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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784622086505
作品紹介・あらすじ
「本書執筆の当初のモチーフは、書物自体は一貫して重要視されていた日本で、社会機関としての図書館の評価が低かったのはなぜなのかということにあった。私は書いているうちに、これは単なる図書館論にとどまらず、書物論、情報論、文化論、そして何よりも教育論にひろがっていかざるをえないと考えるようになった。図書館の存在が意識されにくかった理由は、日本社会が個人の知的活動を自律的に行うことを妨げてきた理由と同じだということに気づいたからである。」
図書館情報学において、「情報リテラシー」は、テクノロジーの発達に応じてその習得・活用・提供技術の更新が求められる、生きたテーマである。
情報が氾濫する社会を生きる私たちにとって、第一次資料の保存庫であり、公共の情報サービス機関である図書館は、信頼の置ける、身近な情報拠点だ。これからの図書館は、図書の貸出し、検索技術の提供にとどまらず、利用者の情報リテラシーを導くといった教育的な役割も自覚的に担ってゆく必要がある。
そして今日、学校での情報リテラシー教育も喫緊の課題となっている。日本の教育現場において、情報リテラシー教育の重要性は意識されてきたが、それはコンピューターなどの情報通信技術を使いこなす技能という認識にとどまってきた。だが、真の情報リテラシーとは、情報を探索し、評価し、それにより自分の問題を解決できる能力、さらにはその力をもって批判的思考を展開できることをいう。本書では、日本の教育制度と図書館の社会史をふりかえることで課題を浮き彫りにし、今後どのような改革をなすべきか、欧米の学校の動向と比較しつつ方向を示す。
感想・レビュー・書評
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情報リテラシーをツールを有効活用して情報を取得できる能力だと理解していたが、それだけではなくてもっと包括的なもの、物事を自分なりに解釈する思考力(「事実→情報→知識→知恵」という段階で高次的に)も含んでいるということを知って新鮮だった。
書籍におけるネットワーク関係の重要性を知り、もっとメタデータ等について学びたいと思った。
図書館制度の課題(専門大学院のような制度がない、様々な館種に対応した教育課程ではない、需要過多になっているなど)については、引き続き考えていきたい。
繰り返し読んで、他の関連書籍も読んでもっと理解を深めたい
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
単に図書館に関する内容なのかと思ったが、図書館よりも情報リテラシーに関する内容となっている。
情報リテラシーは様々な情報検索システムを活用したり、図書館のリファレンスを活用することで一般的によく言われるセキュリティや個人情報の扱いとは異なるものだと言うことを解説している。
本書では日本とアメリカ・ヨーロッパで情報リテラシーの意味合いに違いが生じた要因を江戸・明治にまで遡り、歴史的に説明しており、その違いによる問題点を提示している。
さらには日本の教育業界における変革に関しても説明し、徐々にではあるが変わってきていることが説明されている。 -
参考文献として。
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memo
・Wikipedia
...誰でも内容構築に参加できるものであり、匿名の作り手によって共同構築されるものだから、使用については慎重さが要求されると付け加えるのが一般的であろう。
だが、アメリカ的な情報リテラシーの考え方ではこれは優れた教材になる。つくられる過程をきちんと理解して使えばよいということになる。
...まず、ウィキペディアのつくられかたを学ばせ、これを全面的に信頼することはできないことを理解させる。探索プロセスとしては用語の選定について、同義語や類義語を試してみて、用語のコントロールができているかどうかをみる。また、利用・評価プロセスとしては別のツールや文献を参照して相互に比較するといったものである。(p56〜57)
・「子どもの「思考力」を伸ばすために、親ができること〜パトリック・ハーランさん」朝日新聞digital2016年9月5日
知識は機器からとりだせるのだから、授業はむしろ既成の知識を基に考え、相互にコミュニケーションする能力をみがくこと(p180〜182)
・読書-批判的思考
読書は著者との対話でありまた自分との対話である。著者と自分のあいだに相互作用の場をつくりだすことが読書の最大の意義であり、この場が自分を無限の方向に発展させる基になる。本を読みながら考える行為の積み重ねが批判的思考を可能にする反省的自己をつくりだす。(p200)
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図書館司書資格の取得の過程でよく耳にする「中小レポート」や「志民の図書館」、これらは50年近く前に書かれたものだが、今の図書館にはこの本こそまさに「図書館員のバイブル」と言えるのでは無いだろうか。
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電子書籍について、しっくりくる定義。
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日本の特に図書館業界において混同されがちなコンピュータリテラシーと情報リテラシーは別物であるという点を強く打ち出しつつ、後者について広く日本の教育制度という視点から様々な例を引いて、その必要性を説く。
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自分で今使うべき情報の大枠を把握し、評価しながらそれを活用する能力、情報リテラシー。情報リテラシーの重要性を日本人の学習の歴史や図書館史と絡めて解説した図書。
既成の知識を確認する教育から、自ら知識を作り出していけるような教育の改革が始まっている今、図書館の重要性は増しているようだ。
図書館司書の専門性の話も出ている。司書を専門職と述べるのが少し難しい状況……。この時代に図書館が生き残って行くためには枠組み等、考え続けなければいけないねー。
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