通訳者と戦争犯罪

  • みすず書房 (2023年6月20日発売)
3.33
  • (0)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 92
感想 : 7
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784622096177

作品紹介・あらすじ

通訳者は通常、原発話の内容やその結果とは無関係であるとされ、それを目標言語で忠実に伝達することについて法的責任を問われることはない。また、職務倫理においても公平性と中立性が要求され、業務上知り得た事柄については守秘義務が生じる。しかしこうした平時の規範は、戦争や紛争のような暴力を伴う敵対状況下の通訳にも通用するのだろうか?
本書は、実際に通訳者が戦争犯罪に関与したとして訴追され、有罪判決を受けた歴史的事例としてアジア太平洋戦争後の英国による対日BC級戦犯裁判を参照し、そこから今日の通訳者の責任と倫理を論じるものである。第I部では、通訳被告人(台湾人、占領地市民、日系二世を含む)の動員経緯や業務内容、裁判中の供述、抗弁、判決等を詳述し、通訳者がどのようにして罪に問われたのかを精査する。同時に、同裁判で通訳者が業務中に目撃した雇用主(日本軍)の行為について証言を行ったことにも着目する。第II部では、英軍裁判に加え、イラクやアフガニスタンなど現代の戦争の事例も参照しながら、「可視性」や「近接性」の観点から通訳者が抱えうるリスクを検討。従軍通訳という究極的なケースをも包含する堅牢な通訳理論の構築を提起する。
現場感覚と研究の蓄積に裏打ちされた書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • KAKEN — 研究課題をさがす | BC級戦犯裁判の事例に基づく戦時言語政策および戦争犯罪と通訳に関するマクロ的研究 (KAKENHI-PROJECT-17K02988)
    https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K02988/

    研究者詳細 - 武田 珂代子
    https://univdb.rikkyo.ac.jp/view?l=ja&u=100000622

    通訳者と戦争犯罪 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/09617/

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000156617

    M-Portで事前登録が必要です。
    ◆学認からログインしてください。

  • 東2法経図・6F開架:329.6A/Ta59t//K

  • 日本軍のために働いた通訳者が有罪に

  • 第二次世界大戦中の日本軍の憲兵の通訳として、日系人、朝鮮人、台湾人及び現地の人が戦争犯罪人として東京裁判で裁かれたことを中心としている。
    通訳者研究として初めての本であると思われる。これは外国語大学や英文科として通訳を目指す人にとっては必須の本であると思われる。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

熊本県生まれ。米国・ミドルベリー国際大学モントレー校(MIIS)翻訳通訳大学院日本語科主任を経て、2011年より立教大学異文化コミュニケーション学部教授。MIISで修士号、ロビラ・イ・ビルジリ大学(スペイン)で博士号を取得。専門は翻訳通訳研究。著書に『東京裁判における通訳』、翻訳書に『ニュルンベルク裁判の通訳』(F・ガイバ著)『コリアン・シネマ』(H・イ著)(以上、みすず書房)、編著に『翻訳通訳の新地平』(晃洋書房)などがある。

「2018年 『太平洋戦争 日本語諜報戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

武田珂代子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×