アーカイブの思想――言葉を知に変える仕組み

著者 :
  • みすず書房
3.47
  • (2)
  • (7)
  • (6)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 120
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622089704

作品紹介・あらすじ

日本ではアーカイブが必須の社会基盤とみなされていないのではないか。西洋社会と比較しつつ、これからの図書館が向かうべき道を照らす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「これからの図書館が向かうべき道を照らす。」ですって、、、

    アーカイブの思想 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08970/

  • アーカイブ 知を蓄積して活かす  図書館の役割
    arch- 権力の源泉
    アメリカ国立公文書館 独立宣言、合衆国憲法、権利章典
    大統領図書館 歴代大統領の執務記録や公文書
     日本で外国から入る知を流通させるには出版市場の活性化、図書館ではない
     日本古来=ひらがな +中国文化=漢字 +欧米文化=カタカナ、アルファベット

    ロゴス=秩序や法則  プラトン:著書無き 師ソクラテスとの問答を記録
    パイディア=よき人生を全うするための知≒教養  アリストテレスが展開 

    11世紀の十字軍遠征 
     より優れたイスラムアラビア文化に対比 アラビア数字 10進法
     古代ギリシアの哲学科学が復興 ルネサンスもアラブへ移入されたものの再翻訳
    17世紀 デカルト 新しい知の方法
    19世紀 資本主義経済

     書くという行為 平らなものに印をつける 人為的歴史的につくられたもの
     音声と文字が対応しやすい西洋語
     変換とういう間接的なひと手間ある中国語や日本語に違い

    活版印刷 統治言語ラテン語から俗語で読む聖書が配布 ルターの宗教改革へ
     17世紀中ごろ 各国語へ カトリックの国は19世紀後半に識字率が急上昇
     カトリックの修道院で学術活動としての図書室
     18世紀後半から図書館は国家の研究機関として教会と別に発足

    12世紀 黙読への転換 声を出して読むことは はなしことばの再現
     ユーグ「学習論」 記憶の道具へ 段落、ページの概念導入
     16世紀16世紀 書誌 書物の目録 アルファベット順、体系的  
    12世紀 大学や図書館設立 公衆へ
    1751年「百科全書」 ダランベール 体系知とディドロ 編集知 クロスレファレンス 
    18世紀 産業革命 知が産業資本へ
    19世紀後半 アメリカの大学 教育と研究の組み合わせ
     講義の拡張としての文献購読 そのための図書館
     言論表現の自由 広場での演説、劇、音楽

    欧米    構成主義 探求的教育 知は外部にあり リテラシーを駆使する力=能力
    中国~日本 系統主義 官僚採用試験の影響

    FRBR 国際図書館連盟IFLA 書誌レコードの機能要件 1997年 書誌の過程を記述
    IFLA LRM あらゆる知的コンテンツのメタデータ化 西洋近代主義の伝統
    NDC 日本十進分類法 1928年 

    明治維新 制度化された科学技術の導入 実利主義
     天皇制による祭政一致の体制  徳より出世
     西洋は近代国家の前に大学存在し 学問の自由
     
     知の在り方を欧米に求め、国内に配布
     知の基盤の人文主義的なロゴスとパイディアは移転せず
     欧米の倫理と宗教を天皇制で方法化
     書物に書かれていることを著者の意図通りに読みとる受動的な読者
     カノン(正典)としての万葉集 明治中期に近代教育の手段として使用 
     アーカイブを参照しながら自らの考え方を形成するタイプの知は形成されない

    日本独自のロゴス 
     相互主義、マルチメディア性、書き言葉と話しことばのギャップ

    未解決なデータ利用
     個人や組織のデータを機関や研究者が個別管理集計し外部公開、論文化
     →いつの間にか収集、蓄積され活用されるビッグデータになる時代へ
      知の連動 ネット社会では柔軟なものを要求される

  • ふむ

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/544759

  • 資料ID:1067603
    請求番号:018.09/N64


    OPACはコチラ!▼
    https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000052523

  • 4月から休日を使って読み始め、GWで一気に読んだ。
    抜群に面白かった。
    この著作によれば、図書館の初発はやはり学術図書館、ということになるだろう。
    それが「知」というものが、社会構成員に共有されるため(あるいは「されることになって」)公共図書館というものが生まれるという系譜をたどるのだろうと思う。第6講「知の公共性と協同性」はそこへ向かうパートだったと思うのだが、本著作ではそこまでの展開はなかったと思う。もともと本著作ではそこまでは意識されていなかったのかもしれない。

