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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784622097341
作品紹介・あらすじ
米中対立の高まりを背景として、近年、「台湾有事」の可能性が現実味をもって議論されている。在日米軍基地の7割を抱える沖縄では、自衛隊の「南西シフト」構想のもと、さらなる軍事化が進む。前線に押し出された沖縄の人びとは、戦時には攻撃対象となるリスクを背負わされている。一方、中国による併合の意図に抗い、自主独立の現状を守りたい台湾にとって、日米の参戦は自らの防衛に有利にはたらく。このような地政学的構造から見たとき、台湾と沖縄は明らかに対峙する関係にある。
だが、歴史的に見れば、両者は、日本と中国という二つの大国の狭間で相似した運命をたどってきた。いまそれぞれが直面する危機も、元をたどれば、帝国による植民地支配や中央集権的包摂/排除に起因する側面が大きい。リアルな戦争に備えて生活空間の軍事化が進展している点においても、こうした境遇の自力での解決が困難な立場にある点においても、共通の課題をもつ。
台湾と沖縄――この〈帝国の狭間〉に置かれた人びとが、立場の違いを乗り越え、ともに平和である道はないのか? 日本の「本土」に暮らすわたしたちは、このようなジレンマを生みだす者としての当事者性を自覚したとき、どのように言葉を紡ぐことができるのか? 本書は、この問いを起点として、歴史認識と倫理的価値にもとづく〈同盟〉を模索する対話の試みである。
感想・レビュー・書評
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編者の駒込武氏が中心となって運営している自主講座「認識台湾」でのシンポジウムを軸に、参加者間の往復書簡や鼎談を構成した一冊。(イギリスのメディアに言わせると現代世界で最も危険な地域とされた)台湾と、米日側から最前線でさらされる沖縄・南西諸島の知識人同士が対話する企て。
異なる地政学的現実を突きつけられている(呉叡人)台湾と沖縄では、「反戦」「平和」という語を取り巻くコンテクストが全く異なる、という議論は重要。列島社会のマジョリティ、とくに左派やリベラル派は台湾と沖縄にそれぞれ「声を挙げる」ことの理想と憧れを重ねてきたが、一方でそれは台湾や沖縄に、理念としての「自主」「平和」のモデルを押しつけていることに他ならない、という指摘にはドキリとさせられた。列島社会のマジョリティの中の「良識派」たちは、そのようなモデル・マイノリティを表象レベルで産出しつつ、自分たちは悪くない、と思い込んできたのではあるまいか。
とはいえ、駒込武氏の議論——日本が中国に対する国家賠償責任を果たすことを通じて中国の姿勢変化を促していく——は、やはりナイーブに過ぎるように思われる。日本国家に帝国日本の侵略責任、植民地支配責任を承認させ、行動させることと、それを「賠償」という形式で表現することとの間には小さくない径庭があると思われる。ましてや、その資金がどう使われるかわからない、という現状では。 -
東2法経図・6F開架:319.2A/Ko56t//K
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自分には難しいんだと思う。そんなに興味持てなかった。
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