精神分裂病【新装版】――精神医学1 (精神医学 1)

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622089735

作品紹介・あらすじ

フロイトとならんで現代精神医学の基礎をきずいた著者の主著である。精神医学をまなぶ者は誰でも一度は読むべき古典中の古典であり、ここにはじめて邦訳される。
モレルが1860年初めて用いたフランス語の早発性痴呆という言葉のラテン語訳Dementia praecoxに疾病単位としての概念規定を行なったのはクレペリンの本書第5版(1896)であった。20世紀初頭の多数の精神病患者たちが医師の診断の混乱に悩まされた状態は、つぎのようなブロイラーの記載からも知られよう。「……このようにして多数の患者は、いろいろな病院で受診するたびに、その病院の数だけの診断を背負わされた……次のような出来事は普通のことであった。ある病院では大きな一つの壺にデメンチアと書いてあった。ところが医師が代わって新任の医師になると、その大きな壺のそばにあった、パラノイアというレッテルを貼った壺を大きくして、入院患者をつぎつぎと、この壺のなかに入れかえた。彼は前任者の錯誤を訂正するつもりであった」と。そして「このような混乱に対して、クレペリンによる早発性痴呆の概念の樹立は、明瞭さと秩序とをもたらした。これは真実な疾病概念である」と。ブロイラーは『早発性痴呆あるいは精神分裂病群』1911を著わし、クレペリンの概念をほぼ全面的に継承した。しかしそれは、新しい呼称として《精神分裂病》と呼ばれることになる。
精神分裂病の診断の大きな里程標としての本書は、その提示の84年後のアメリカの新しい診断基準DSM-IIIによって示されたような現代的状況下で、かえって問題把握に新鮮な意味と輝きをもつ。
「私はただ彼を尊敬する。学問に対する彼のひたむきな良心的な態度を尊敬する。彼ほどに豊かな資料を集め、詳しい記述につとめ、つきることのない情熱と執念とをもって精神病の追究に取組んだ人が、彼以外に果たしてあったであろうか」(内村祐之)

著者プロフィール

(Emil Kraepelin)
1856-1926。ドイツのノイシュトレリッツに生まれる。1874年、ヴュルツブルグとライプチヒ大学で医学を学び始め、その後ヴント、グッデンの教えを受ける。1883年『精神医学提要』Compendium der Psychiatrie(384頁)を出版。著者27歳のときであり、これが後年の『精神医学』の初版である。いらい版をかさね第8版(1909-1915)では4巻3048頁となった。第9版の第2巻が出版されたのは1927年で、これで中絶した。30歳のとき精神医学の教授となり、ドルパト(エストニア、今日のタルトゥ)、ハイデルベルク、ミュンへン大学を歴任した。フロイトとならぴ、現代精神医学の基礎を築いた一人である。

「2023年 『精神医学総論 新装版 精神医学;6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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