医師が死を語るとき――脳外科医マーシュの自省

  • みすず書房
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本棚登録 : 125
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622089667

作品紹介・あらすじ

「安楽死が認可されていない場合に私たちが迫られる選択は、すぐに悲惨な死を迎えるか、数カ月以上先延ばしにして、後日悲惨な死を迎えるかのどちらかということになる。驚くには値しないが、私たちのほとんどは後者を選択し、どれほど不快なものであっても治療を受ける」
イギリスを代表する脳神経外科医マーシュはある日、国民保健サービス(NHS)によって様変わりした医療現場に嫌気がさし、勤めていた病院を辞する。旧知の外科医たちを頼り、行きついた海外の医療現場――貧困が色濃く影を落とす国々の脳神経外科手術の現場でも、老外科医は数々の救われない命を目の当たりにする。
私たちにとって「よき死」とはいったい何なのだろうか? それは私たちに可能なのだろうか? そして、私たちの社会はそれを可能にしているのだろうか?
マーシュはロシュフコーの言葉を引いてこう言う――「私たちは太陽も死も、直視することができない」。該博な知識から生命と人生の意味を問い、患者たちの死、そしてやがてくる自らの死に想いをめぐらせる自伝的ノンフィクション。

■著者紹介
ヘンリー・マーシュ(Henry Marsh, 1950-) イギリスを代表する脳神経外科医。オックスフォード大学で哲学・政治・経済を学んだのち、ロイヤル・フリー・メディカル・スクールで医学を学ぶ。ロンドンのアトキンソン・モーリー病院、セントジョージ病院で30年以上脳神経外科医を務めたのち、現在は定年退職している。2010年、大英帝国勲章受勲。出演したドキュメンタリー番組Your Life in Their handsとThe English Surgeonでも数々の章を受章した。著書にDo No Harm: Stories of Life, Death and Brain Surgery(Weidenfeld & Nicolson, 2014;『脳外科医マーシュの告白』NHK出版 2016)がある。

感想・レビュー・書評

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  • 2020I094 494.627/M
    配架場所:C2

  • イギリスで大英帝国勲章をもらうような著名なお医者様が「死」について語っているもの。死は不可避、これは分かっている。ただ、人生最後の数日〜数週間を、少ない人数の人々が、病院で、チューブに繋がり、尊厳も本人の意思もなく「生かされている」。その結果、本人も家族も苦しい時間を過ごし、やがて死にいたる。死が不可避である以上、延命措置で得られるメリットと、そのせいで避けられない苦痛などのデメリットを測り、メリットが大きければ延命すべきだが、そうでなければ意味がないのではないか。このような考え方は、著者の担当が脳神経外科であり、手術によって命は長らえても失明や障害が残ることが多いということも一因だろうから、主張をそのまま受け入れるには抵抗がある。とはいえ、ロジカルな反論はできない。受け入れ難いが、受け入れることになるんだろうなあ。また、医療政策や病院の経営にも言及されているが、人命は地球より重いとか言いながら、法律や政治はそうなっていないことを痛感する。「死すべき定め」以来の衝撃の一冊。

  • いかにもイギリス人らしい諧謔に富んだ本であると同時に脳神経外科医としての率直な告白の書でもある。著者はわたしと同年代、まさに残された時間を意識しながら自らの終焉をどう迎えるかに思いを巡らすあたりは、我が身に迫るものがある。これを十代に読んだら理解不能、バリバリに働いていた四十代、五十代では、著者の思いは十分には伝わらなかったと思う。原題は「Admissions : A Life in Brain Surgery」というもの。訳者あとがきにあるが、表題を副題に移して自省としている。なかなかの好著。

    書評

    https://allreviews.jp/review/5475

  • みすず書房にしては、すらすら読めます。
    ただ考えさせられます。
    人の死について。「よき死」について。

    ページivが金言のように美しい。
    主に各章の終わりと、ページ288-289には著者の死への思いを読み取れますが、基本的に死とは距離を置いた方なので淡々としています。

    本当にみすず書房の本は装丁もよく内容もいいな〜と思うのですが、いかんせん高価です。本書も3520円です。
    図書館で借りて読んでます。
    本書の様な本を本棚に並べられる方が羨ましい。

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著者プロフィール

1950-。イギリスを代表する脳神経外科医。オックスフォード大学で哲学・政治・経済を学んだのち、ロイヤル・フリー・メディカル・スクールで医学を学ぶ。ロンドンのアトキンソン・モーリー病院、セントジョージ病院で30年以上脳神経外科医を務めた。2010年、大英帝国勲章受勲。出演したドキュメンタリー番組Your Life in Their HandsとThe English Surgeonでも数々の賞を受賞した。著書にAdmissions: A Life in Brain Surgery(Weidenfeld & Nicolson; 『医師が死を語るとき――脳外科医マーシュの自省』みすず書房)、Do No Harm: Stories of Life, Death and Brain Surgery(Weidenfeld & Nicolson; 『脳外科医マーシュの告白』NHK出版)がある。

「2020年 『医師が死を語るとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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