沖縄 憲法なき戦後――講和条約三条と日本の安全保障

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622086765

作品紹介・あらすじ

「本土」の安全は、歴史的に沖縄の犠牲のうえに成り立ってきた。しかし今や、沖縄で抗議の声があがると、本土の一部からはヘイトの罵声まで飛ぶほど、沖縄の戦後史についての無知と無視は深まっている。 
東アジアの緊張が高まるなかで、米軍は沖縄の陸、海、空を、わが者顔で動きまわっている。沖縄が「基地の島」になったのは、戦後、日米両国の思惑によって「無憲法の島」に追いやられたからだとすれば、わたしたちは今、本土の視点から、沖縄の現状をどう捉えなおすべきか。
憲法と外交史の専門家が協力し、これまで検証されなかった膨大な国会議事録や行政文書、外交文書を渉猟して、この「軍事植民地」が生み出された経緯と、日米両国がそれぞれ依拠してきた論理を解き明かす。
終章では、米中の狭間で翻弄される東アジアの国々が、沖縄を軸に、軍縮にむけた提携関係を構築するという新たな見取り図を提示した。

感想・レビュー・書評

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  • 「捨て石」とされた島の苦闘(評=大塚茂樹:ノンフィクション作家)
    <書評>沖縄 憲法なき戦後:どうしん電子版(北海道新聞)
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/171306?rct=s_books

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    「本土」の安全は、歴史的に沖縄の犠牲のうえに成り立ってきた。しかし今や、沖縄で抗議の声があがると、本土の一部からはヘイトの罵声まで飛ぶほど、沖縄の戦後史についての無知と無視は深まっている。 
    東アジアの緊張が高まるなかで、米軍は沖縄の陸、海、空を、わが者顔で動きまわっている。沖縄が「基地の島」になったのは、戦後、日米両国の思惑によって「無憲法の島」に追いやられたからだとすれば、わたしたちは今、本土の視点から、沖縄の現状をどう捉えなおすべきか。
    憲法と外交史の専門家が協力し、これまで検証されなかった膨大な国会議事録や行政文書、外交文書を渉猟して、この「軍事植民地」が生み出された経緯と、日米両国がそれぞれ依拠してきた論理を解き明かす。
    終章では、米中の狭間で翻弄される東アジアの国々が、沖縄を軸に、軍縮にむけた提携関係を構築するという新たな見取り図を提示した。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08676.html

  • 『沖縄 憲法なき戦後――講和条約三条と日本の安全保障』
    著者:古関彰一
    著者:豊下楢彦

    【書誌情報+内容紹介】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/384頁
    定価 3,672円(本体3,400円)
    ISBN 978-4-622-08676-5 C1021
    2018年2月9日発行

    「本土」の安全は、歴史的に沖縄の犠牲のうえに成り立ってきた。しかし今や、沖縄で抗議の声があがると、本土の一部からはヘイトの罵声まで飛ぶほど、沖縄の戦後史についての無知と無視は深まっている。 
    東アジアの緊張が高まるなかで、米軍は沖縄の陸、海、空を、わが者顔で動きまわっている。沖縄が「基地の島」になったのは、戦後、日米両国の思惑によって「無憲法の島」に追いやられたからだとすれば、わたしたちは今、本土の視点から、沖縄の現状をどう捉えなおすべきか。
    憲法と外交史の専門家が協力し、これまで検証されなかった膨大な国会議事録や行政文書、外交文書を渉猟して、この「軍事植民地」が生み出された経緯と、日米両国がそれぞれ依拠してきた論理を解き明かす。
    終章では、米中の狭間で翻弄される東アジアの国々が、沖縄を軸に、軍縮にむけた提携関係を構築するという新たな見取り図を提示した。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08676.html

    【目次】
    はしがき

    第一章 国籍を奪われた沖縄
    1 日本国憲法上の「国民」とは? (日本の国籍と「外地法」/本来の「国籍」とは/「琉球人」という呼称/「琉球人」の移動の自由の制限/「琉球人」と植民地住民/講和後の沖縄の国籍と戸籍)
    2 日本の主権と沖縄 (沖縄における日本の主権/ハワイ地方裁判所の判決/日本の主権の特殊性――「潜在主権」をめぐる国会論議)
    3 代表権・選挙権を奪われた沖縄 (沖縄戦が促した天皇の決断/昭和天皇にとっての「平和国家」/マッカーサーの戦略――戦争放棄と沖縄/戦後民主主義と選挙権/「全国民」から除外された沖縄)

