チーズとうじ虫 新装版

  • みすず書房
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622090236

作品紹介・あらすじ

1583年9月、イタリア東北部、当時はヴェネツィア共和国本土属領のフリウリ地方において、ひとりの粉挽屋が教皇庁により告訴された。名をドメニコ・スカンデッラといい、人びとからはメノッキオと呼ばれていた。職業柄、白のチョッキ、白のマント、白麻の帽子をいつも身に着け、そして裁判の席にあらわれるのもこの白ずくめの服装だった。
「各人はその職業に従って働く。あるものは身体を動かし骨折って働き、あるものは馬鍬で耕す、そして私はといえば神を冒瀆するのが仕事だ」
「私が考え信じるところでは、すべてはカオスである、すなわち土、空気、水、火のすべてが渾然一体となったものである。この全体は次第に塊になっていった。ちょうど牛乳からチーズができるように。そしてチーズの塊からうじ虫が湧き出るように天使たちが出現したのだ」
かく語り、二度にわたる裁判を経て焚刑に処せられたメノッキオとは何者か。異端審問記録ほか埋もれた史料を駆使しつつ地方農民のミクロコスモスを復元、民衆文化の深層にスリリングに迫ったギンズブルグ史学の初期傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 異端審問記録

  • 16世紀後半,一人の粉挽屋メノッキオの異端裁判の記録を読み解くことで見えてくる世界の広がり,農民つまりは民衆と支配する階級との関係性の崩れの様相,この時代の宗教改革などにも表れる考え方の変遷あるいは変わりなさ,など興味深かった.
    そして何よりこのメノッキオの好奇心,拷問にも覆すことのできない真理,黙っておれない性格など,手強い異端審問官とのやり取りなどからも,あっぱれだと感心した.

  • 私が考え信じているのは、すべてはカオスである、すなわち、土、空気、水、火、などこれらの全体はカオスである。この全体は次第に塊りになっていった。ちょうど牛乳のなかからチーズの塊ができ、そこからうじ虫があらわれてくるように、このうじ虫のように出現してくるものが天使たちなのだ。(41)
    この世の初めにはなにも存在していず、海の水がたたかれて泡立ち、その泡はチーズのように凝固した。次いでそこから無数のうじ虫が生じてきて、これらのうじ虫は人間となった。そのなかで最も強力にして最も賢いものが神であり、神にたいして他のものたちは服従を誓った(124)
    知らずや人は、天界の蝶を造らんとて生まれし、うじ虫なることを(煉獄篇、§10、124-125)

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著者プロフィール

(Carlo Ginzburg)
歴史家。1939年、イタリアのトリーノに生まれる。ピサ高等師範学校専修課程修了。ボローニャ大学・近世史講座教授、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校教授を経て、ピサ高等師範学校教授。

「2022年 『恥のきずな 新しい文献学のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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