父が子に語る世界歴史 1 文明の誕生と起伏[新版] (父が子に語る世界歴史)

  • みすず書房 (2002年10月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784622080114

感想・レビュー・書評

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  • 未来ある歴史書。過去形に終わっていない
    特に、彼の宗教に対する考察には納得。
    今まで漠然と感じていた疑問はこれだったかと思う
    歴史の話ももちろん良いのですが、
    そこをぶっ飛ばして、
    考え方とか娘へのメッセージだけ読んでも充分意味がある

  •  インドの進歩的指導者ジャワーハルラール・ネルーが、1930年から1933年にかけて獄中で娘のインディラ(当時14-17歳)に書いた196通の手紙。それを全8巻の本にまとめたものだ。ネルーといえば、ぼくが子どもの頃はインドの首相であり(当時はネール首相とよばれていた)、非暴力社会主義をかかげてインドの独立運動、近代化、国民の生活向上に尽くした人だ。ついでにいえばインディラも後年父の遺志を継いで首相となった。獄中にあって直接教えることができない娘に、古代から近代までの世界の歴史をわかりやすくかつ詳細に綴られている。本書はいくつもの特長をもつが、まずは当時の世界通史として全世界にわたって詳細で、何よりすばらしくわかりやすく書かれた本として稀有のものだろう。娘に語りかける手紙なので、難しい語彙もなく口語的でくだけた表現が多用され、とても読みやすい。このあたりは訳者の大山聰氏の力があってこそだ。ネルーその人の人となりを生き生きと浮かび上がらせ、娘を思う父の心情をあますところなく伝えるすばらしい訳文だと思う。さらに特筆すべき点は、本書が一貫した思想的立場で書かれていることだ。古代から近代までの世界の歴史は、いつの時代にあっても、おごり高ぶり金儲けしか頭にない一握りの抑圧者たちと、常に虐げられ、搾取される一方の貧しい人民との対比の構図になっている。著者はいつも弱者の側に立ち、痛烈な筆致で前者を批判する。読んでいて痛快になる。かようにすばらしく多くの人にお奨めしたい本書だが、二つだけ欠点がある。一つはインド人の指導者が娘に書いたものなので、当然ながらインドに関する記述が多い。学校ではあまり習わない詳細なインド史の勉強と思えばよいのだが、人名、地名、民族、宗教などの知識があまりないぼくには、残念ながらよく理解できないことが多く、斜め読みした部分もあった。二つ目はこれもしようがないことだが、最後に出獄した1934年にまとめられた本なので、その時点で記述が終わっている。ちょうどムッソリーニやヒトラーが台頭して混迷を深める世界に次の大戦の足音が聞こえ始めた時代だ。ネルーは第二次大戦後しばらく存命だった人だから、ぜひそれ以降のことも書いてほしかったと思うが、たっぷり時間のとれる獄中と違って、後年は多忙な政治家として生きた人だから、これはないものねだりというものだろう。このトシになるまでこんな名著があるなんて不覚にも知らなかった。でも、気がついて読むことができてよかった。世界の指導的立場にある人が何人かでも、彼のような高邁な理想をもち続けていてくれたら、世界はもう少し平和になったのではないだろうか。本書が一人でも多くの人に読まれることを心から願う。

  • 20130724
    さだまさしの本で紹介されていて、読んでみる。非常に読みやすい。そして中立な歴史観と宗教観。

  • あるいはこれは思想といった方がいいかもしれない。家族への愛と、生の讃歌といった方がいいかもしれない。投獄されたネルーが娘にあてて書いた手紙。生きざまがそのまま現れた名作です。全10巻

  • 全8巻。インドの独立と初代首相となったネルー氏が獄中から娘に送った手紙。

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著者プロフィール

1889年生まれ。インドの政治家、民族独立運動の指導者。英国の支配に抵抗、1945年までに下獄9回、人生の最盛期を獄中に過ごした。この間、ガンディの不服従非暴力運動にも協力した。1947年の独立とともに、首相、外相および連邦関係相を兼ねた。49年連邦首相会議、55年バンドンのアジア・アフリカ会議と内政に外交に多面的な活躍をした。その反帝国主義、反植民地主義、反人種差別主義には戦後世界をリードしていく歴史感覚と民衆への愛情があった。1964年歿。おもな著書 『自叙伝』(「世界の名著」63、中央公論社、1967)、『インドの発見』(全2巻、岩波書店、1953-56)ほか。

「2016年 『父が子に語る世界歴史 8 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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