ひとがひとをわかるということ 間主観性と相互主体性

  • ミネルヴァ書房 (2006年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784623046829

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  • 265 大人の都合や願いを前面に押し立てて、それを「子どものため」と思い込み、早い発達を期待するなかで「させる」働きかけを強め、大人の敷いたレールをひた走りに走らせことが「育てる」ことであるかのような錯覚---

    育てることとはなんであろう、と考えさせられた。人が人をわかろうとする気持ちが保育や教育には大切で、できるようにさせる、というのはおこがましく、「〜である」子どもをありのまま受け入れ続けることが、「〜なる」への成長へとつながるので、そういう関わり方やおおらかな気持ちでの見守りが大切だと学んだ。

  • 著者の鯨岡先生は、京都大学の名誉教授である。これまで、養育や保育、教育のフィールドに臨み、人々の多様な生き様に接する中で、そこに生まれてくる諸問題を取り上げ、考察しようとされている。

    長年研究していく中でこの方は、「相互主体性」という概念にたどり着く。それまで数々の本を書いて世に送り出しても、生き様に迫るための何かが欠けていると感じていたそうだ。

    著者は、相互主体的関係についてこう語っている。「お互いに主体である者同士が関わり合うとき、そこに繋がりが生まれるときもあれば、繋がりえないときもある。それでもお互いが、相手を主体として受け止め合えば、そこに共に生きる条件が整う。」P.37より引用

    本書では、相互主体的な関係という観点から、子どもと大人の共に生きる関係について、乳幼児期の観察事実を詳しく分析して、この観点を活かす方向性を示されている。

    これから親になる方、すでに親の方、乳幼児と接する機会のある方は、とても感心できると思う。

    ただ、前半は専門的な用語が多く理解するのに時間がかかった。

    後半は事例と考察が書かれており、誰が読んでも分かりやすい内容になっていたと思う。

  • 仕事で必要に応じて読んでいます。
    具体的なエピソードと写真が載っているのが役立ちます。

    相互主体性、という筋は、なかなか難しい時もありますが、大切にしたいものです。

  • 鯨岡先生の微妙な言い回し方のズレというか違いが、この本で整理できた!とても深い本。

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著者プロフィール

中京大学心理学部教授。京都大学博士(文学)。専門は発達心理学、発達臨床心理学。関係発達論の提唱者。
1943年生まれ。京都大学文学部哲学科卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。島根大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、2007年より現職。
近著『〈育てられる者〉から〈育てる者〉へ』(NHKブックス、2002年)、『エピソード記述入門』(東京大学出版会、2005年)、『ひとがひとをわかるということ』(ミネルヴァ書房、2006年)『障害児保育』(ミネルヴァ書房、2009年)、『エピソード記述で保育を描く』(共著、ミネルヴァ書房、 2009年)、『保育・主体として育てる営み』(ミネルヴァ書房、2010年)など多数。

「2011年 『子どもは育てられて育つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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