大学なんか行っても意味はない? 教育反対の経済学

  • みすず書房 (2019年7月17日発売)
4.00
  • (4)
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 147
感想 : 8
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (536ページ) / ISBN・EAN: 9784622088196

作品紹介・あらすじ

人気ブロガー経済学者が、経済学の概念「シグナリング」をキーワードに、現在の教育システムが抱える問題点を実証データで分析する。
なぜ学生は楽勝授業を探し、試験が終われば学んだことを平気で忘れてしまうのか? なぜ過去数十年で教育が普及したのに、平均的な労働者が良い仕事に就けず、学歴インフレが起きているのか? なぜ企業は、ほとんど使うあてのない学校教育を受けた労働者に給料を支払うのか? なぜ社会では、学校を卒業することが最大の協調性のシグナルになるのか?
その答えのカギはすべて、「教育の最大の役割は学生のスキルを伸ばすことではなく、知力、協調性、仕事への姿勢についてのお墨付きを与えることにある」というシグナリングの考え方にある。本書の示す問題解決への道筋は、高等教育縮小と職業教育拡充だ。
最新の社会科学による、教育への根源的かつ挑発的な問いかけ。

重要な問いを提起している。
――『ガーディアン』紙

[教育を]再考しつつある生徒にも、親にも、新風を吹き込む本だ。
――『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙

きわめて重要な本だ。
――L・プリチェット(ハーバード大学教授)

彼の結論に読者は心を乱されるだろう。
怒りさえするかもしれない。だが無視できないはずだ。
――R・ヴェダー(オハイオ大学教授)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 教育投資の効果は大きい――学歴が上がれば賃金も増える。その理由は、高い教育を受けることで仕事の生産性が高まり、その生産性に応じて賃金も上がるから、ではない。そうではなくて、教育の「シグナリング」効果こそが賃金を高めてくれるのである。

    「シグナリング」は本書のキーワードだ。教育を受けることで(というか、卒業証書を手に入れることで)、学生は自分が「知力・真面目さ・協調性」を備えた人物であると示すことができる。なぜなら、こうした能力が欠けていたら無事に学校を卒業できなかったはずだからだ。これがシグナリングである。

    教育についてのもっと素朴な見方は人的資本論と呼ばれる。学生は学校教育をつうじて多くの技能(人的資本という)を身に付ける。しかし、著者はこの見方に批判的である。高校や大学では仕事に役立つ技能をほとんど教えないし、学校教育は学生・生徒の知力をさほど高めるわけでもないからだ(2章)。それにもかかわらず、企業は「学位」を持つ労働者に高額のプレミアム賃金を支払う(3章)。シグナリング理論はこの現象をもっとも単純明快に説明できる(4章)。

    では、実質的な中身のない学校教育など受ける意味がないのか?そうではない、というのが著者の主張である。学校教育がシグナリングであっても、学位を取れば賃金が上がる。個人レベルでは学校教育から大きな恩恵を受けるのだ(5章)。しかし、学校教育が実質的な価値をともなわないならば、政府による教育支出は社会的に見て大きな損失である(6章)。ここでの議論のために、著者は教育にまつわる費用と便益を注意深く数え上げながらシミュレーション分析を行なっている。以上の分析を踏まえれば、論理的に以下の結論が導き出せる。政府が教育支出を減らせば、社会厚生が改善するのである(7章)。社会的な投資効率を高めるためには、カリキュラムをスリム化し(不要な科目をなくし)、職業教育を充実することも有効な方策となる(8章)。

    本書のタイトルを見て誤解してしまうかもしれないが、本書の主張は「学校教育を受けるべきではない(大学へ進学するべきではない)」とか「質の高いオンライン教育が増えている中で、大学は教育カリキュラムを改革・拡充するべきだ」といったものではない。

    本書での著者の主張は2つに集約できる。
    ①学校教育の多くはシグナリングでしかなく、個人レベルでは大きなリターンをもたらしてくれても、社会的には無駄が大きい。
    ②資源を有効活用するために政府は教育支出を削減し、可能であればゼロにするべき(場合によっては教育に課税してもよい)。

