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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784622086192
作品紹介・あらすじ
「なぜ自分はこんなにながいあいだ、サバにこだわりつづけているのか。二十年前の六月の夜、息をひきとった夫の記憶を、彼といっしょに読んだこの詩人にいまもまだ重ねようとしているのか」(須賀敦子「トリエステの坂道」)。
イタリアの辺境トリエステに生きた20世紀屈指の詩人サバ、そのはじめての邦訳詩集である。全詩集『カンツォニエーレ』をつねに傍らに置いていた訳者は、自身のエッセーにもときおり、この詩人の一節を引用した。「閉じこもった悲しみの日々にわたしが/自分を映してみる一本の道がある」。
そしていま、ゆっくりと日本語に移された詩作品68篇が一冊の本となった。前期の代表作『トリエステとひとりの女』『愛ゆえの棘』、物語のような詩集『自伝』から、晩年の『地中海』の絶唱まで、ここに選ばれたどの一篇をとっても、この詩人と翻訳者のたぐいまれな出会いを明かすものであり、読む者に慰めと歓びを与えてくれるだろう。
感想・レビュー・書評
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ウンベルト・サバはイタリアの詩人。1883年トリエステ生まれ。
訳者の須賀敦子によると「平明な口語による自伝的・物語的要素を素材とし、これを伝統的な詩法を巧妙に駆使して、透明な音楽性に支えられた詩行に変え、虚構化してゆくサバの手法は他に類がなく、モンターレと並んで20世紀イタリア最大の詩人といわれる。」
https://www.msz.co.jp/book/author/sa/14604/
ここで記載されている「透明な音楽性」は翻訳することで失われてしまっている・または最大限残した結果日本語的には語順が歪になってしまっていると思われ、翻訳の限界も感じたものの、好きな詩もいくつかあった。
印象的な風景・情景を描写し、そこに人生を投影していく詩が特に心に沁みた。
また、それとは別に、須賀さんが胸に抱き締める、一番幸福だった時代の記憶(サバを亡き夫君とよく一緒に読み合っていたのだとか)が浮かび上がるようで、幸せで切ない気持ちになった。
中でも圧倒的に好きだったのは詩集『トリエステとひとりの女』と最後の須賀さんのエッセイ『トリエステの坂道』だったので、私はトリエステに惹かれたのかも。それもそのはず、エッセイによるとトリエステはイタリアとオーストリアを行き来した歴史を負い、両文化が合流しせめぎ合う街であり、サバにもトリエステという街にも異文化の重層性が流れているんだとか。(多文化性というテーマが大好物)
一つだけ紹介(※これだけ言っておきながらトリエステの詩集ではないところから引用)
「ミラノ」
石と霧のあいだで、ぼくは
休暇を愉しむ。大聖堂の
広場に来てほっとする。星の
かわりに
夜ごと、ことばに灯がともる。
生きることほど、
人生の疲れを癒してくれるものは、ない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
翻訳の須賀敦子さんは私の大好きな作家。
そしてウンベルト・サバは敦子さんのご主人がこよなく愛した詩人。
前から気になっていたので、この機会に読んでみました。
しかし、よくわからない…。
もっとも自分、短歌や俳句だって解説読まないと理解できない人間だから、
しかたないんだと思った。
巻末に敦子さんの『トリエステの坂道』が掲載されていて
何度読んでも心地よい作品
「やっぱり私は敦子さんが好き、また読もう」と思いました。
著者プロフィール
須賀敦子の作品
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