『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待 (理想の教室)

著者 :
  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622083184

感想・レビュー・書評

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  • ボッティチェッリの名画とそれを取り巻く社会情勢・様々な文化的背景を見ていくうちに、当時のフィレンツェの熱気が伝わってくるようだった。イコノロジーとその限界という部分では、作品(絵画に限らず)の解釈について、もやもやと感じていたことを自分の中でわずかながらも整理できたように思う。

  • 絵画鑑賞の手引き。
    ボッティチェリの、ヴィーナスの誕生と、春というふたつの作品を、段階を追って鑑賞していく。
    説明がていねいで、わかりやすくて良かった。
    イコノロジーの限界についての話は、思うところがあった。

  • 2つの作品をみる立場を、美術(単体で鑑賞する絵画)からインテリア(空間装飾としての調度品)へ、さらにフィレンツェの祝祭空間(作品の誕生した時代の文化)へと移動する。それによって解釈に用いるコードが劇的に変化し、全く違った様相を見せるのが興味深い。

  • ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」についての論考・・・というより、一点の有名な作品を題材にした、絵画の鑑賞法入門になっている。
    「ヴィーナスの誕生」をもとに、まず、対象の絵画それ自体から見えるもの・・・様式論、エクフラシスを試み、次に、イコノロジーを通じて
    絵画に暗示されるものを読み取ってみせる。さらに、イコノロジーの限界についても注意を促したうえで、それを越えて絵画を捉える・・・
    描かれた当時の社会的、文化的背景から、生きた絵画の解釈にたどり着く・・・これを「絵を楽しむ」と著者は表現している。
    実は難しいこと、深いことだけれど、それをとてもわかりやすく、やさしく書いてある、いい本です。

著者プロフィール

岡田 温司(おかだ・あつし):1954年広島県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。現在、京都精華大学大学院特任教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院)で吉田秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社)で読売文学賞を受賞。ほかに、『反戦と西洋美術』(ちくま新書)、『西洋美術とレイシズム』(ちくまプリマー新書)、『最後の審判』『マグダラのマリア』『アダムとイヴ』(中公新書)、『デスマスク』 『黙示録』(岩波新書)など著書多数。

「2024年 『人新世と芸術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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