革命論

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622090793

作品紹介・あらすじ

アメリカ革命とフランス革命の考察を中心に、創設の意味、代表制や評議会制のあり方など、「新しい始まりはいかにして生じるか」という著者の根本的問題意識が全体を通底するアーレントの主著の一つ、『革命について』(ちくま学芸文庫)のドイツ語版からの新訳である。『活動的生』同様、著者の思考をより伝えやすくしたドイツ語版からの邦訳刊行は、本書およびアーレント理解に大いに貢献するだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 2023年8月13日図書館から借り出し

  • 目次

    凡例

    序論 戦争と革命
    第一章 歴史的背景
    第二章 社会問題
    第三章 「幸福の追求」
    第四章 創設――自由の構成 CONSTITUTIO LIBERTATIS
    第五章 時代の新秩序 NOVUS ORDO SAECLORUM
    第六章 革命の伝統と、革命精神

    https://www.msz.co.jp/book/detail/09079/

  • 東2法経図・6F開架:316.5A/A68k//K

  • 序論 戦争と革命
    第一章 歴史的背景
    第二章 社会問題
    第三章 「幸福の追求」
    第四章 創設――自由の構成 CONSTITUTIO LIBERTATIS
    第五章 時代の新秩序 NOVUS ORDO SAECLORUM
    第六章 革命の伝統と、革命精神

  • アーレントの「人間の条件」に次ぐ主著「革命について」のドイツ語版からの翻訳。

    わたしが個人的にアーレントの名前を知ったのは、この「革命について」で、30年以上前のこと。興味はあったが、なかなか難しそうで、実際には読まずにいた。

    5〜6年まえに「全体主義」的な方向に世の中が動いているような気がして、アーレントを思い出したが、「全体主義の起源」を読もうとして挫折し、「人間の条件」で挫折し、そのドイツ語版からの翻訳「活動的生」を読み始めて半分くらいまで行ったところで行き詰まり、「革命について」も半分くらいまでで行き詰まる。有名なルポ「エルサレムのアイヒマン」をなんとか読了して、そこから「革命について」、「活動的生」、「全体主義の起源」を読み通すことに成功した。

    まあ、そんな感じで、よく分からないながら、アーレントのまわりをグルグルと回っているのだが、アーレントの著作で日本語になっているのを一通り読んで、また研究書もぼちぼちと読んだ上で、個人的には因縁ぶかい「革命について」のドイツ版からの翻訳「革命論」が新たに出たので読んでみた。

    私の印象では、英語版からの翻訳「人間の条件」より、同訳者のドイツ語版からの翻訳「活動的生」のほうがわかりやすい感じがしたので、大いに期待したのだが、この「革命論」は、こんな難しい本だっけ?と思うこともしばしば。ときどき英語版からの翻訳「革命について」も参照しながら、読む羽目になった。

    訳者によると、「革命論」は、アーレントが自ら英語から著者の母語であるドイツ語に翻訳したもので、単なる翻訳を超えて、著者がもう一度自分の母語で表現しなおそうとしていて、かなり手が入っている。その結果、英語版以上に屈折した複雑な文章になったようである。そして、英語版にはないパラグラフがまるごと挿入されているところもあって、議論がさらに深まっている。

    さて、あらためて「革命論」を読んでみて、わかったのは、これはアーレントの「活動的生」の議論と密接に関連した政治思想の本であるということ。この2冊の関係はアリストテレスの「倫理学」と「政治学」が連続しているのと同じで、「活動的生」は「革命論」に直接的につながるし、裏と表の関係になっている。

    アーレントは、「人間の条件」(「活動的生」)が有名なのだが、この「革命論」を読まないことには、「人間の条件」の理解も十分なものにはならないと思った。

    さて、その本の内容だが、単純にまとめて紹介できるようなものではない。とりあえず、印象的だっとところをメモがわりに書いてみる。

    以前、「革命について」を読んだときは、フランス革命とアメリカ革命を比較した歴史の本と思ったのだが、これは史実としての正確性というより、かなりアーレントの思想を託しての解釈を展開しているので、これは歴史学として読むと間違うと思う。(「全体主義の起源」や「エルサレムのアイヒマン」も歴史的事実を取り扱っている本として読むと間違う。あと、過去の「哲学者」の解釈も専門分野の人が読むと間違っていることが多い。その辺も、アーレント自身の思想を表現するための議論として読む必要があるというのが、にわかアーレント読者の感想)

    さて、「歴史学」ではなく、アーレントの政治思想として読むとどうなのか?

