が30年で35-50%増加するとは、今日生産されているもののかなりの部分が30年前には存在せず、仕事の4分の1から3分の1は当時は存在しなかった。つまり、今日の社会は、18世紀のような成長がゼロ、0.1%の社会とはかなり異なる(p101)

    ・年率3-4%以上の生長が起こった歴史的な事例は、他の国に追いつこうとしていた国で起こったもののみ、追いついた時点で終わるプロセス(p98)

    ・インフレ(あらゆる価格の一般的増加)は富の分配力学に根本的な役割を果たす、公的負債を富裕国が始末できたのはインフレのおかげ(p109)

    ・イギリス、フランスは第一次世界大戦直前には、外国に所有していた純資産は、国民所得1年分とかなり大きかったが、1915年に破たんした(p126)

    ・イギリスとフランスは1880-1914年に構造的な貿易赤字(1-2%)を出せた、外国資産による総収益は5%もあり全く問題なかった。貿易黒字を出していても利益は得られない、モノを所有する利点は、労働なしに消費を続けられること。これが植民地時代に行われていた(p127)

    ・19世紀に政府に貸し付けた人への報酬が非常に多かった、1815-1914年までインフレゼロに対して、4-5%の国債利率で、経済成長率よりもはるかに高い。とても良い投資である(p137)

    ・米国への奴隷輸入は1801年に止まったが奴隷の激増は止められなかった、自然増は奴隷購入よりも低コスト。1770年代に40万人だったが、1800年には100万人(総人口500万人)。1860年には400万人(総人口3000万人)。奴隷制廃止は南北戦争後の1865年。北部と西部では急速な人口成長があったが、南部では奴隷比率はずっと40%(白人600、奴隷400@1860)(p166)

    ・米国南部では、奴隷の総価値は国民所得の2.5-3年分、農地と合わせると4年分以上、奴隷のいなかった北部の富は少なかった、農地は1.5年分程度(p169)

    ・戦前の米国では、奴隷の市場価値は一般的に、自由労働者の賃金10-12年分に相当した。1860年、男性の奴隷平均価格は2000ドル、自由農園労働者の平均賃金は200ドル。(p171)

    ・資本/所得比率β=s/g、s:貯蓄率、s:成長率、毎年国民所得の12%を蓄え、国民所得の成長率が年2%の国では、長期的には資本/所得比率は600%になる。この国は、国民所得の6年分に相当する資本を蓄積することになる(p173)

    ・民間財産は、国民所得の4-7年分となっている、この構造的変化は、1)経済成長の鈍化(人口増加の低迷)、2)民営化と公共財産の民間移転、3)不動産と株式市場の価格に影響した長期的なキャッチアップ現象、で説明できる(p181)

    ・国民所得や国富については、最貧50%、中間層40%、最富裕10%に分割するべき(p279)

    ・非常に高い所得と給与の増加が何よりも「スーパー経営者」の出現によるもの(p313)

    ・長い目で見て賃金を上げて賃金格差を減らす最善の方法は、教育と技能への投資である(p325)

    ・人口の0.1%が国民所得の2%を占めるという事は、このグループの平均的個人が国平均の20倍の高所得を得ている事になる(p333)

    ・資本収益率が常に生産(所得)成長率の少なくとも10-20倍大きかったのは避けられない歴史的事実。ただし、1950-2012年までは、例外的にその差が1%程度(5%強と4%弱)にまで縮まった(p369)

    ・課税後の年間収益率と成長率の比較では、1913-2012年までは例外的に、成長率の方が高かった。富の集中が減ったのは、1914-1945年までの偶発的出来事(戦争)と、資本及び資本から所得への課税といった個別制度がもたらした(p371、391、412)

    ・どんな貯蓄行動の構造においても、資本収益率が上がり成長率が下がると、累積プロセスが速くなり不平等になる(p415、451)

    ・インフレの主な影響は、資本の平均収益を減らすことではなく、それを再分配すること。それは、裕福ではない人に不利益、裕福な人に利益になる(p472)

    ・果てしない格差スパイラルを避けて、蓄積の動学に対するコントロールを再確立するための理想的な手法は、資本に対する世界的な累進課税である(p489)

