貧困と闘う知――教育、医療、金融、ガバナンス

  • みすず書房
3.63
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本棚登録 : 182
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622079835

作品紹介・あらすじ

インド、マラウィ、ケニア、メキシコ、バングラデシュでの実践が明らかにしたのは……ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには? 低コストで子どもたちの教育を改善するには? 出勤しない教師や看護師にどう対応する? マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か? 村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか?

「そのコンセプトの明快さ、その柔軟性、そしてそれが政策と研究の交差点に位置していることによって、ランダム化比較実験は特別に豊かで汎用性が高い道具になった。…本書では、こうした実験について報告することで、人間開発の挑戦に新たな光を当てることにしたい。私たちは、伝統的な政策はどの程度まで目的を果たすことができたのか、そして、これほどまでに進歩が遅いのはなぜなのかを、理解しようと試みる。この探究を進めるにあたって、私たちはアクターの行動や動機の豊かさを明らかにしようと試みる。これらをよく理解することによって、私たちは、より効果的な政策を立案するための道筋を提案できることになるだろう」(第 I 部の序)

生活水準のみならず、市民的自由の前提でもある、教育、医療、金融、ガバナンスについての最新の研究成果を凝縮。

感想・レビュー・書評

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  • RCT randomized controlled trial ランダム化比較試験。
    貧困層の親を説得して子供が学校に行けるようになったから識字率が向上するわけではない。報酬や無料配布した所で貧困解決に直結するわけでもない。
    その土地、慣習を踏まえ客観的に効果を見ることの大切さ。教育、医療を向上させるには汚職の追放も必要。

  • 9月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311476115

  • 日本にも当てはめられるかなあ。
    感覚的にはかなり適合できそうな部分があると思う。

  • この本は、貧困への対策である、諸問題に対して実際の処方箋を作り上げている途中の闘いについて書かれている。もちろんそれらの諸問題への対策も大事だし、触発されるが、最も触発されたのは、RCT(ランダム化比較実験)の力と、発見された問題へのアプローチである。為政者だけでなく、お前が、頭の中で考えたことなど、漏れがあるのだから、試して原因を執念深く探れという強烈なメッセージである。

  • 教育、健康、汚職への抵抗。
    これらを成立させ貧困から脱出するための方法を模索するのが骨子だが、徹底してRCTを活用している。
    教育にせよ健康にせよ、まずそれらの必要性を伝えなければならない。

    予防医療よりも対処療法のほうが効果がわかりやすく受け入れられやすい、予防医療は忌避すらされているというのは昨今のワクチン拒否のニュースを聞くと対岸の火事ではないことがわかる。

    貧困という言葉から日本という国を想起する人は、現代ではあまりいないかもしれない。
    しかし教育の貧困は足元で始まっているような気がしてならない。

  • あるところでを無償配布して成果を出したからとただ闇雲に教科書を配れば成果が上がるわけではない。スワヒリ語地域に公用語だからと英語の教科書を配っても恩恵は少ない。
    画一的な政策ではなく、それぞれの社会・文化にあった立案と、それに対する評価と分析、さらなる改善を続けていくことが重要。
    ばらまいてなんでも効果が上がるのなら、今日日の貧困は半減してなきゃおかしい。

  • 180616 中央図書館

  • 貧困に対する施策のランダム化比較実験による分析を紹介した開発経済学の本です。

    子供が学校に通うには、マラリアから身を守る蚊帳を普及させるには、少額の信用取引を成立させるにはといった生活の根幹に立ちはだかる課題について、異なるエイズ予防教育プログラムが実施された学校間での女子の妊娠率の違いはどうかといった、無作為なグループ分けによる各群に異なる施策を実施しその効果を検証しています。

    貧困援助について言われる「魚を与えるのではなく、釣りの仕方を教える」といったアプローチは、釣りの仕方を習得する価値が理解されることが前提になっています。重要なのは、相手は一方的に施される受動者ではなく、主体性を持ったアクターであるということであり、アクターと価値観が共有されているとは限らず、また自分の価値観がアクターの価値観が当然優先されるとも限らないということです。

    これは貧困フィールドに限らず、マーケティング一般に言えることでしょう。本書で扱うマイクロレベルの経済行動は、人間の本質的な誘因への反応をつまびらかに語ってます。その点では、前提とする価値観が絶対ではないかもしれないという警句を知ることで、貧困を扱わないビジネスを行う人にとっても有用な本と言えます。

