- 本 ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622096504
作品紹介・あらすじ
〈心的外傷体験の核心は孤立と無縁である。回復体験の核心は有力化と再結合である〉
あらゆる心的外傷(トラウマ)の諸相とその治療の方向性、回復への道を具体的・情熱的にしめした『心的外傷と回復』は、1992年の初版刊行以来、世界中の読者から感動をもって迎えられ、現在ではトラウマ問題の「バイブル」の地位をゆるぎないものにしている。
本書は、原書2022年版にもとづき、長大な「あとがき――心的外傷の弁証法は続いている(2015)」と「エピローグ(2022)」を付した増補新版である。アフガニスタン侵攻以後に表面化したアメリカ軍人、特に女性兵士の心的外傷、児童虐待の後遺症としての複雑性PTSD、カトリック教会による組織的な性虐待などの問題を取り上げ考察しながら、この30年間の心的外傷研究の発展を関与観察的態度で詳細に追い、その展望に及んでいる。
そしてハーマンは、最後に結んでいる。
〈結局のところ、心的外傷を癒すためには身体と脳と心を一つに統合することが必要なのだという、基本に立ち戻ることになる。まず安全な場をもつこと、そして思い出すこと、服喪追悼すること、そしてコミュニティにもう一度つながることである。…回復の土台石となるのは、心理療法と社会的支援である。この原理は、どんな治療技法によっても、どんな薬物によっても変わることはない〉
感想・レビュー・書評
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1月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003672231 -
邦題はかたいけど、原題は”Trauma And Recovery”
確かに内容は厳しくつらいものがあるんだけど、内容の根底にフェミニズム的なエンパワメントがあることで、ポジティブなバイブスを感じられる。中井久夫による翻訳文もわりかし読みやすい。
第一章ではPTSDというものの存在が公的に認められるまでの歴史を概説している。かつて、女性の「ヒステリー」や兵士の「戦争神経症」は発見されながらも社会の中で度々忘却されてきた。それらを正面から受け止め、理解するための社会的な背景が整ってきた時、その症状は初めて認識されることができた。
ある言葉が受け止められるかどうかは、その言葉だけの純粋な問題ではなく、社会や周囲の環境に左右されるという話は宮地尚子も『環状島』において繰り返し述べていることである。 -
電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000162473
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医学部分館2階書架 : WM170/HER : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170962
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570488
著者プロフィール
中井久夫の作品