    ・2008年の危機が大恐慌ほど深刻な崩壊を引き起こさなかったのは、富裕国の政府・中央銀行が、流動性を作り出すことに合意したから。これは大恐慌の「清算主義」とはかけ離れていた(p491)

    ・国民所得の4分の1から3分の1を消費していて、これらはほぼ二等分できる。片方は保険医療と教育、残りは代替所得(年金・失業保険)と、移転支払い(家族休符、公的扶助)にいく(p496)

    ・2010年に米国で可決された外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)で、2015年に順次導入される予定。あらゆる外国銀行は、米国財務省に対して、米国納税者の外国保有銀行口座、投資について報告する必要がある(p547)

    ・欧州ほど巨大な公的債務を大幅に減らす手法として、1)資本税、2)インフレ、3)緊縮財政であり、この組み合わせもできる。民間資本に対する課税が最も公正で効率的、それがだめならインフレ、最悪なのは緊縮財政を長引かすこと(p568)

    2016年2月26日作成

  • 長い上に難解で、理解できなかった部分があった。要するにピケティが言いたいことは「過去から現在までr(資本収益率)はg(国民所得成長率)を上回ってきたから、このまま何の手も打たなければ格差はどんどん開いていくよね」ということだと理解した。この「何らかの手」とは、「教育」と「(累進的)資本課税」だとピケティは主張する。しかしこの実現には高度な国際政治的協調が必要で、難しい。それでもこれを目指していくことが大事だという。

    データが豊富で、非常に説得力がある。経済学や金融財政学の知識をもっと増やして、もう一度戻ってきたいと思える一冊。

  • 20190508
    数年内で1番と言って良いほど話題とされた経済書だと思う。日本でもなぜ流行ったかというと、日本人が敏感な格差社会について書かれている本だからだと思う。
    膨大なデータを元に、先進国の富の蓄積の歴史を概観する。1番のエッセンスとしては、資本所得比率は普遍的に高まっていく傾向にある事だ。言い換えると、資本収益率は普遍的に経済成長を超えている状態が歴史的事実であり、資本経済が効率化するほど資本蓄積の格差は広がっていくという事なのである。
    これを防ぐセーフティネットを市場に組み込むことが民主主義の課題であり、その方法としては、資本課税=累進課税がベストなのであると述べている。
    データを元に歴史的概観を見ている分析手法が、いかにも哲学を持つ経済学者という見方でとても興味深く読むことができた。また、資本蓄積は構造的に格差を生んでしまうという主題も、経済学を信奉する私としては高まるような議論であり、知識や行動を起こせる才能を持つものが労働格差、資本格差をものにするという考えを強くさせた。あくまでも幻想を抱かないように自分を信じて生きていきたい。
    一方で、格差を生んでしまう構造は、民主主義においては過度には良くないという意見にも賛同する。その為に、どういう対策を民間人である自分が立てることができるか?という点は1つライフワークとして検討したい。

    //MEMO//
    平成が終わる時期だからこそ、平成を支えた資本主義=21世紀資本主義の歪みを展望したい。
    r>gが有名で、r=金融資本の伸び率、g=経済成長率ということで、金融格差は拡大するという議論を膨大なデータを元に俯瞰した本という理解である。
    金融に携わる者として、この歪みは解決すべきものなのか?解決する手段を作ることができるのか?について考えを深めたい。

    所得と富、再分配の議論

    α=r×β
    資本/所得比率=β
    所得の中の資本シェア=α
    資本収益率=r

    歴史的教訓
    ①先進国からの投資→その国の産出は高めるかもしれないが、所得を高めるわけではない
    ②先進国からの資本モビリティが、その国の成長を高めるわけではなく、その国の知識の普及をその国が自前で作れるかどうか