    読みやすい文章でスラスラと読み進めてしまうのだが、統計的な議論などはやや難しい。それでも全体として議論は分かりやすく、著者が根拠として示したデータや研究には説得力がある。けれども、教育支出削減という著者の提案を抵抗なく受け入れられる人は少ないだろう。著者が嘆くように、多くの人にとって「魂を涵養する」教育は聖なるもので、お金の問題ではないのだ(9章)。教育にたずさわる多くの人に本書を読んでほしいが、教育政策にかかわる人には特に本書を手に取ってもらいたい。色んな議論のきっかけになると思う。

  • ●わが国(アメリカ)の教育制度の最大の欠点は、「教育のしすぎ」である。生産性を上げるわけでも人生を豊かにするわけでもない教育の勉強に何千時間を費やす。
    ●教育のかなりの部分がシグナリングであると言っているのだ。学生が学校で過ごす時間の少なくとも3分の1はシグナリングである。第二学生が享受する金銭的な見返りの少なくとも3分の1はシグナリングである。
    ●高校生で学ぶ教科の有益性の有無。ほぼ全ての仕事で必要となるスキルは読み書きと計算能力。したがって国語と算数は必須。数学の中では、統計の知識は大学に進学するかどうか関係なく有益。しかし高校で統計学を修了したものは7%しかいない。
    ●学生に実験をしたところ、学習は思考力を身に付けると言われているが、あまり思考力の向上も見られなかった。
    ●職業と関連性の高い専攻ほど、労働市場におけるミスマッチが不利となるのだ。違う職業に就いた場合の給料がすごく下がると言うことです。
    ●答えだけで行くと、①あなたはよほどの劣等生でない限り高校は行け。②あなたは優秀な学生であるか、特殊なケースに限り大学に行け。③よほどの条件が揃わない限り修士号は取るな。
    ●「部屋の中の白い象」教育はもっと減らすべき。…(白い象)維持に莫大な手間と費用が要するが、ほとんど利益を生まない資産(部屋の中の象)人々が話し合ったり存在認めたりするのを避けている、誰の目にも明らかな大きな問題ないし課題
    ●かつて教師が学生をトレーニングしたのは、聖職者、法律家、医者と言う3つの特定の職業につくするためだった。現代のカリキュラムはもっと汎用性はあるが、作家、詩人、数学者、科学者、美術家音楽家、歴史家、翻訳者、プロアスリートとしてのキャリアを目指すべく養成している。ところがこうした職業につく学生の割合はほんのわずかだ。学校は「一般的なスキル」にはほとんど時間を割いていない。
    ●後進国の子供たちは働いている。先進国の子供たちを勉強している。社会が発展するに従って、子供たちにいろいろな職業を教えるのが常識だろう。職業を教えないで、卒業後に子供たちが労働市場に適応することを期待するのは常識ではない。

  • 【感想】
     極論ぎみだが、「人材育成の面で大学教育は(職業教育より)効率が悪いのではないか」というのは大事な論点。たとえ言いにくい立場からでもこの主張を書けるのはいかにも経済学者っぽい。

     ただし物足りない点もある。
     (1)大学教育が与えるプラスの外部性を著者がちゃんと評価していない(6章3節にある内容だけではない)、(2)代わりとなるはずの効果的な職業教育についてはあまり詳しく書かれていない、(3)仮にこれだけ大きな産業を大幅に縮小した場合、雇用の面でどんな影響があるかが不明瞭、(4)(教育面で)大学教育の縮小が多くの高校生のモチベーションを下げないか……など。
     特に、(2)の「職業教育(または職業訓練)は効率的なのか」についての議論は、本書の主張にクリティカルに刺さっている点。職業教育は効果があるにせよ、あまり大きくないのではないかと私は思う(例えば、生産性の高い人材にとって、(即効性の低いことを教えられる)大学教育を超えるほどの職業教育とはなんだろう?)。
     本書の「結論」(401-408頁)はなかなかシニカルで、しらふで読むと、執筆時の著者のテンションがおかしかったのではないかという気すらする。

