理想の教室 ポップミュージックで社会科

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 52
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622083047

作品紹介・あらすじ

「ドナドナ」はユダヤ人迫害や虐殺と関係していた。「思い出のグリーングラス」のポイントは?身近な歌のなかに、どのような社会的な場面や記憶、人々の思いがこめられているか。ジョーン・バエズ、ジャニス・イアン、ボブ・ディラン、友部正人、中島みゆきらの歌を具体的に採りあげ、音楽と社会の関係について考えます。

感想・レビュー・書評

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  • 高級社会科。アドルノの系統の先生の「音楽と社会」。ジャニスイアン、ボブディラン、友部正人、中島みゆき、とか。

  • 音楽
    社会

  • 『ドナドナ』のイディッシュ語の歌詞を紹介し、その背後にホロコーストないしポグロムの影が差し込んでいることを指摘します。また、ジャニス・イアンのプロテスト・ソングをとりあげ、彼女が生きたアメリカ社会のなかで黒人が置かれていた状況などとのつながりを読み解いていきます。

    一方で著者は、『ドナドナ』の日本語の歌詞にはそうした内容が十分にくみつくされていないことを問題視しながらも、それゆえに意識的ないし無意識的な「検閲」をくぐり抜けて現代の日本の子どもたちにこの歌が届けられたことに、希望を見ようとしています。ここには、アドルノの研究者でもある著者の「投壜通信」に関する解釈が見られるように思います。

    最後は、友部正人と中島みゆきという二人の日本人歌手がとりあげられ、あさま山荘事件などの時代背景を参照しつつ、彼らの歌から届くメッセージに耳を傾けようとしています。

    「ポップミュージックで社会科」というタイトルから期待したほどにはキャッチーな中身ではなかったのですが、コンパクトな本でおもしろく読める内容でした。

  • 「ドナドナ」で連れ去られる仔牛は、実は強制収容所に送られるユダヤ人の子どものことだった!? というミステリーを解くことに始まり、ボブ・ディランやジョーン・バエズ、中島みゆきまで。当時の社会のありさまを、歌に込められたものから読み取ろうというおもしろい企画。高校生向けということもあり、記述も平易で分量も適当。「思い出のグリーングラス」の歌詞が日本語訳されるときにどう変えられたか、というのもおもしろかった。日本語詞では「傷心で田舎に帰ってきた私だけど、家族っていいねー」という歌なんだが、もとの英語詞を見てみると……。でも、たんに「だーから日本の歌はだめだめじゃん」という表面的な総括をしないのもよし。
     まぁ、本から音は聞こえてこないわけで、そこらへんはいたしかたないがもどかしい。また、「ドナドナ」はすごく新鮮だが、ボブ・ディランやジャニス・イアン、中島みゆき……となると、なんか人選的にわかりやすくないか? いや、ケチつけてるわけじゃないけどさぁ。ちと「ポップ・ミュージック」の選び方が偏ってないか? たとえばブルース・スプリングスティーンがとかさ、実はブルーハーツの『リンダ・リンダ』には……とかさ、エミネムにちろっと触れるとかさ……だと、もっと「すげー」って言えそうなんだけど。
     まじめな本なので、「これで精一杯」という感じは否めないが……基本的には楽しく読めたし、チャレンジとしてグッジョブだと思う。

  • みすず書房の「理想の教室」シリーズの本で、大阪芸術大学の集中講義などを下敷きにかかれたもの。図書館の蔵書整理中にふと気になって手に取ったのですが、「ドナドナ」に隠されたユダヤ人虐殺の記憶など、読者(講義の聴衆)の興味をうまく引きつつ社会問題を講義する内容です。徳大でもこういうのやったらいいのに、そのときには図書館の資料が役に立ちますよ、とアピールして・・・と、今後のラーニング・コモンズの展開に使えないだろうかという下心で読んでいました。このシリーズは面白そうです。

  • 流行した音楽の意味を解く。
    そうかドナドナは人であったか。

    社会状況を知った上で聞くと意味が分かってくる。
    社会状況以前に曲を知らない自分が残念だ。
    とりあげられているのが古い洋楽だから仕方ないんだけど。

    …今の日本に取り上げられることが出来るような意味を持った流行歌はない気もするが。
    というか、あってもそういう風には読まれないし取り上げられることが少ない。
    音楽は消費するもので、こういう読み方は教えられてない。

  • 著者はドイツ思想が専攻の社会学教授。小生より一世代下で、まさか年端もいかぬころから歌謡曲を聴いていたわけではあるまいが、よく60年代の音楽シーンを捉えている。
    それほど音楽好きというわけではないが、70年代までのポップスやシンガーについては、時々の社会情勢と共に記憶が甦る。さすがに80年代を超えると親しみが薄くなって、90年代以降はもうついていけない。
    戦後日本の歌謡曲やポップスの歴史をこのような形で読んでみると、何気なく聴いていた音楽が歴史や社会を形作ってきたこと、あるいは歴史や社会から生まれたものであることがよく分かって面白い。

  • 10043
    03/26

  • ゼミで読みました

  • この本を読んだらこの本で紹介されている曲を聴かないと。さらに曲を聴きながら本を読み進めることをおすすめします。
    じゃないと・・・。
    でも、ドナドナとかってポップミュージックなんですね。

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著者プロフィール

1962年、丹波篠山市生まれ。京都大学教授。2014年より大阪文学学校校長。
詩集:『沈むプール』『バイエルの博物誌』『言葉の岸』『ホッチキス』『家族の午後』
   『闇風呂』
主な詩評論書:『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『永山則夫』『ディアポラ を生きる詩人 金時鐘』『石原吉郎』『「投壜通信」の詩人たち』ほか。

「2020年 『ほとぼりが冷めるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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