〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ

  • みすず書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622087427

作品紹介・あらすじ

「効果的な利他主義は、自己満足や売名のためではなく、本当の意味で人々の役に立つための活動であり、21世紀最高の発明のひとつといえよう。この刺激的な新しいムーブメントについて学びたいなら、本書を読むしかない」スティーブン・ピンカー(ハーバード大学教授)

最終的に人々の生活向上に結びつかない活動にお金をムダ遣いしないためには、どうすればいいのか?
①何人がどれくらいの利益を得るか?
②これはあなたにできるもっとも効果的な活動か?
③この分野は見過ごされているか?
④この行動を取らなければどうなるか?
⑤成功の確率は? 成功した場合の見返りは?
この5つの重要な疑問について考えるだけで、何かよいことをしようとするときに陥りがちな落とし穴を避けられる。(本文より)

「効果的な利他主義のもっとも面白い部分は、私が本書で提供している提言そのものではなくて、「どうすればできるかぎりのよいことができるか?」という疑問を探るための方法論だ。…よいことを完璧に行なうことはムリでも、もっと効果的に行なおうと努力することなら、いつだってできるのだ」(あとがき)。

 世界をよりよい場所にする無数の方法のうち、最善なのはどれか? どの問題に今すぐ取り組み、どの問題を次の機会に先送りするべきなのか? ひとつの行動を別の行動よりも優先するのは、心理的にも現実的にも難しいが、不可能ではない。エヴィデンス・ベースの寄付、慈善活動をすすめる新たな潮流を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • ロジカルな思考・判断で最も効果的な寄付や社会貢献をする方法についての名著。マッカスキルの名前は最近クーリエ・ジャポンなどでも見て気になっていたけれど、これは確かにすごい。
    災害支援など、感情に引っ張られて寄付しがちなジャンルは実は非効率で、それよりもアフリカなどの経済価値の差が大きい国への寄付こそが費用対効果は大きいと。
    自分は日本の子どもの貧困問題が一番関心が高いので、それらの国内団体への寄付自体は止めないが、月々10ドル前後はギブウェル経由で寄付をしようと思う。

  • とても興味深く、面白かった。非営利活動についてのみ書かれていると思っていたが、思考のフレームワークやキャリアの考え方なども記載されており、日常生活にも応用が効く考え方であった。

    ただ筆者の主張には、やや奇抜な面があるため賛否両論のある本であろうと思う。

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12587350354.html

  • ギブウェルは、受け取った寄付金で最も人々の生活を向上させている慈善団体を評価している。

    農産物のフェアトレード認証は、発展途上国の人々にほとんどプラスにならないという様々な証拠がある。最貧困国の人々には認証を取得する余裕がなく、大部分はメキシコやコスタリアが占めている。フェアトレード商品に支払われる余分な額の多くは中間業者の手にわたり、生産者は上乗せ分の1~11%しか得ていないと独立の研究者は推定している。認証を受けた組織で働く労働者の賃金も上がっていない。

    CO2排出量を削減する効果的な方法は、肉の消費量を減らすこと、移動距離を短くすること、自宅で電気やガスを節約すること。

    Giving What We Canは、寄付金で温室効果ガスの排出量を削減している組織を調べた結果、クール・アースが最も効果的であると結論付けた。クール・アースは、主にアマゾンの地域社会を経済的に支援して、住民が木材の販売よりも高利益の事業を営めるようにして森林伐採を防ぐことで、地球温暖化の問題に取り組んでいる。クール・アースは、100ドルで1エーカーの熱帯雨林の伐採を防ぐことができ、260トンのCO2が蓄えられると主張している。

    仕事への満足感につながる要因は、自律性、業務における貢献度、求められる技術や能力、成果の評価のしやすさ、成果の大きさ。

  • いい本でした。全体にわたって説得力があります。
    基本的に稼いでギブウェルに寄付するのがいいよ。というのがいちおうの結論でしょうか。
    わたしも国境なき医師団からギブウェルに変えようと思いました。

  • 社会をよくすることに役立ちたい…と思って選ぶ基準はテーマがすべて。そこに費用対効果とか追跡調査とかあまり考えたりしない。青臭くきれいごとを夢見て効果の薄い行動に時間とお金を浪費するのは間違ってる!そうではなく、ちゃんと科学的に選ばなきゃ、というメッセージは面白かった。
    例えば、自分が行動するより、寄付する方が効果的な場合には、迷わず寄付を選べばいい。それには寄付先の活動をチェックすることが必要。なるほど、寄付しておしまいではないのだ。
    今後に役立てたいと思う。

    以下、備忘まで。

    科学の一番重要な要素は今までに積み上げられた知識の集合体そのものではない。重要なのは、科学的手法だ。説明、モデル、実験といった手法を用いることで、私たちは世界への理解を深めることができる。それと同じで、効果的な利他主義の最も面白い部分は、本書で提供している提言そのものではなく、「どうすればできるかぎりのよいことができるか」という疑問を探るための方法論なのだ。

    ①何人がどのくらいの利益を得るのか
    ②これはあなたにできる最も効果的な活動か
    ③この分野は見過ごされているのか
    ④この行動を取らなければどうなるか
    ⑤成功の確率は?成功した場合の見返りは?

  • 『ファクトフルネス』にも重なる内容だけれど、自分を自利・利他ともに活かすたの方法が書かれている。人生を俯瞰しながら見るための尺度を与えてくれる実践的な本。思い込んで、自分の想いだけ果たしてももったいない。

  • 【書評】佐々木俊尚(熊日2018.12.16)。

  • 東2法経図・6F開架 151A/Ma13k//K

  • 「どうすればできるかぎりのよいことができるか?」という疑問に答える一冊です。
    エビデンスベースで効果的な寄付活動や慈善活動を行うために、なにをしたらいいかというアプローチです。

    人によっては価値観の違いによって受け入れづらい部分もあるかと思いますが、寄付とか慈善活動に興味がある人はこの本を読んでから行動することをおすすめする一冊です。

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著者プロフィール

オックスフォード大学哲学准教授。非営利組織である Giving What We Can および 80,000 Hours の共同創設者。生涯にわたる寄付者を募り、5億ドル以上を慈善事業におくるとともに、〈効果的な利他主義〉運動を進めている。『ニューヨーカー』『ガーディアン』『インディペンデント』『タイム』『ワシントン・ポスト』に寄稿。

「2018年 『〈効果的な利他主義〉宣言!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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