    【書誌情報】
    『大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学』
    原題:THE CASE AGAINST EDUCATION: Why the Education System Is a Waste of Time and Money
    著者:Bryan Caplan 公共経済学、公共選択論。
    訳者:月谷真紀
    分量:536頁(414+xi+104)
    版型:四六判
    寸法:タテ188mm×ヨコ128mm
    定価:4,968円(本体4,600円)
    ISBN:978-4-622-08819-6 C0033
    発行日:2019年7月16日

     人気ブロガー経済学者が、経済学の概念「シグナリング」をキーワードに、現在の教育システムが抱える問題点を実証データで分析する。
     なぜ学生は楽勝授業を探し、試験が終われば学んだことを平気で忘れてしまうのか? なぜ過去数十年で教育が普及したのに、平均的な労働者が良い仕事に就けず、学歴インフレが起きているのか? なぜ企業は、ほとんど使うあてのない学校教育を受けた労働者に給料を支払うのか? なぜ社会では、学校を卒業することが最大の協調性のシグナルになるのか?
     その答えのカギはすべて、「教育の最大の役割は学生のスキルを伸ばすことではなく、知力、協調性、仕事への姿勢についてのお墨付きを与えることにある」というシグナリングの考え方にある。本書の示す問題解決への道筋は、高等教育縮小と職業教育拡充だ。最新の社会科学による、教育への根源的かつ挑発的な問いかけ。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08819.html

    【目次】
    コロフォン [/]
    献辞 [i]
    目次 [iii-viii]
    序文 [ix-xi]

    序章 001
    シグナリング――なぜ市場は暇つぶしに報酬を払うのか 004
    教育――個人にとっては利益、社会にとっては無駄 007

    1 教育というマジック 011
    実社会と乖離した教育 012
    魔法が報酬を生むからくり 017
    シグナリングの基本 019
    教育は何をシグナリングするのか 021
    閉じ込め症候群 026
    シグナリングは「理屈に合わない」 030
      シグナリング=100%のシグナリング  シグナリング=「知力のみのシグナリング」  シグナリングの効果が出るのに何年もかかるのはおかしい  「市場はいつまでもだまされてはくれない」  シグナリングと採用ミス 
    お前にこの謎が解けるかな? 037
      世界最高の教育はすでに無償である  落第vs忘却  楽勝授業  カンニング  なぜ学生は休講を喜ぶのか?
    教育という錬金術 044

    2 実在する謎――無益な教育の遍在 045
    カリキュラムの内容 046
      高校  大学 
    学習を測定すると 055
      読み書きと計算  歴史と公民  科学  外国語 
    実生活との関係を問う意味 069
    教育で人は賢くなるのか 082
    仕事力はどうやって身につくのか 087
    しつけと社会性 088
    人脈づくり 092
    教育の偽りの約束 094

    3 実在する謎――無益な教育の大きな見返り 097
    認めるべきは認めよ――能力バイアスという名の亡霊 099
    能力バイアスの補正――外見は中身より立派 102
      因果の逆転  能力の見落とし 
    労働経済学者vs能力バイアス 107
    小麦vsもみ殼? 111
      小麦ともみ殻と授業  小麦ともみ殻と専攻  小麦ともみ殻とミスマッチ
    学歴偏重主義は国が作った? 119
      政府の学歴偏重主義  資格  IQ「ロンダリング」 
    教育の便益を見くびっている? 127
      失業  福利厚生  測定ミス  
    教育の本当の見返り 131

    4 シグナリングの証拠――あなたがまだ納得していないなら 133
    シープスキン効果 134
    不完全就業と学歴インフレ 141
    雇用主の学習速度 150
      雇用主の学習に関する研究は非認知能力を無視している  学習が頭打ちになるのは知識が完全になったことを示唆するわけではない  シグナルは雇用主が真実を知った後もなお給与に影響する可能性がある
    教育プレミアム――個人vs国家 157
      ステップ1 ――個人の1年分の教育が個人の所得に及ぼす効果を測定する  ステップ2 ――国民の1年分の教育が個人の所得に及ぼす効果を測定する  ステップ3 ――両者を比較する
    テストの得点はどうか? 164
    労働経済学者vs.シグナリング 167