    第二章 講和条約第三条と安保条約――「犠牲の要石」としての沖縄
    1 講和条約第三条の成立過程 (米国内部の対立/「潜在主権」の背景/信託統治制度の成立経緯/ミクロネシアの信託統治協定案/信託統治と「基地帝国」/昭和天皇の「沖縄メッセージ」/昭和天皇にとっての沖縄)
    2 アメリカの太平洋安保構想 (米国政府内部の構想/オーストラリア・ニュージーランドとの交渉における「琉球」/米比軍事基地協定/フィリピンとの交渉)
    3 ANZUS・米比・日米、そして「琉球」の米軍 (ANZUS条約と米比条約の構造/日米講和条約会談――沖縄とともに全土基地方式へ/日米講和会議――「統一指揮権」の影)

    第三章 「三条失効」論
    1 先例としての「奄美返還」 (奄美と沖縄の分離/「奄美返還」の決定/「秘密議事録」という密約/「ブルースカイ・ポリシー」/「三条失効」への歩み)
    2 三条をめぐる国会論戦 (国連憲章上の根拠をめぐって/「軍事根拠地」をめぐって/「琉球諸島住民の実情」/「軍権力が民主主義を超越」/「信託統治になったよりも悪い」/「軍事的必要性がすべてに優先する」/一法務官僚の論理/「日本を独立さしてから憲法を改正する」/「先例のない事態」)
    3 国連加盟と岸訪米 (「植民地を信託統治に」/「国連当局と話し合うべき問題」/「法的根拠において主張する」/「沖縄住民の血の叫び」/「リーズナブルな期限」/「米国の権利は暫定的」/「軍人が必要とする自由」/「他の選択肢」/パワー・ポリティクスの欠落/「国連に提案する」)

    第四章 沖縄の法的地位と「植民地」問題
    1 翻弄される沖縄 (沖縄統治の法的基礎をめぐって/「偽善的文書」/「飛び地」分離返還構想/「ミサイルの基地としての沖縄」/「日本は返還を求めない」/「第三条の根拠がなくなる」/「緊張緩和」をめぐって/安保改定と条約地域/「施政権がへこむ」論/「憲法が適用されることはない」/「沖縄人だけ戦禍にさらす」)
    2 国連決議と三条の「死文」化 (「植民地独立付与宣言」/「返還を求める意図は全くない」/「返還を強く主張」/「植民地の概念には入らぬ」/「二・一決議」/「死文」と化した三条/「ダレスが避けたかった情勢」/「沖縄住民の政治的特徴」)
    3 「政府統一見解」と沖縄返還 (“虚偽発言”から「密約」へ/何を「根拠」に返還を求めるのか/「ブルースカイ・ポリシー」へのコミット/「共通の認識」という陥穽)

    終章 「閉塞状態」の打破に向けて
    1 沖縄から問われる日本の近代 (「帝国日本」の再検討/沖縄と憲法/あらためて、日米安保条約の問題性/外国の基地の特殊性/「施設及び区域」と呼ばれる米軍基地/外国軍隊の入国の禁止/破壊される地域の安全/憲法九五条と公用地法/なぜ公用地法が登場したのか/地方自治特別法に対する政府の憲法解釈/政府解釈に対する批判/公用地法とその後の法制度)
    2 「共通敵」なき時代の沖縄 (「理念」なき日米安保/「共通敵」不在の背景/沖縄の立ち位置/北朝鮮の脅威/なぜパキスタンなのか/「尖閣問題」とは何か/仲裁裁判所の判決の意味/東アジアをめぐる軍拡競争/「トランプ・ショック」への危機感/「等距離外交」の展開/「東アジア軍縮同盟」という構想/東南アジア非核地帯条約/問われるNPT体制/「核の島」としての沖縄/戦争の「第三の革命」/「固有の領土」概念の放棄を/「沖縄イニシアティヴ」/「日韓提携」の重要性/「ブルースカイ・ポリシー」からの脱却)

    あとがき・注・索引

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著者プロフィール

1943年東京生まれ、早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。獨協大学名誉教授。和光学園理事長。専攻 憲政史。著書『新憲法の誕生』(中央公論社 1989、吉野作造賞受賞、中公文庫 1995、英語版The Birth of Japan’s Postwar Constitution, Westview Press, 1997)、『「平和国家」日本の再検討』(岩波書店 2002、岩波現代文庫 2013)、『憲法9条はなぜ制定されたか』(岩波ブックレット 2006)、『日本国憲法の誕生』(岩波現代文庫 2009、韓国語版 2010)、『安全保障とは何か――国家から人間へ』(岩波書店 2013)、『平和憲法の深層』(ちくま新書 2015)、『日本国憲法の誕生 増補改訂版』(岩波現代文庫 2017)、編著書『GHQ民政局資料「占領改革」 第1巻 憲法・司法改革』丸善 2001)、豊下楢彦氏との共著に『集団的自衛権と安全保障』(岩波新書 2014)、『沖縄 憲法なき戦後』(みすず書房 2018)などがある。

「2020年 『対米従属の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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