  • 原題:
     LE DÉVELOPPEMENT HUMAIN: Lutter contre la pauvreté (I)
     LA POLITIQUE DE L’AUTONOMIE: Lutter contre la pauvreté (II)
    著者:Esther Duflo (1972-)
    http://economics.mit.edu/faculty/eduflo/
    訳者:峯 陽一 (1961-) 
    訳者:Koza Aline (1961-) 
    装丁:川添英昭
    カバー写真:名越啓介『SMOKEY MOUNTAIN』より

    【内容紹介】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/216頁
    定価 2,916円(本体2,700円)
    ISBN 978-4-622-07983-5 C1033
    2017年2月17日発行

     開発経済学の最前線をコンパクトに紹介。ランダム化比較実験(RCT)の手法を駆使して、常識を覆し、貧困削減の具体的政策を提示する。
     インド、マラウィ、ケニア、メキシコ、バングラデシュでの実践が明らかにしたのは……ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには? 低コストで子どもたちの教育を改善するには? 出勤しない教師や看護師にどう対応する? マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か? 村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか?
     「そのコンセプトの明快さ、その柔軟性、そしてそれが政策と研究の交差点に位置していることによって、ランダム化比較実験は特別に豊かで汎用性が高い道具になった。…本書では、こうした実験について報告することで、人間開発の挑戦に新たな光を当てることにしたい。 私たちは、伝統的な政策はどの程度まで目的を果たすことができたのか、そして、これほどまでに進歩が遅いのはなぜなのかを、理解しようと試みる。この探究を進めるにあたって、私たちはアクターの行動や動機の豊かさを明らかにしようと試みる。これらをよく理解することによって、私たちは、より効果的な政策を立案するための道筋を提案できることになるだろう」(第 I 部の序)
     生活水準のみならず、市民的自由の前提でもある、教育、医療、金融アクセス、ガバナンスについての研究成果を濃密に解説。
    http://www.msz.co.jp/book/detail/07983.html


    【目次】
    謝辞 [002]
    目次 [003-007]

    第 I 部 人間開発 009
    第 I 部の序 010

    第1章 教育――通わせるか、学ばせるか 010
    教育を普及させる――伝統的アプローチ 010
      学校教育に補助金を出す/親に支払う/伝統的アプローチの限界
    学校教育への参加を促す 026
      教育の価値を知らせる/生徒たちの健康状態/費用と便益
    知識の伝播 033
      「同じものを増やす」という失敗/追加的な資源を利用して教育法とモチベーションを変える/教員にモチベーションを与える――金銭的インセンティブが果たす役割
    制度を改革する 048
      親にすべての権力を?/学校の民営化?
    学校を改革する 055

    第2章 健康――行動と制度 058
    ウダイプルにおける保健医療 059
    保健医療の供給と需要――切り離せない諸要因 064
      階層的アプローチ/利用者の動員/良質なサービスに対する需要が弱いのはなぜか
    予防行動の価格感受性が強いのはなぜか 074
    予防医学に関する情報の伝達――戦略、成功、失敗 080
    保健医療政策にかかわる含意 087

    第 I 部の結論 089


    第II部 自立政策 093
    第II部の序 094

    第3章 マイクロファイナンスを問い直す 100
    貧困と、融資へのアクセス 102
      信用市場の経済分析/高い金利で需要は縮小するのか/高い金利は信用の質を悪化させるか
    マイクロファイナンスの成功の秘訣 116
      女性にお金を貸す/毎週の返済/連帯責任による貸付/グループでお金を借りる/マイクロファイナンスと取引費用 
    マイクロクレジットのインパクト 127
    クレジットを超えて 132
      強制的な規律/保険の効力/マイクロファイナンスにはどのような未来があるか

    第4章 ガバナンスと汚職 142
    どうやって汚職と闘うか 143
      汚職を計測する/汚職を理解する/汚職と闘う
    地方のガバナンスを改善する 158
      地方分権の利点と弱点/民衆参加の効率性/ルールと政策決定/クオータ制によって女性蔑視を緩和することができるか/能力か、イデオロギーか
    ガバナンスと、貧困に対する闘い 176

    第II部の結論 179

    訳者解説(二〇一六年一一月二五日 訳者を代表して 峯 陽一) [183-197]
    原注 [1-11]

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著者プロフィール

MITアブドゥル・ラティフ・ジャミール記念教授(貧困削減および開発経済学担当)
フランス出身。パリ高等師範学校卒業後、1999年にMITにてPhD取得(経済学)。2009年には「天才賞」として知られるマッカーサー・フェローシップを、2010年には40歳以下の経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞。2013年ダン・デービッド賞、2014年インフォシス賞、2015年アストゥリアス皇太子賞など受賞多数。著書に『貧乏人の経済学』『貧困と闘う知』がある。2019年、ノーベル経済学賞を受賞。

「2020年 『絶望を希望に変える経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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