    経済成長
    ①人口増
    ②一人当たり生産性増

    資本の変化

    β=s/g
    s=貯蓄率
    g=成長率

    βの蓄積
    ①高貯蓄率と低成長率
    ②国富の民営化
    ③資産価格の回復

    歴史的事実
    r>g

    by=μ×m×β
    by=相続と贈与の年間フロー
    μ=生存者1人当たりの平均財産に対する死亡時の平均財産の比率
    m=死亡率

    格差是正策
    ①社会国家政策(教育、医療)
    ②資本課税: 年次の累進課税
    →銀行口座情報の把握(例: FATCAなど)

    公的債務を削減
    ①資本課税
    ②インフレ
    ③緊縮財政

  • ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
    自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
    コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今までの生活を続けられるものがいる。コロナ中に本著を読むと、同意する点が多い。NHKでたまに報道する資本や経済の特集でいろんな学者が登場するけど概ね同じようなこと言ってるように思う。
    また、気づいたことの一つとして、ピケティはかなりの文学の読書家でもあるということだ。経済学者だから経済の本ばかり読んでいるのかという先入観は持ってはならない。この本にはゴリオ爺さんや、pride and prejudicsといった文学作品が多々登場し、その生活ぶりから当時の貧富の差、貴族の所得等が説明されている。こういう人は多くの間口から学ぶし、実際に「終わりに」では、経済学者は計算ばっかりしてないで、社会や政治にも関わって考えるべきということを述べている。
    結局私はこの本の600pで経済のことはちょっとしか学習できなかったかもしれないが、少しは見識が広まったかな。そうであれば良いな。

  • フランス人経済学者による、資本主義について書かれた本。
    著者は、r>gという不等式を使って、過去に蓄積された富が、労働賃金の成長より上回ることを問題視している。フランスをはじめ、イギリス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国、あるいは米国、日本などに関する豊富なデータをもとに、論理を展開しており、論理的で説得力がある。問題解決策として、累進的な資本税の導入を主張している。
    マルクスやレスター・サローと資本主義に関する分析は大きく違わないと思うが、不完全にしろデータの裏付けがある分、より学術的アプローチに挑戦していると言えるのではないか。

