『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室)

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 182
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622083061

作品紹介・あらすじ

大人になることは、かつては親を超えることでした。ところが、その機会を奪われたのが、ほかならぬ「先生」です。そこに不幸の始まりがありました。「先生」が果たせなかった"父親殺し"の問題を、詳細に追究します。さらに、「先生」「K」「私」をめぐって幾重にも仕掛けられた驚くべき謎を読み解きます。最高の漱石入門。

感想・レビュー・書評

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  • 【自由研究】『こころ』(1)
    先生はなぜ自殺したのか。これが自分が今までずっとモヤモヤしている謎です。
    この本は、自分で気付かなかった新たな視点をもたらしてくれました。
    高校の頃読んだときは、親友を死なせた罪悪感からかなとか、社会人になって読み返したときは先生のエゴかなとか。その時々で感想は変わりましたが、これといった答えは見いだせませんでした。
    大人になれなかった先生。
    そう言われると、確かに自分が感じていながら言葉にできていなかったモヤモヤを、ちょっと過激ですが著者が見事に言葉にしてくれた、というのが今回の感想です。(まだ完全にスッキリしていないところにこの小説の奥深さがあるのですが…)

    もちろん大人になれなかったから自殺したという単純なものでもないと思いますし、答えなど誰にも出せないのかもしれません。(そもそも答えなど必要ないのかもしれません)

    親を超えることが大人になること、というのは時代の違いかよくわかりませんでした。また、静は全部知っていたとか、先生の死後、静と青年が結婚した説とか同感できないところもありました(そもそも静って名前出てきたっけ??)

    自分の読みがまだ浅いせいかもしれません。
    まだまだ自由研究が必要と思われます。

  • 最近漱石の心理描写に惹かれているので、先生、K.青年、お嬢さんの内面について、わかりやすい内容で良かった。

  • こころ、こんなふうに読めるのか!

  • 外側の自分と内側の自分の一致を求めていることが、大人になれていないことを示しているという部分、Kの自殺の理由が自分にあると思っていたことが、Kの意思決定の存在を軽視していたことを示しているという部分が、自分自身の他人との関わり方に重なった。

  • 高校の授業でやったのと同時に読みたかった..!!
    こんな解釈が出来るのかと驚きっぱなしでどんどん読み進められた。
    文章は読みやすいし前半は後半の為に「こころ」の本文(全文でない)が載せてあるので久々に読んでもこれ一冊で多分理解出来るんじゃなかろうか。

  • 夏目漱石の『こころ』にかくされた意味を、ミステリの謎解きのように著者が明快に解き明かしている本です。

    漱石はもう読まれていないと著者はいい、本書の冒頭にも『こころ』の本文テキストが抄録されているので、『こころ』を読んだことがない読者でもおもしろく読むことができます。

    著者自身、「全体として、僕の読解にはややトリッキーな感じを受けるかもしれません」と述べていますが、テクストに内在的な読解を通じて、先生と奥さん、そして語り手の青年の三者のあいだにあった思いもかけない関係を大胆に推測しています。

  • 文学

  • そんな視点もあるか…❕
    書いている『私』の状況と、お嬢さんがどこまで知っていたのか。

  • 先生、青年、静の立場から「こころ」を読む

  • 高校2年の現代文の授業でやった『こころ』が好きだった。
    矛盾点とか、全然気付かなかった。
    こういう解説も面白い。
    国語が面白くないという人は、ぜひ、『こころ』を読んでから挑戦してほしい。

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著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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