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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784622085713
作品紹介・あらすじ
むろん精神科医の本領は著作や論文にあるのではない。そういう意味で結局、精神科医としての彼女をもっとも深く知る人は彼女とかかわった患者あるいはその縁者たちであると思う。しかし病いが軽快し癒えるとともに、精神科医は忘れ去られてあたりまえである。患者が自力で立ち直ったと思う時にはじめて精神科医の仕事が完了する。その意味でも精神科医であることは彼女の願ったとおりの仕事であり、彼女の願ったとおりに、地上でもっとも大きな仕事はついに誰の目にもみえないままで留まるであろう。著作集は彼女がこの世に残した爪跡のうち目に見える僅かな部分である。(「精神科医としての神谷美恵子さんについて」1983)
日本の精神医学に新たな道を切り拓き、透徹した理性と柔軟な感性、研ぎ澄まされたアンテナ感覚で人と時代を捉えてきた精神科医・中井久夫。1964年にペンネームで発表した論考から東日本大震災以後まで、半世紀にわたり世に届けつづけた作品の数々をここに年代順に編み、著者の歩みの一端を共有したいと考える。全11巻。
感想・レビュー・書評
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本著は精神疾患の患者への向き合う姿勢と思考と思索と実践を描いた良書である。
精神の病むときに社会や組織や家族や周囲は復帰へ急かすだろう。本来であればそれらの働きかけは逆効果だと主張している。
時代は60年代から80年代、高度成長期の渦中である。その時代においての精神科医の関わり方としては先進的な患者に寄り添い傾聴する姿勢は新しさを感じた。現代においてもその考え方や姿勢は受け継がれている。
精神疾患は簡単に回復するようなものではない。精神論でどうにかできる話ではない。脳の損傷であり、脳の病である。そんな精神を患った方々へ寄り添う思考と思索と試みは大切だと私は感じている。
患者が回復して自立するためには、本人の心の思考の流れを把握する必要があり、環境を変えることは必須だろう。徐々に本人が「治る」という概念を知れば患者の世界は変わり、好転していくだろう。専門家と患者の関係性もだが、環境という場所を変えることも回復するうえで必須だと本著から窺うこと知れた。
本著を含む全11巻のうちの最初の1冊ではあるが、患者の生き方を考えて実践してきた読み応えのある良書といえよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中井久夫集 1 『働く患者――1964-1983』(全11巻・第1回)
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短編集。その中の一部しか読んでいない。バートランドラッセルについての所を読んだ。サイバネティクス、ウィーナー、コンピューターの基礎、こういったものにラッセルが関わっていたということを知った。
それ以外の短編も少し読んだかも。
著者プロフィール
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