    「資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになる」p2
    「産業革命以来、格差を減らすことができる力というのは世界大戦だけだったことがわかる」p9
    「マルクスの主要な結論は、「無限蓄積の原理」とでも呼べるものだ。つまり、資本が蓄積してますます少数者の手に集中してしまうという必然的な傾向だ。これがマルクスによる資本主義の破滅的な終末予測の基盤となる。資本収益率がだんだん下がってくるか(そうなると蓄積の原動力がなくなり、資本家同士の紛争が起こる)、国民所得における資本の比率が無限に上昇するか(そうなると遅かれ早かれ労働者たちが団結して反乱を起こす)。いずれにしても、安定した社会経済的、政治的な均衡はあり得ない」p11
    「相続財産を持つ人々は、資本からの所得のごく一部を蓄積するだけで、その資本を経済全体より急速に増やせる。こうした条件下では、相続財産が生涯の労働で得た富より圧倒的に大きなものになる」p29
    「過去の成長は、ほぼ常にかなりゆっくりした年率で生じており、通常は年率1~1.5%程度の成長でしかなかったのだ。年率3~4%以上の成長は、他の国に急速に追いつこうとしていた国で起こったものだけだ」p99
    「ドイツは20世紀、どの国よりも、インフレで公的債務を埋めてしまった国だったと言える。両世界大戦で二回とも巨額の財政赤字を出したのに、いずれの場合もインフレによって負債はかなり低い水準まで急減した」p149
    「1800年、奴隷は米国人口の約20%を占めていた。総人口500万人のうち、奴隷はだいたい100万人。南部では、奴隷が占める比率は40%に達した」p167
    「長期にわたる純粋資本収益率の安定(18、19世紀は4~5%、現在は3~4%)は、たいへん重要な意味を持つ」p214
    「最初に気づく規則性は、資本の格差が、労働所得の格差よりも常に大きいということだ」p254
    「(財産構成)トップ十分位のほとんど全員が持ち家だが、不動産の重要性は富の階層を上がると激減する。トップ百分位では、金融、事業資産が不動産を凌駕する。資産1000万ユーロ以上では、不動産は10%以下で財産の大半は株だ。住宅は中流階級と小黄金持ちに人気の投資だが、本当の富は常に金融、事業資産が主体なのだ」p269
    「今日では、資本所得が労働所得を上回るには、社会階層のずっと高いところまで登りつめる必要がある。資本所得が労働所得を超えているのは所得配分の上位0.1%に限られる」p286
    「金融危機があっても米国の格差の構造的拡大は止まっていない」p307
    「(米国)2000~2010年の所得階層上位の0.1%の大半がトップ重役だと言える。スポーツ選手や役者、さまざまな分野のアーティストは、グループの5%以下でしかない」p313
    「長い目で見て賃金を上げ賃金格差を減らす最前の方法は、教育と技術への投資だ」p325
    「どんな社会でも、富を蓄積する過程は主に二つある。労働と相続だ」p394
    「(世界の富の格差)トップ千分位が世界の富の約20%、百分位が約50%、十分位が80~90%を所有している。下半分が所有しているのは、どう見ても5%未満しかない」p454
    「(1990~2010年の資産変化)ビル・ゲイツは、10年以上「フォーブス」ランキングの第一位に君臨したが、その資産は40億ドルから500億ドルに増加している。ロレアルのリリアンヌ・ベタンクールは、20億ドルから250億ドルに増加している。どちらの財産も、1990~2010年の年間成長率は13%超で、インフレ調整後の実質資本収益は10、11%相当だ」p456
    「報告されていない巨額の金融資産がタックス・ヘイブンに存在する。ガブリエル・ズックマンの推計によると、世界のGDPのおよそ10%に相当する。これを上回る(最大で2,3倍の)推計を出したNGOもある」p484
    「保健医療・教育への国家支出と代替・移転支払い(年金、失業保険)を足すと、社会支出は総額で国民所得の25~35%となる。これは20世紀の富裕国における政府歳入増加のほとんどすべてを占める」p498
    「70%以上の税率を試してみた最初の国は米国だった」p528
    「(米経済学者)経済的、金融的なエリートたちは、自分の利益を死守するためなら、天井知らずの偽善ぶりを発揮する。かれらは、米国の所得階層の中でうらやむべき地位にいるのだ。自分の私的利益を擁護しつつ、それが一般の利益を守る行動なのだというあり得ない主張を平気でする。どうも米国の政治家たちは、民主党だろうと共和党だろうと、ヨーロッパの政治家たちよりもずっとお金持ちであり、平均的な米国人とは全く違う区分に属しているらしい。これでなぜかれらが、自分の私的な利益と社会全体の利益とを混同しがちなのか説明がつくのではないか」p537
    「(中国が資本統制をしていること)この点で中国は明確に有利であり、資本統制で中国を負かすのは困難だろう」p563
    「政府が支出をまかなう方法は主に二つ。税金と負債だ」p567
    「(巨大な公的債務を減らす方法)手法は三つある。資本税、インフレ、緊縮財政だ」p568
    「不安定化をもたらす主要な力は、民間資本収益率rが所得と算出の成長率gを長期にわたって大幅に上回り得るという事実である」p601
    「不等式r>gは、過去に蓄積された富が算出や賃金より急成長するということだ」p602

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著者プロフィール

(Thomas Piketty)
1971年、クリシー(フランス)生まれ。パリ経済学校経済学教授。社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。EHESSおよびロンドン経済学校(LSE)で博士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執る。2000年からEHESS教授、2007年からパリ経済学校教授。経済発展と所得分配の相互作用について、主要な歴史的、理論的研究を成し遂げる。世界不平等研究所および世界不平等データベースの共同ディレクター、「欧州の民主化のためのマニフェスト」の発起人も務める。著書に『21世紀の資本』(2014)、『世界不平等レポート2018』(共編、2018、以上みすず書房)、『トマ・ピケティの新・資本論』(日経BP、2015)、『格差と再分配』(早川書房、2016)、『不平等と再分配の経済学』(明石書店、2020)ほか多数。本書は『ルモンド』紙に2016年から2021年にかけて連載されたコラムに基づいており、その一部は朝日新聞にも抄訳掲載されている。

「2022年 『来たれ、新たな社会主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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