    5 それがシグナリングかどうか、誰が気にするのか――教育の利己的なリターン 173
    教育の利己的なリターン――入門編 175
    大事なものをすべて勘定に入れると 179
    「優等生君」の場合 181
      報酬  雇用  税金と所得移転  仕事の満足度  幸福度  学習の苦痛と恍惚  健康  授業料その他の経費  放棄所得  経験を考慮する  修了の確率  「優等生君」の結果
    教育の利己的なリターン――他のみんなの場合 202
      能力と教育の利己的なリターン  専攻と教育の利己的なリターン  大学の質と教育の利己的なリターン  自己費用負担と教育の利己的なリターン  学校観vs仕事観と教育の利己的なリターン  性別と教育の利己的なリターン  結婚と教育の利己的なリターン  労働参加率と教育の利己的なリターン 
    賢い学生のための実践的指針 222      
    疑問点 225
    あなたのスプレッドシート 227

    6 シグナリングなのかどうか、そこが気になる――教育の社会的なリターン 229
    教育の社会的なリターン――入門編 230
    教育の社会的なリターン――大事なものをすべて再計算する 231
      報酬から生産性へ  雇用  税金と所得移転  仕事の満足度、幸福度、学習の喜び  健康  授業料その他の経費  経験を考慮する  修了の確率
    教育の社会的なリターン――純粋に社会的な便益 242
      経済成長  労働参加率  政治  子供(の質)の考察
    社会的なリターンの算定――シグナリングを慎重に見積もった場合 254
      「優等生君」の場合・再考  能力別の社会的なリターン
    社会的なリターンの算定――シグナリングを妥当に見積もった場合 259
    社会的なリターンの算定――これを妥当と言えるのか 261
    社会的なリターンを探して 264
      専攻、難易度、態度と社会的なリターン  性別と社会的なリターン
    疑問点 267
      シグナリングの割合  労働参加率と能力バイアス  犯罪、シグナリング、シープスキン効果
    教育版ドレイクの方程式 269

    7 部屋の中の白い象――教育はもっと減らすべき 273
    教育を支持する最も優れた主張のどこがおかしいか 276
    魂を陶冶する場としての学び舎? 279
    あなたの象の大きさは? 280
    教育の削減――なぜ、どこで、どのように 285
      カリキュラムの贅肉を落とす  授業料よ助成金を削減する 
    高額の授業料と学生の借金の秘められた謎 294
    修了率を上げる? 296
    シグナリングと社会正義 298
    私の本音 301
    なぜ教育に課税しないのか 305
    オンライン教育という偽の救世主 306
    社会的望ましさのバイアスによる政治 311

    8 1 > 0 ――もっと職業教育が必要だ 315
    なぜ職業教育の勝ちなのか 317
      職業教育の利己的なリターン  職業教育の社会的なリターン
    児童労働がなぜいけない? 321
    非職業教育、あるいは1 > 0 327
    子供について考え直そう 330

    9 母なる学び舎――教育は魂を涵養するのか 333
    価値財としての教育 336
    魂の妥協案 340
    聞き流されるだけのハイカルチャー 342
    政治的な正しさ〔ポリティカル・コレクトネス〕というこけおどし 346
    有権者の動員 350
    現代のライフスタイル 351
      宗教  結婚と離婚  出生率
    視野を広げる 357
    遊びの効用 359
    シニカルな理想主義者 363

    10 教育と啓蒙をめぐる5つの座談会 367
    座談会1 教育って何の役に立つの 368
    座談会2 大学とジレンマ 374
    座談会3 教育投資は割に合うか 379
    座談会4 なぜあなたはアンチ教育の立場なの? 386
    座談会5 教育vs啓蒙 394

