忍性:慈悲ニ過ギタ (ミネルヴァ日本評伝選)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623041503

作品紹介・あらすじ

忍性(一二一七〜一三〇三)鎌倉期の律僧。叡尊の弟子。ハンセン病患者への偏見に満ち溢れた時代、文殊信仰を背景に救済を行った忍性。本書は叡尊・忍性らの活躍を、鎌倉新仏教団のもう一つの典型として捉え直す。忍性が生きた時代と全国各地への展開を追い、「生身の菩薩」忍性の生涯を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 世界がマザー・テレサを賞賛するのなら、日本人は忍性を賞賛するべきだ。信仰心を基盤にした福祉活動はそれだけで効力が2倍2乗される。

    現代は、福祉と医療と宗教が切り離されている時代。
    それは奇しくも、老・病・死のケアが切り離された施設でなされていることを意味する。とっても非合理的である。

    忍性の極楽寺は、老人をも、病人をも、死人をも受け入れた一大ターミナルケア施設である。

    この本を読んでいると、宗教なき医療の、宗教なき社会の限界を見た。

    また、忍性のすごいところは、東大寺勧進も務め、鎮護国家の加持祈祷もし、仏師や石工らも率いたとこ。(忍性の五輪塔なんて、素朴にして美しい!)

    布教だけが僧侶の仕事ではなかったのです。

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著者プロフィール

松尾 剛次:1954年長崎県生まれ。日本中世史、宗教社会学専攻。山形大学名誉教授。東京大学大学院博士課程を経て、山形大学人文学部教授、東京大学特任教授(2004年度)、日本仏教綜合研究学会会長を歴任。1994年に東京大学文学博士号を取得。『勧進と破戒の中世史』『中世律宗と死の文化』『新版 鎌倉新仏教の成立』(いずれも吉川弘文館)、『仏教入門』(岩波ジュニア新書)、『破戒と男色の仏教史』『葬式仏教の誕生』 『知られざる親鸞』(いずれも平凡社新書)など、著書・論文多数。

「2022年 『日本仏教史入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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