    にしても、この内容が大学生を相手にした授業向けに書かれたということだが、20歳前後の若者は、これを咀嚼することができたのだろうか? 読む(享受する)側にも、相当の教養が求められると思う。
    が、この著者でなければ書けない著作だと思うし、構成としても索引がしっかりしていること、参考文献が豊富に示されていることがありがたかった。
    西洋の知的系譜に疎い私は、最初の「パイデイア」とは何なのか?というレベルであったが、読み進めるうちに、わからないところは索引からそれが書かれている場所へ誘導され、大変救われた。

  •  教育論、言語論等を含む「知」に関するギリシアのアリストテレスから新型コロナウイルスによる社会変化までを外観するという斬新な本。過去に紡がれた「言葉」=「世界」なのだからアーカイブが重要ということだろう。
     「なぜアーカイブが必要か」という問いについて広範囲に渡り思慮し、十分掘り下げたことがある筆者ならではの端的に語っていくというスタイルなのでとても読み易い。漫画雑誌の少年ジャンプの連載にも似たスピーディな展開は爽快。
     グラフィックレコーディングを生業としているとどうしても、何かを他社に伝えるというコミュニケーション、学びという分野についてそれ学び続ける覚悟がいる訳だが、その点を示唆する人もおらずいろいろと文献を読み漁る間に、ピアジェ、ヴィゴツキー、果てはヴィトゲンシュタインにまで及んでいたのだが、結果としてこの本に大抵のことは言及されており、自分がこれまで学んでいたことがそれほど外れてはいない、ということが確認できたのは非常にありがたかった。
     この本の制作過程には新型コロナウイルスに伴う学校環境の変化というものがあったようだがそれも相まってシャープな筆致になっているのであれば、このスタイルは取り入れるべきものと思う。ある意味で「対話」の重要性に改めて気づくものでもあった。

  •  Googleと言わず、知らないことは検索にかけてしまえば「給料分」のコメント程度はできるようになってしまった昨今、発想を順序だてて論理に落とし込む作業、全体を描く創造といったことは後回しになっているような気がしている。
     特に、技術というか、機械ものやシステムに関しては、なんのためにあって、どういう考えで作り、使っているのか残っていないことが多く、仕事の現場では機械に使われてしまっている側面が強くなってしまっている。すぐに検索サイトで調べるというのも、機械的アーカイブというか、レファレンスに使われているということなのかもしれない。
     そんな問題意識から、大昔からある図書館、広くいってアーカイブに興味を持ち、出逢った本である。
     本書の問題意識は、「発想を(実現ではなく)論理として形作ることや創造を描くこと」そのものが後回しになっていることではなく、せっかく形になって残っているものを蓄積し、すぐに使えるようにすることが(日本では)重視されないのはなぜか、に重点がある。答えの一つとして、日本における産業成長が背景にあるが、日本文化と相いれないものではない、という主張がある。たぶん、これが一つの大きな結論なのだろう。
     一方で、ギリシア以来の長い文化に加え、直観と論理を結ぶ強力なツールを生み育ててきた西洋にあっても、「適合性」は困難な問題で、文字列検索の効率化、人の「なんとなく」を機械的に学ばせたり、サマリー的な候補を大量に並べて選択させる以上のことはできておらず、質問に対して適切な答えを用意できる環境は整っていない。これは興味深い事実で、ドキュメントを無尽蔵に吸収するツールが整った現代こそ、質問者と回答者の間に仲介者が不可欠、しかも人が介在すること不可欠だということではないだろうか。
     著者にとって仲介者は司書であるべき、という考えがある(だろう)から、当然の帰結といえばそうなのだが、このような人の介在が本質的なのであれば、AIに仕事を譲ることよりもやるべきことがたくさんあると感じた。また、文字に限らず、図画、音(音楽)、映像も取り込んでしまうようになった現代、どうしていけばいいのか考えるのも面白い。
     ほかに異なる次元で興味をもったこととして、言語論的転回、言語の透明性と構築性、分節化。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

監訳者:(ねもと あきら)東京大学名誉教授。

「2021年 『国際バカロレア教育と学校図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

根本彰の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
J・モーティマー...
鈴木哲也
バーバラ・H.ロ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×