RCT大全

  • みすず書房
3.86
  • (2)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 54
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622089339

作品紹介・あらすじ

「耳よりの話が満載・・・絶対かかせない必読書だ」S・レヴィット(『ヤバイ経済学』)。
ビタミン剤は実際に効果があるのだろうか? 途上国で現金を配ったら貧困は減る? 医療から、経済政策、教育、ビジネスまで、さまざまな介入が効果を持つのかを実証する「ランダム化比較試験」。18世紀の壊血病対策から、「セサミ・ストリート」の誕生秘話、さらには最新のノーベル経済学賞につながる業績まで、世界を変えつつあるRCTの歴史と今を平易に解説。巻末には「RCT実施の10の掟」を収載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 公共経済学者であり現在はオーストラリアの連邦議員を務める著者が、RCT(ランダム化比較試験)がいかにシンプルでありながら、世界を少しずつ良くしてくために不可欠なツールであるかを多様な分野での実用例と共に示す良書。

    対象となるのはもちろん医療をはじめ、教育、犯罪防止、新興国における開発援助のあり方、ITサービスにおけるA/Bテストなど多岐に渡る。また、ある施策の効果を測定するためにランダムに選定された介入群(施策を行う)と対照群(施策を行わない)に分けることから、RCTは”対照群に対する倫理的な問題を孕んでいるのではないか”という批判が常につきまとう。

    本書ではRCT批判派から寄せられるこの問題について極めて真摯に議論を進め、
    ・そもそも介入群の方が確実にベネフィットを得られるという確証はなく、施策が有害なものであった場合は対照群の方こそ(結果的にではあれ)ベネフィットを得ることになる
    ・RCTの設計次第で、「実験終了後に対照群にも介入群と同じ施策を追加提供する」、「抽選で決まるアメリカ永住権のように、抽選・くじなどで決定されるものをRCTの対象とする(RCTのために抽選を行うのではなく、RCTがなくても勝者・敗者が出る抽選を利用するのだから倫理的な問題はない)」
    などの考え方から、倫理の問題を当然考える必要はあるにせよ、むしろその問題を過度に捉えすぎてRCTを行わずに、真にベネフィットがあるかどうかわからない施策を決めることこそ、社会に対する不正義である、という結論づけている。

    RCTは、限られた財源を有効に使うために重視されてきているEBPM(Evidence-Based Policy Making)のような公共政策において、一丁目一番地とも言うべき有用なツールである。本書を通じて、RCTの豊富な事例や陥りがちなミスとその防止方法なども含めて、その社会的意義を再確認できた。

  • いろいろなRCTの実例。
    ランダマイズドコントロールドトライアル。
    常識からかけ離れた結論が出る。

  • RCTの破壊力、政策担当者・一般には受け付けられにくい難しさなどが具体例で分かりやすい
    政策担当者、ジャーナリストには必読書としてほしいが、相関と因果を混同して他人を罵倒するような日本では難しいかないやそんな日本だからこそ本書が重要なのだろう

  • ある意味、ファクトフルネス以上にファクトに迫る本だ。
    Webの世界にいる人ならおなじみのA/Bテストは、このRCTに基づいたものだったりする。
    そしてそのRCTがいかに「直感に反する」事実を詳らかにしてきたか、またその真実を浮き彫りにする性質ゆえ抵抗にあってきたかということがよくわかる一冊。
    それにしても「倫理」の問題は深淵で難しい。

  • 『RCT大全――ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか』
    原題:RANDOMISTAS: How Radical Researchers Are Changing Our World
    著者:アンドリュー・リー
    訳者:上原裕美子
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/312頁
    定価 3,520円(本体3,200円)
    ISBN 978-4-622-08933-9 C1033
    2020年9月16日発行

    神話を覆し、隠れた真実を明らかにすることに興味があるなら、ぜったい欠かせない必読書だ。
    ――スティーヴン・D・レヴィット(シカゴ大学教授 
    次世代の政策担当者が本書にしたがえば、世界は文字どおり変わるだろう。
    ――デイヴィッド・ハルパーン(イギリス政府「ナッジ・ユニット」長)


    本書の主題はこのうえなく重要だ――私たちは自分が誤りうるということを認められるほど謙虚なのか? そして学ぶことに十分注意を払っているか?…万人が読むべき本だ。
    ――ティム・ハーフォード(『フィナンシャル・タイムズ』紙シニア・コラムニスト)

    ▶ 10代の少女に赤ちゃん人形を与えて育児を体験させると、早すぎる妊娠を防げる?

    ▶ 素行の悪い青少年を、刑務所の極悪犯と対面させると矯正できる?
    ▶ 貧困地域からの引っ越しを補助すれば、家族の経済状況は改善する?
    ▶ 不況下で職探しのヒントが詰まった冊子を配布すると就業者は増える?

    ▶ X線検査で背中の痛みを調べられる?
    ▶ 『セサミ・ストリート』の1話で教えるのは何文字がいい?
    ▶ マイクロクレジットは貧困世帯の所得を上げる?
    ▶ デパートの営業時間を短縮すると利益は増える?

    被験者を2つのグループにランダムに割り当て、介入の効果を測定するランダム化比較試験(RCT)。この決定的手法は、これらの疑問にどう答えてきたのか?
    壊血病の昔から、最先端のウェブビジネスまで、医療、教育、経済、産業といったあらゆる分野でエビデンス革命を起こしつつあるRCTを網羅的に紹介。巻末には「実施の10の掟」を収載する。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08933.html


    【目次】
    1 壊血病、刑務所見学、そして、もしも電車に乗り遅れたら
    2 瀉血からプラセボ手術へ
    3 不利益の解消にはコインを投げて

    4 ランダム化のパイオニアたち

    5 教え方を学ぶ
    6 犯罪を制御する
    7 貧しい国での貴重な実験
    8 農場と企業とフェイスブック

    9 政治と慈善活動の仮説を検証する
    10 あなたも実験台
    11 質の良いフィードバックループを作る

    12 次の変化を導く

    RCT実施の10の掟

    謝辞
    原注
    索引

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

オーストラリア連邦議員。シドニー大学を卒業後、ハーバード大学で公共政策のPhDを取得。元オーストラリア国立大学経済学教授

「2020年 『格差のない未来は創れるか?―今よりもイノベーティブで今よりも公平な未来―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンドリュー・リーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
カルロ・ロヴェッ...
エーリッヒ・フロ...
リチャード・セイ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×