    「活動的生」でもっとも重要なものとされた「活動」、それ関連してでてきた複数性、出生性、はじまりなどなどの概念が、まさに具体的な政治空間において、どう構成されるのかということがここでの議論の中心になっている。

    つまり、「活動的生」や「全体主義の起源」などで、しばしば、革命に関連して現れるとされた「評議会」の概念が十分な長さをもって議論されているのだ。

    アーレントは、フランス革命、パリコミューン、ロシア革命、ドイツ革命などにおいて、人々が自発的に集まり、「評議会」がうみだされ、直接民主主義的な議論の場が生じたということを指摘する。

    そして、アーレントは、56年のハンガリー革命にも、ソ連の支配に対して自由を求める人々の活動にもこうした「評議会」的な希望を見出し、しばしば、その著作でも言及する。(アーレントのなくなった数年後におきたポーランドの連帯、そしてベルリンの壁の崩壊などをもしアーレントが生きていたらどうみていただろう)

    わたしは、そうした「評議会」に関するアーレントの議論については、それが人間の希望を表すとしても、歴史的には、一瞬あらわれるだけで、すぐに政治的な権力によって、消滅する極めて儚いものだと思っていた。そこに過剰な期待を寄せるのは、すこし世間知らずの哲学者の妄想(失礼)ではないかと思っていた。

    たしかにそうなのだが、ここでのアーレントは、「アメリカ革命」という忘れられた「革命」のなかにこの「評議会」的な希望を見出し、フランス革命を起源とする暴力的な革命で専制政治になってしまうようなモデルとは違う可能性を発見しようとしているのだ。

    そこには、人民や一般意志、歴史の必然性といった抽象的概念はなく、具体的に一人一人が異なった複数性として現れ、相互の約束として、新しい始まりを生み出す。そして、それは「憲法」という制作物として、耐久性をもって、世の中に定着していくとともに、人々の継続的な参加を通じて、新しい始まりが継続されていくという可能性があるというのだ。

    もちろん、これはいつも起きることではなく、さまざまな歴史的な条件を必要とする。たとえば、貧困の問題があまり深刻でなく、貧困の克服ではなく、自由が革命のメインテーマとなるなど、多くの革命では成立しにくい条件が必要となる。また、革命前の体制が、専制政治しか経験してないような状況なのか、国王に対する市民の権利を確保するような経験がある状況なのかによって、大きく革命のいく末は影響される。

    それでも、こうした「革命」の忘れられた知恵、オルタナティヴが単なる空想ではなく、歴史的に存在したということを定着させるということにチャレンジしているわけだ。

    この議論のなかでは、アメリカが美化され過ぎている印象もある。例えば、奴隷制の存在や「未開の地」とされて、追い出されたネイティヴアメリカンといった存在が、一部で簡単に言及されてはいるが、議論の大筋には影響していない。

    が、何度も言うように、これは歴史学ではなく、思想の本。

    複数である人間が、公的な空間に現れて、なにか新しいストーリーを生み出し始めるという希望が、哲学者の妄想ではなく、歴史的にそうしたことが起きていたということを掘り出して、世の中を変えるためには暴力を伴う革命は仕方ないという考え、あるいは、革命は暴力を伴うので否定されるべきであるという考えを相対化させようとしているのだ。

    そして、このドイツ語版からの最終章のタイトルは、「革命の伝統と、革命精神」となっていて、英語版のタイトルが「革命の伝統と、その失われた宝」であったことと組み合わせると、「失われた宝」とは「革命精神」ということが明確になる。

    アーレントは、徹底した反全体主義の論者で、ルソーやマルクス、そしてフランス革命やソ連に対する強い批判者であったので、しばしば保守的な論者とみなされることもあるが、彼女は「革命精神」の守護者であったのだということがここで明らかになったわけだ。

    通常、あまりにも静かに進んだので「革命」とも認識されない「アメリカ革命」のプロセスにある「革命精神」を思い起こすことを提案しているわけだ。

    人々が集まって、「活動」を通して、新しい希望を創設(Constitution)すること、それを憲法(Constitution)として、持続性のあるものを「制作」すること、ここに「暗い時代」におけるかすかな光があるというアーレントの思想の中核とその具体的な展開がここにある。

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著者プロフィール

1906-1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得、その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。著書に『アウグスティヌスの愛の概念』(1929、みすず書房2002)『全体主義の起原』全3巻(1951、みすず書房1972、1974、2017)『人間の条件』(1958、筑摩書房1994、ドイツ語版『活動的生』1960、みすず書房2015)『エルサレムのアイヒマン』(1963、みすず書房1969、2017)『革命について』(1963、筑摩書房1995、ドイツ語版『革命論』1965、みすず書房2022)など。

「2022年 『革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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