しぐさの民俗学: 呪術的世界と心性

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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本棚登録 : 137
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623046096

作品紹介・あらすじ

本書では、呪術的な意味をおびたしぐさを取りあげて、多様な伝承の実態を紹介するとともに、しぐさの背後に横たわる民俗的な意味や伝承の論理について考察する。また、災害時に発する大声や生理現象であるクシャミ、発話や動作の同時現象といった民俗に着目し、伝承の諸相を提示すると同時に、そこに表出される感覚や心性について論じる。しぐさの呪的な意味が解き明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • 民俗的な要素を持つ仕草の具体例が多く取り上げられていて面白かった。表紙は狐の覗き窓のポーズ

  • 飲み物を飲む前に息を吹きかける、”えんがちょ”、×印をつける、くしゃみの後の合の手、といった古くからある呪術的行為から”ハッピーアイスクリーム”まで、さまざまな俗信 −ちょっとしっくりこないが本書ではこれらを“しぐさ”という言葉でくくっている− に潜む日本人の意識や心性を考察した本。
    何かの隙間や穴からのぞくと見えるのは異界であるとか、「苦手」の語源となっているニガテ・アマテの言い伝えとか、1つ・1回を忌む物事、”1か所に2つ””同時に同じ”を忌む物事についての分析など、実に面白くて興味深い。

  • たのしい

  •  「ふうふう」と息を吹くのは、ホコリだけでなくケガレも取り除くときにも使える?
     霊柩車に出会ったら親指を隠すのはどうして?
      「エンガチョ」ってそもそも何?

     息を吸ったり吐いたり、指を組んだり、じゅもんを唱えたり。人がする“しぐさ”には心理的要因が全てではない。民俗的背景もあるのだ。
     小さい時分から両親や祖父母や近所の人から教わり、この先きっと自分や近所の子供に教えることになるであろう、数多の「オマジナイ」。その成立過程や背景の解明を試みた、身近な民俗を学ぶにあたって格好の本。

     こういう“しぐさ”を「迷信」の一言で片付けたりバカにしたりすることは簡単である。では寺社仏閣に詣でたり、お祓いを受けたり、そこで授けていただいた御守を首から下げたり鞄に付けたりすることは迷信ではないのか。寺社仏閣と民間信仰とにあるのは「格」の違いだけで、根底にある「祓い」「厄除け」という呪術の思想は同じなのだ。
     なにより、こういう“しぐさ”はいざという時、とっさの時に行える簡易ながらもちゃんとした呪術なので、とっさにできるほど覚えておけば、急場での精神への負担軽減になるはずである。
     また、創作物の中で時折見られるこうした“しぐさ”への理解を深めるうえでも、役に立つだろう。

  • 未開社会の不思議な風習。でも、当事者にとっては当たり前のこと。

    例えば、貴方の部屋の扉をノックする音が一度だけ「トン」と鳴ったら、気持ち悪くないだろうか。ノックは2回。なぜ2回?
    他にも、鉛筆をアタマとお尻両方から削ることのタブーは、両頭ヘビに由来する?とか、じゃんけんの時に異界をのぞく仕草とか、結局、我々もある種の呪術的世界に生きていることが解り興味深い。
    しかし、その一方で、昔はあったけど今はない風習もあるわけで、色々な事例を考察してみたくなる一冊。

  • 初版:2006/09/20
    第4刷:2006/12/30

  • 2009年度  54冊目  4月12日

  • 驚きと納得、それから「ほんまかぁ?」という疑問や興味を呼び起こす。酒の肴に◎

  • この本に書いてあるようなことを調べて暮らしたい。

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著者プロフィール

1948年、高知県生まれ。国学院大学卒業。民俗・口承文芸を研究。著書に『学校の怪談』(ミネルヴァ書房)、共編著に『三右衛門話──能登の昔話』(桜楓社)、『日本伝説体系』第5巻(みずうみ書房)、『昔話・伝説小辞典』(みずうみ書房)、『ガイドブック日本の民話』(講談社)他。

「1993年 『土佐の世間話 今朝道爺異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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