フォルモサ・イデオロギー 台湾ナショナリズムの勃興 1895ー1945
- みすず書房 (2023年11月6日発売)


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本 ・本 (536ページ) / ISBN・EAN: 9784622096498
作品紹介・あらすじ
17世紀以来の漢族系移民の入植地であり、清帝国の省であった台湾は、日清戦争後に日本へ割譲され、51年にわたりその植民地支配下に置かれた。本書は、植民地台湾において、ナショナリストたちがいかにしてその空間を自らのネーションとして想像するにいたったのか、それがなぜ祖国復帰を目指す中国ナショナリズムではなく「台湾ナショナリズム」として発展したのかを、その領域的基盤の形成とイデオロギー形成の両面から論じるものである。
日本の植民地主義は、地理的、人種的、文化的に近接する人々を支配し、国民的共同体に従属的に包摂することを目指すものであった。西洋への反動として生じた明治以来の日本の国民国家形成の延長であったそれは、西洋によって再び植民地化されることへの恐怖に囚われていたがために、植民地臣民に同化を迫りつつも、差異を保ち、自らの優越性を維持する必要があった。それは、類似性と差異性を恣意的に操作し、周縁の人々を東洋化することで自らの東洋化に抗う〈東洋的植民地主義(オリエンタル・コロニアリズム)〉であった。
しかし台湾人をして「弱小民族」としての共通の運命を自覚せしめ、台湾を一個のネーションとして想像させたのは、日本の両義的で差別的な包摂にほかならなかった。1920年代に生じた自決的民族の想像は、その後の反植民地闘争や台湾人内部での論争を通じて、洗練された〈フォルモサ・イデオロギー〉として分節化されていった。
台湾ナショナリズムの原点を探る、著者の里程標的論考。
感想・レビュー・書評
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<紹介文>
本書は、台湾の思想家・政治学研究者の呉叡人氏が、2003年にアメリカ・シカゴ大学に提出した博士論文The Formosan Ideologyを翻訳したものです。1895年から1945年まで続いた日本による植民地統治のもと、台湾の人々がいかにして自分たちの民族的アイデンティティ=フォルモサ・イデオロギーを形成していったのか、その苦闘の歩みを思想的に跡付けたものです。原文は英語ですが、刊行されたものとしてはこの日本語版が先駆けて出版されました。台湾研究の古典となるべき著作をぜひご一読ください。
(山本和行先生からのコメント)
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記録
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311.2224||Go
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出版社(みすず書房)
https://www.msz.co.jp/book/detail/09649/
内容・目次
「朝日新聞」書評(「著者に会いたい」)20240203
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15854894.html -
東2法経図・6F開架:311.3A/W96f//K
著者プロフィール
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