- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622090229
作品紹介・あらすじ
「こうして「愛(ディレクティオ)」は、自己自身が他の人々と共通の危機の中にあるとの認識に根拠づけられている。キリスト信徒の「世界内存在」In-der-Welt-seinは、自らの過去への帰属性を表しているが、同時に危機の中にある存在をも意味している。(…)こうして「地の国」における人々の相互生活の基盤を作り上げていた運命共有者としての仲間意識が、再び新たな自覚において保持されるようになる。」
ヤスパースの指導と、ハイデガーの影響のもとに書かれたこの博士論文は、ナチスの政権掌握によって亡命を余儀なくされたアーレントが、つねに携え、長い年月をかけて手を加えつづけた一冊である。このデビュー作のなかには、成熟期の政治哲学にみられるものがすでに胚胎し、のちの思想的展開の豊かな基盤ともなっていることにまず驚かされる。
政治的・道義的に急速な転換をみた1920年代のドイツで、アーレントはアウグスティヌスという哲学史上・神学史上の巨人と、愛の概念について、社会のきずなの存在論的根拠について、さまざまな角度から対論を試みている。共同性の存在論を問うことで、自己と隣人と世界に対する、みずからの魂の位置づけを探求するかのように。
1929年にドイツで刊行された初版本を底本とし、のちに本人の手で加えられた注釈や修正をいかした英語版についても言及した、訳者による詳細な解説に加えて、今回新たに、解説「アーレント政治思想の展開と著作案内」を付す。
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著者プロフィール
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