あの薔薇を見てよ―ボウエン・ミステリー短編集 (MINERVA世界文学選)

制作 : Elizabeth Bowen  太田 良子 
  • ミネルヴァ書房
3.55
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本棚登録 : 78
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623040797

作品紹介・あらすじ

20世紀英国文壇切っての短編の名手がミステリータッチで抉る人生の真実20編。

感想・レビュー・書評

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  • またまた、素晴らしい作家に出会えた!
    やったね、2016年も、良い年だわい!

    こちらの本は
    「この本欲しいなあ~」
    「そろそろ今年の編み物の本、出ないかな~」と
    いつものAmazonチェックしていたら、

    あっち(Amazon)から
    「貴女みたいな人はこの本も読んでいるよ」と
    紹介されたもの。

    へ~へ~ふ~ん、面白そう!となって
    早速図書館で借りてきました。

    ところがその後の調べでボウエンさんは
    どうやらお初ではないことが判明。

    とにかく粒ぞろいで最高だった
    「20世紀イギリス短篇集」の中の
    『幽鬼の恋人』って言うの、ボウエンさんだったのね。

    これ、この作品も「…!…えぇえ~…(怖い)…」って
    元気なくなるほどだったのだけど。

    今回のこの短篇集、
    どれもこれも「感覚」がはっきりしていて、
    読んでいる私もどんどん色々と研ぎ澄まされて行く感じ。

    どこかマンスフィールドに似ている気がする。

    例えばさ、
    大きなお屋敷にちょっとなにか人が集まって、
    それぞれの人の紹介とか、服装の話とかがあって、
    さらにそこに、心霊が関わるってのがもう、
    私の大好きな展開ね。
    なにかお屋敷に曰くがね、曰くがあるのがいいのよ!

    そんな訳でこの中の「猫が跳ぶとき」なんて素晴らしいわ。
    (ちょっと事件の模様が残酷過ぎるきらいはあるけれど)

    あと「アン・リーの店」って言うね、
    お洒落な帽子屋を経営する美しい女のひとの出てくる話、
    もう、これなんか最初のところから
    「これは、傑作だ!」ってピーンと来ちゃって、
    読み終わってすぐ、また読んじゃったくらい。
    このしょうもないごく普通の女二人連れとの対比が最高。

    ある殺人を扱った「告げ口」も、
    売る事になった家に集まった家族の話、
    「古い家の最後の夜」も、
    秘密のある家庭教師「割引き品」も、
    美しい姉妹が登場する「手と手袋」も、

    どれもこれも胸にぐっと来て
    「これはもちろん私用の話だ」と
    勝手に独り占めにする気分。

    その他のボウエンさんの本、
    また沢山借りてきたけれど、

    この本は買うかもしれない。

  • エリザベス・ボウエンの短編の中から、ミステリとしても読めるものを集めた選集の第1巻。
    『ボウエン・ミステリー短編集』と副題にはあるが、ジャンル読者が考える『ミステリ』とは一線を画したものばかりが収録されており、雰囲気的には国書刊行会の『ボウエン幻想短篇集』に近い。序文でアガサ・クリスティと比較されているが、ちょっと違うんじゃあ……?

    収録作はどれも20ページ前後、人間心理の綾に焦点を当てたものが多いので、サスペンス、ホラー短編として読むことも可能。表題作にもなっている『あの薔薇を見てよ』の余韻が素晴らしい。『手と手袋』の滑稽さと悲哀のバランスも良かった。

  • 原著で読みたい!と思わせる作品群。一気に惹き込まれる冒頭から展開のすみずみ、そして物語のおさまり。ワクワクさせられ、そして想いを馳せる楽しみ。

  • ミステリーという副題だが、どちらかというと幻想小説集だと思った。どの話も澄みわたり、恐ろしいほど寂しい。
    小池滋氏に師事したという訳者のなみなみならぬイギリス文学への思い入れが、美しい文章から伺える。
    エリザベス・ボウエンを知らなくて、最初はマージョリー・ボウエンかと思って手にとったのだけど、その偶然に感謝。

