意味から言葉へ

  • ミネルヴァ書房 (1995年1月1日発売)
3.25
  • (0)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 1
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784623025800

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  本書は,『発達心理学再考のための序説』の続編であり,季刊『発達』に1990年~1995年まで連載した20回分の文章に加筆したものである。これ以降の連載も,あと2冊の単行本になっている。
     さて,一般的に,人は,言語を獲得してのちに,それを使って他者とのコミュニケーションを取るようになると思われているが,それは本当だろうか?
     考えてみると,赤ちゃんには,言語を獲得する前から,すでに,周囲の人とのやりとりの世界が存在している。母親からは,母国語でのいろんな呼びかけがあり,赤ちゃんの発する言葉(喃語のようなもの)に対しての反応もある。赤ちゃんは,「周囲の人とのやりとりの世界を次第に膨らませ,相互に共有の意味世界を広げて行」くのであろう。だから,まだ言葉とは言えないような「単発的に発せられた語すら,その前後の行為のやりとりの文脈を考え合わせれば,それ自体がすでに対話の一コマなの」だと言えるのだ。
     以上のことは,云われてみれば当たり前の事である。むしろ,言葉というのは,こういう対人関係があってこそ,育まれていくのであろう。
     こういう当たり前のことを確認することこそ,現代の子どもの置かれている状況を見直すことができるのだと著者は云う。
     

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1947年生まれ。発達心理学・法心理学者。現在、兵庫県・川西市子ども人権オンブズパーソン。発達心理学の批判的構築をめざす一方、冤罪事件での自白や目撃の心理に関心をよせ、それらの供述鑑定にも関わる。「自白の心理学」「子ども学序説」(岩波書店)「「私」とは何か」(講談社)ほか著書多数。

「2012年 『子どもが巣立つということ この時代の難しさのなかで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浜田寿美男の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×