嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書――自閉症者と小説を読む

  • みすず書房
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本棚登録 : 131
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622090045

作品紹介・あらすじ

「この卓越した本を読む者は、真に読むということの驚異を感じずにはいられない。……本書は読書についての本だが、私がこれまで出会ったどんな本とも違う。」(S・クーシスト「本書に寄せて」より)
◆文学教授を生業にする著者が、『白鯨』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『心は孤独な狩人』などの名作を6人の自閉症者とともに読んだ読書セッションの記録。自閉症者は「心の理論」を持たない、想像による遊びができないといった偏見は早々に覆されるが、それだけではない。自閉症者がカテゴリー化される以前の「感覚」を通して物語と関わることで、鮮烈な小説体験をしていることが明らかになる。
◆おのおの独特の症状や経歴をもつ彼らの、物語への感受性はときに痛切とも言えるほど鋭敏だ。たとえば『白鯨』を読む第一章では、言葉を話さない自閉症の青年ティトが、どの登場人物よりも鯨に自分を重ねながら小説世界を「泳ぎ」、その感覚を詩に綴りはじめる。『白鯨』のモチーフはやがて、ティトと著者の生活全体を呑み込んでいく。
◆著者は近年の脳科学的知見にもとづいて、「神経多様性(ニューロダイバーシティ)と読書」というテーマをかつてないほど掘り下げている。そこでは、自閉症者と定型発達者、双方の読み方の特性が互いを逆照射し合い、読むという行為の尽きせぬ可能性が浮かび上がる。だからこそ、本書の読後に強く体感されるのは、多様な脳と交感する文学の力の無辺さだ。

感想・レビュー・書評

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  • 嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/09004/

  • 自閉症者がどうこう以上に、”読むとはどういうことか”について考えさせられた。
    私はどう読んできただろう。。。

  • いろいろなタイプの自閉症者6人それぞれと、共に小説を読んだ記録。自閉症の子は特殊な能力を持ってる子が多いよね、なんて軽く言ってしまっていたことを反省する。そんな安易なことではなかった。彼らの読書体験を追うことで、その複雑さ、並外れた感受性や洞察力に出会う。

    なんてえらそうに感想を述べているけど、専門的な言葉も出てくるし、論文的な内容でもあるので、難しいところも多々。以前読んだ『クシュラの奇跡』をもっと学術的にしたような。

    でもそんな私のような読者にも伝わってくるのだ。やっぱ小説ってすばらしい、ってことが。

    ーーー
    文学的な言語は海のように揺らめき、私たちは思考を構成する言葉の周囲を泳ぎ回ったりその底に潜り込んだりできる。
    ーーー(p108)
    ーーー
    印刷された言葉に身を浸すのは、砂漠の水のようなもの。本だけが言葉の発し方の理解につながる道。
    ーーー(p129)

    あと、音楽や詩(つまりリズム!)は、脳が仮説をたてるときの助けになる、馴染みある音楽を聞くと運動系が活性化することが明らかになっている、というのも興味深かった!アスリートが競技前に音楽を聴いたりするのも、プロ野球の応援歌があったりするのもそういうことなんだ、きっと。

  • 自閉症と文学の相性。

    文学とは、心のモヤモヤを、あえてそのまま
    表現しようとする試みである。
    「知覚可能な抽象」

    自閉症者は、超具体の世界に住む。
    今ここに生き、情報を選択しない。
    抽象が理解できない。

    文学は、知覚可能な抽象として、
    自閉症者に抽象のあり方を指し示す。

    例えば、詩のリズムは、予測可能性により、
    自閉症者に安心を与える。
    今ここに生きる自閉症者に、未来を見せる
    可能性を秘めている。

  • 【所在】図・3F開架
    【請求記号】930.29||SA
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/455892

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著者プロフィール

研究者、エッセイスト、詩人。グリネル大学教授。講義テーマはアメリカ文学、創作、障害者福祉。ほかの著書に、自閉症の息子DJの半生を振り返ったメモワールReasonable People: A Memoir of Autism and Adoption(Other Press、2007. Independent Publishers Gold Medalを受賞)、詩集When This Is Over: Pandemic Poems(Ice Cube Press, 2020)、ほか。編著に Papa PhD: Essays on Fatherhood by Men in the Academy(Rutgers University Press, 2011)、ほか。2012-2013年、デューク大学脳科学研究所のニューロヒューマニティーズ研究グループに参加し、ニューロダイバーシティ(神経多様性)と自閉症に関する研究調査をおこなった。

「2021年 『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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