新版 日本のルィセンコ論争

著者 :
制作 : 米本 昌平(解説) 
  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622086208

作品紹介・あらすじ

かつて、非科学的な遺伝学説が日本の生物学会を席捲し、科学は機能不全に陥った。本書は日本の生物学史の暗黒期の記録であり、科学と政治の緊張関係や捏造事件について考える時、必ず振り返られるべき書である。
ソ連の生物学者ルィセンコは、1930年代に「春化処理」によって農作物を増産できると主張した。この理論は実験による検証を経ないままスターリン政権に採用され、理論に批判的な生物学者への弾圧を招き、のちに農業生産に大損害をもたらした。
日本でも同様の混乱が起きたことは語られなくなって久しい。本書は、日本でルィセンコ理論が台頭していった過程を、当時の科学者たちの問題意識や議論を精緻に追うことで描きだす。日本でこの理論が紹介された当初は、新学説を科学的に検証しようという態度が支持派反対派双方に見られたという。しかし議論は次第に思想論争へと変質していく。ルィセンコ理論は戦後の農業改革運動が失敗するまで暴走し続けた。

近年、ルィセンコ学説の根拠とされた現象の一部は「エピジェネティクス」というまったく異なるメカニズムで解釈できることが明らかになった。巻頭に本書のテーマと21世紀に至る生物学史の関係を紹介する解説を付した、初版刊行50周年記念版として本書をおくる。

著者プロフィール

1932年東京都に生まれる。都立大学理学部卒。1967年から立正大学教養部勤務、講師、助教授、教授を経て、95年から仏教学部教授、02年から立正大学名誉教授。著書に『日本動物民俗誌』『河童の日本史』『狐の日本史 古代・中世篇』『狐の日本史 近世・近代篇』『狸とその世界』『魔女と科学者その他』『日本のルィセンコ論争』『胞衣の生命』ほか多数。

「2006年 『日本人の動物観 変身譚の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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