    結論 401
    不審物を見かけたら通報を 403
    結果発表 405

    技術付録 修了確率と学生の質 409
      高校の修了率
      学士号の修了率
      修士号の修了率

    表一覧 [104]
    図一覧 [101-103]
    参考文献 [53-100]
    原注 [4-52]
    索引 [1-3]


    【表一覧】
    表2-1 学問分野別の学士号取得者(2008-2009年)
    表2-2 NAAL 試験項目例:レベル別
    表2-3 成人の歴史と公民の知識:代表的な質問例
    表2-4 成人の科学知識:代表的な質問例
    表2-5 推論能力の得点の平均
    表3-1 教育達成度別平均収入(2011年)
    表3-2 人的資本、シグナリング、能力バイアス 
    表3-3 アメリカの教育プレミアム公共セクターと民間セクター比較
    表4-1 総合的社会調査(1972-2012年)のシープスキン効果
    表4-2 総合的社会調査(1972-2012年)のシープスキン効果と能力バイアス
    表4-3 シグナリングまとめ
    表8-1 利己的な便益と社会的な便益とマイナスの印象
    表9-1 英語で書かれたフィクションの史上ベストセラー 



    【抜き書き】
    ・161頁から。「因果が逆なのでは?」という指摘。

    “経済学者たちは教育が過小評価されていると主張したいがために、教育が過大評価されていると考えるべき強固な理由を無視している。いわゆる因果の逆転である。「国が学校教育に投資するほど国は豊かになる」ではなく、「国が豊かになるほど学校教育にお金を使う」が本当かもしれないのだ。個人レベルの話であれば、ほとんどすべての人が因果の逆転をすんなり受け入れる。なぜ、富裕層は学費の高い私立高校や高額化した大学の授業料に人より多くお金を使うのか。使えるお金が人より多いからだ。”
     

  • タイトルの邦訳が悪い

    内容とはあまり関係ないが、「街灯の下で鍵を探す」という言葉が本書にあり、ぼくはそれがコラッツ予想の証明を確率論でやろうとしている数学者たちの愚かさを端的に表した言葉であるように思った。

  • 教育とはシグナリングである。という本

    同じようなことを考えていたので特に新しい考えはなかったが、アプローチが経済学という手法なのが自分とは違ったなぁという感じ。

    ただ、教育がシグナリングである限り、どんなにバカなインフレ状態のシステムでも変革をもたらすにはみんながみんなそれを理解し全員が変わらなければいけない。
    それが経済学の難しいところなんだよな…


    どうやったらこの教育業界を変えられるのか。

  • 本屋で見つけて面白そうなので、図書館で早速借りてみた。

    のがすべての悪夢の始まりであった。

    参考文献だけで100ページ超という鬼のように難しい本であった。

    大学に行く意味、もしくは行かない選択肢というのをシグナリングをもとに分析している。

    まあなんというか、学校教育の価値というのを将来稼ぐ金をもとに分析していて、アメリカらしいといえばらしく、そういう意味では筆者のいっていることに概ね同意できるのだが。
    例えば学校生活自体の楽しさとか、日本で言うところの部活とか文化祭とか、いわゆる青春みたいなのはものに関しては完全に無視というか価値(少なくとも経済的価値)のないものとして取り扱われているあたりは少し残念であった。

    まあでも、大学行きたくないというかいっても意味ないような連中は行かなくていいよ的な部分は非常に理解できるものである。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

ジョージ・メイソン大学経済学部教授。プリンストン大学で博士号を取得後、ジョージ・メイソン大学助教、准教授を経て現職。専門は公共経済学、公共選択論など。経済学ブログサイト「EconLog」執筆者の一人。著書『選挙の経済学――投票者はなぜ愚策を選ぶのか』(日経BP社、2009)、Selfish Reasons to Have More Kids: Why Being a Great Parent ls Less Work and More Fun than You Think (Basic Books, 2011), 『大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学』(みすず書房、2019)。

「2019年 『大学なんか行っても意味はない?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ブライアン・カプランの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×