    「アン・リーの店」、「父が歌った歌」、「林檎の木」、「幻のコー」が良かった。
    登場人物、特に女性が魅力的。

  • 少女を主題とした作品も多く、特に「チャリティー」「ザ・ジャングル」では、あの時代の捉えどころのなさやひりつくような心情が鮮やかに描き出されている。同時にボウエンは少女的なものに疎ましさを感じてもいたのか、と思ってみたり。生計を立てているという意味では自立した女性ではあっても、社会的地位は高くなかった、当時のお針子や家庭教師といった職業婦人の、隙がなく謎めいた描き方には、田舎屋敷のお嬢様であったボウエンの意識が反映されているのかなぁと思ってみたり。
    どの作品も印象深いが、スタイル重視で感情に流されることのない夫の、舞台でいえば、暗転後の行動を想像させて怖い「段取り」、除隊後の生活に苦しむ父親への娘の愛がせつない「父がうたった歌」、何が何でも結婚せねば・・という姉妹の執念が愚かで悲しい「手と手袋」、おせっかいで毒舌家で、というおばさんの典型のような夫人が若い娘にとりついた幽霊を退ける「林檎の木」がよかった。
    それにしても、この訳者の日本語の選び方はどうなんだろう。“情報不足の目で男を見た”(「アン・リーの店」)って・・・・(原書ではlooking at the man not quite intelligentry)。あとがきの作品解説でも、それは違うんでは・・・と思うものもあり(「手と手袋」など)、なんだかなあ・・・

  • マリア チャリティ ザ・ジャングル

  • どの話も終わり方が絶妙で想像力がかき立てられるのが良い。

  • たとえば、向こうから投げられたボール、テニスボールくらいなもんだろうと、思ってたら受け取れば、何でこんなに重い?
    ずしっと重みを感じて、たじろぐ。
    たとえば、話ずきの猫が、面白い話をしてくれてる。話に引き込まれて、聞いていれば、つと
    「話はここまで」と突然やめて、どこかへ。
    ほんとに猫がどこかで、「話はココまで、あとは自分で・・・」と言われてる気分。
    話は佳境へ、さてどうなる?って思った矢先におしまい。
    「おい、こらまてっ、どうなるんだ、この後」と一人ごちてしまった。でもこの感覚は癖になる。
    さて次の話はいったいどこまで語ってくれるんだろうか・・・予想は大概はずれるのだけど。
    作者、ボウエンは、日本ではあまり有名ではない、翻訳されたのもごくわずか。(でも、不思議、この本は図書館にリクエストしたもの(昨年の12月はじめ頃)
    やっと手元に来たのは今月のはじめ、約2ケ月も待たされた。
    その上、「次の方がいますので・・」(延長は不可)と図書館の人言う。
    妙に引っ張りだこ。)
    「ミステリー短編集」と副題はついてるが、いわゆる謎ときではない。
    緻密な文章、一見すれば絵になる風景、そして、人がつむぎだす「魔」そして「秘密」
    少女のアンバランスな心の風景。
    「あの薔薇を見てよ」
    バラが恐ろしいほど、違和感あるほど咲き誇っている家の中にすむ母娘
    そこに惹かれるように訪れた、不意の客。
    「値切り品」
    さほど、裕福でない家庭、有能な家庭教師は、なぜそこに。
    中には、主人公の心的情景が、なんかよくわからんな、と思うものもある。
    でも、読まずにはいられない、不思議な魅力。
    やはり「魔」かな。

  • ミステリーと言っても事件が起きて犯人を割り出して・・・というのではないです。全てを明らかにせず、敢えて隠すことで読者に想像させ怖がらせる。恐怖は明文化すると限界ができてしまうけど、想像力にゆだねられるといくらでも膨らんでいくんだということが分かりました。多感な少女の想像力を描いた作品を多く残していることからも、この作家さんの「想像力」を大切にする姿勢が見える気がします。それだけに読む方にも想像力が必要。怖い話は本当に怖いです。でも想像できないと、何が言いたいの?で終わってしまいました。

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著者プロフィール

1899年、アイルランドのダブリンに生まれる。
7歳でイングランドに渡り、以後、ロンドンとコーク州にある邸宅(ボウエンズコート)を行き来して過ごした。1923年に短篇集”Encounters”を刊行。26年最初の長編小説”The Hotel” を書き上げる。生涯で10編の長編小説と、約90の短編小説を執筆。48年に大英帝国勲章(CBE)を受勲。64年に英国王立文学協会より文学勲爵士を授与される。晩年の作「エヴァ・トラウト」は70年のブッカー賞候補となる。1973年ロンドンに没する。


「2016年 『最後の九月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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