文化と帝国主義 改訳新版

  • みすず書房 (2025年2月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (800ページ) / ISBN・EAN: 9784622097587

作品紹介・あらすじ

〈今日、誰もが、純粋にひとつのものではない。インド人あるいは女性あるいはムスリムあるいはアメリカ人といったレッテルは、せいぜい出発点にすぎなくて、ほんの一瞬でも実際の経験に足を踏み入れるなら、すぐにも捨て去られてしまうものなのだ。帝国主義は文化とアイデンティティとの混合を地球規模で強化した。しかし、そこからもたらされた最悪の、もっとも逆説的ともいえる贈り物とは、人びとに、自分たちがただひたすら、おおむね、もっぱら白人あるいは黒人あるいは西洋人あるいは東洋人であると信じこませたことだ。…けれども他者とのちがいやみずからの特異性に、これこそが人間生活の要であるかのごとく、こだわりつづける理由は、恐怖と偏見以外にどこにもないように思われる。事実、生存とは、さまざまなものをむすびつけることを中心にして達成される。より実りあるのは――そしてより難しいのは――「わたしたち」についてだけではなく、他者について、具体的に、共感をこめて、対位法的に考えることなのだ〉

重なりあう領土、からまりあう歴史…今日もなお形を変えてつづく世界史の諸相を描いた、ポストコロニアル批評の金字塔。『オリエンタリズム』と並ぶサイードの主著を、改訳新版であらたにおくる。

感想・レビュー・書評

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  • ポストコロニアルの最重要著作。
    読後、心の節々にまでサイードの熱量が染み渡り、洗浄され、生まれ変わったかのような心地を味わえた。本当にいい読書は、その後の世界の捉え方を変えてくれること、その快感を久しぶりに実感でき感無量。

    他者について、その他者を尊ぶのではなくお互いの立つ地点、その場所と場所から相互に関連しあい、差異を見つめ、未来に繋げていくこと。

    文学、絵画、音楽等の西洋が生み出した遺産に含まれる特権的な帝国主義、白人史上主義的な悪しき思想の痕跡をサイードは分析していく。
    非植民地側のナショナリズムへと傾倒する短絡で循環的な帝国主義を解体するための新たな道の模索。フランツ・ファノンが自著の中でその萌芽を生み出した国同士のあり方について。
    ナショナリズムは民族至上主義ではあってはならない。それは帝国主義へと、民主主義とは相反する一党独裁政治への道を歩むことになる。
    イスラエルパレスチナ問題、アルジェリア等全ての人に対する実際的で前向きな思考の提案。
    ファノンそろそろ読まないと。

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/730573

  • 東2法経図・6F開架:902.06A/Sa17b//K

  • はじめに
    - 本書は、西洋の帝国主義およびその文化における表象の重要性を探求する。
    - 特に、カリプ海諸島やアイルランド、極東地域における西洋の表現手法について言及。
    - イスラム世界を描写するオリエンタリストの記述と関連性がある。

    文化と表象
    - 「文化」とは、記述法やコミュニケーション、表象の実践を指し、経済的・社会的・政治的領域から相対的に自律している。
    - 文化は、民族的伝承や学問(民族学、歴史、文献学など)を含む。
    - 特に19世紀と20世紀の西洋近代帝国に焦点を当て、小説という文化形式の役割を詳細に検討。

    帝国主義と抵抗
    - 西洋の支配に対する反応は、非西洋世界の広範囲に見られる。
    - 文化的抵抗や民族的アイデンティティの主張が、政治的な団体や政党の形成に繋がった。
    - 帝国主義的な侵入者は、単に非ヨーロッパの原住民を屈服させたのではなく、抵抗が常に存在した。

    文化的イデオロギー
    - 19世紀末までに、帝国主義イデオロギーは文化事象に深く埋め込まれていた。
    - 今日の文化的批評は、過去の帝国主義的な価値観とその影響を解明する必要がある。
    - ヨーロッパや西洋の文学は、帝国主義的視点からの分析が求められる。

    相互依存の視点
    - 帝国主義の影響は、経済や政治を超えて文化に浸透している。
    - 文学は、歴史的な経験や文化的なアイデンティティの形成において重要な役割を果たす。
    - 西洋文学と他の文化との関係性を再考することが求められる。

    具体的事例
    - ジェイン・オースティンの作品における帝国主義的要素について。
    - 『マンスフィールド・パーク』におけるカリプ海地域との関連性が示され、作中の地理的な次元が重要な分析対象となる。

    結論
    - 本書は、帝国主義の文化的側面を通じて、権力と支配のダイナミクスを解明する試みである。
    - 文化の相互依存性や文学の役割を強調し、帝国主義がもたらした影響を批判的に分析することが求められる。

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著者プロフィール

エドワード・ワディ・サイード
(إدوارد سعيد, Edward Wadie Said)
1935年11月1日 - 2003年9月25日
エルサレム生まれのパレスティナ人で、アメリカの文芸批評家。エルサレム、カイロで幼少時を過ごし、15歳の時にアメリカに渡る。プリンストン大学を卒業後ハーバード大学に学び、コロンビア大学の英文学・比較文学教授を務めた。サイードはまた、パレスティナ民族会議のメンバーとしてアメリカにおけるスポークスマンを務め、パレスティナやイスラム問題についての提言や著作活動など重要な役割を担った。『オリエンタリズム』(平凡社)、『知識人とは何か』(平凡社)、『世界・テキスト・批評家』(法政大学出版局)、『文化と帝国主義』(全2巻、みすず書房)などの主著が邦訳されている。

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