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Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784623025800
感想・レビュー・書評
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本書は,『発達心理学再考のための序説』の続編であり,季刊『発達』に1990年~1995年まで連載した20回分の文章に加筆したものである。これ以降の連載も,あと2冊の単行本になっている。
さて,一般的に,人は,言語を獲得してのちに,それを使って他者とのコミュニケーションを取るようになると思われているが,それは本当だろうか?
考えてみると,赤ちゃんには,言語を獲得する前から,すでに,周囲の人とのやりとりの世界が存在している。母親からは,母国語でのいろんな呼びかけがあり,赤ちゃんの発する言葉(喃語のようなもの)に対しての反応もある。赤ちゃんは,「周囲の人とのやりとりの世界を次第に膨らませ,相互に共有の意味世界を広げて行」くのであろう。だから,まだ言葉とは言えないような「単発的に発せられた語すら,その前後の行為のやりとりの文脈を考え合わせれば,それ自体がすでに対話の一コマなの」だと言えるのだ。
以上のことは,云われてみれば当たり前の事である。むしろ,言葉というのは,こういう対人関係があってこそ,育まれていくのであろう。
こういう当たり前のことを確認することこそ,現代の子どもの置かれている状況を見直すことができるのだと著者は云う。
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