源満仲・頼光:殺生放逸 朝家の守護 (ミネルヴァ日本評伝選)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623039678

作品紹介・あらすじ

多田の所領に武力を蓄えながら、密告者という役回りを演じて摂関政治確立に奉仕した父満仲。摂関政治全盛期に、一般貴族と同様、受領として道長に追従した嫡男頼光。対照的な父子を通して、当時の武士の実態に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 後の武家政権へと繋がる実質的な祖である満仲とその嫡男頼光の評伝。伝説化された姿とは異なる実像を明らかにすることで、摂関政治期における武士の政治的立場とその確立過程がよく分かる内容。後世に伝説が肥大化する要因も興味深い。

  •  安和の変については残されているデータが少なく、よくわからないという話を聞いていました。が、この本では安和の変について詳しく語られ、参考になりました。

    ☆汚れ役
    1、 安和2年(969年)の安和の変では、源連らによる皇太子・守平親王(のち円融天皇)廃太子の謀反があると密告して事件の端緒をつくった。

    この事件で左大臣・源高明が失脚したが、満仲は高明の一派であり、これを裏切り密告したとの噂がある。

    @源 俊(みなもと の すぐる)という方がキーパーソン。
    源周子(醍醐天皇更衣・源高明の母)の兄弟。
    天慶8年(945年)権右少弁を務めている。天慶9年(946年)五位蔵人に補される[1]。従四位下に陞叙し、左衛門権佐に任ぜられる。
    「三事兼帯」→藤原惟成

                 満仲
                  Ⅱ------頼光
    源唱------俊------娘   |
         |             --頼平
         |            |
         |             --源賢
          --泉------ 娘
         |        Ⅱ
         |        Ⅱ
          --周子    Ⅱ
            Ⅱ------源高明
          醍醐天皇

    また、この事件で満仲の三弟・満季が対立する有力武士・藤原千晴の一族を追捕している。満仲は密告の恩賞により正五位下に昇進した。

    藤原兼家;
     康保4年(967年)、冷泉天皇の即位に伴い、同母の次兄・兼通に代わって蔵人頭となり、左近衛中将を兼ねた。翌安和元年(968年)には兼通を超えて従三位に叙され、さらに翌安和2年(969年)には参議を経ずに中納言となる。蔵人頭とは通常、四位の官とされて辞任時に参議に昇進するものとされていた。しかし、兼家は従三位に達し、更に中納言就任直後までその職に留まった。これは、長兄・伊尹の政権基盤確立のための宮中掌握政策の一翼を兼家が担っていたからだと考えられ、安和の変に兼家が関与していたとする説の根拠とされている。

    その後、娘・超子を入内させるのを黙認してもらえただけでなく、天禄3年(972年)には正三位大納言に引き立ててもらい、更に右近衛大将・按察使を兼ねさせてもらえた程、兼家は摂政となった伊尹から重用された。その結果、次兄・兼通を官位で上回ってしまい酷く恨まれた。



    2、寛和元年(986年)に起きた花山天皇退位事件に際し、花山天皇を宮中から連れ出した藤原道兼を警護した「なにがしといふいみじき源氏の武者たち」[10]とは、満仲の一族であったと考えられている。この政変後、満仲と主従関係にあったとみられる藤原兼家は一条天皇の摂政に就任した。


    ☆自宅襲撃事件
    1、応和元年(961年)に満仲の邸宅が強盗に襲撃される事件が起こり、自ら強盗の一味であった倉橋弘重を捕らえた。弘重の供述によれば醍醐天皇の皇孫親繁王[注釈 3]と清和天皇の皇孫源蕃基[注釈 4]がそれぞれ主犯と共犯であったという

    2、天延元年(973年)には武装した集団に左京一条にあった自邸を襲撃、放火されるという事件が起きている。この事件による火災は周辺の建物300軒から500軒にまで延焼したという[6]。また、この事件でも同日中に三弟満季が嫌疑人を捕らえているが、実行犯については明らかでない[7]。

  • 頼光お兄ちゃんは出世の亡者過ぎる!

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著者プロフィール

1954年、兵庫県に生まれる。1978年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。1983年、京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。現在、京都大学名誉教授、京都大学博士 ※2022年1月現在
【主要編著書】『平清盛と後白河院』(角川書店、2012年)。『治承・寿永の内乱と平氏』(吉川弘文館、2013年)。『源頼義』(吉川弘文館、2017年)。『源頼朝』(中央公論新社、2019年)

「2022年 『平氏政権と源平争乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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