- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623049776
感想・レビュー・書評
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日本が韓国を植民地化した大正の頃、和合のための政略結婚で李朝最後の皇太子だった李垠と結婚した梨本宮方子さまの評伝。方子さまといえば本書の副題にもあるように、戦後韓国へ渡り、現地の障害者福祉や児童福祉に専心した人物という何となくの知識だけをもっていたんだけど、そのへんをもっと詳しく知りたいと思ったから読んでみた。
本書はどちらかというと人生後半の福祉活動のことよりも、いわゆる戦前・戦中までのことに紙幅が割かれている感じ。皇族として何不自由なく育ったお嬢様なわけだけど、自分の意思とは関係のない縁談を、両国の橋渡し役になろうと受け入れるあたりにも、常人を超越した徳のありようを感じる。結婚後も仲むつまじい結婚生活ではあったようだが、それはおおよその話で、両国の間にはさまれたり時代に翻弄されたりと並大抵でない経験をしたのだと思う。それらもすべて覚悟のままに受けとめているかのような生き方は、読んでいても気持ちがいい。「やんごとなき」方々って常人離れしているだけに、人生との向き合い方も一本筋が通っている気がする。一韓国人となって韓国の福祉向上に邁進し、韓国で生涯を終えた方子さまなど、まさしく好例だ。
ともあれ、福祉活動のことをもっと詳しく書いてほしかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
李王家最後の皇太子妃、日韓の狭間に揺れた流転の生涯。
[ 目次 ]
第1章 梨本宮方子の日々(方子の生まれた年;世界大国への道;学習院女学部時代;皇太子妃候補)
第2章 李王族の一員に(婚約発表;皇室典範増補;結婚の延期;婚儀)
第3章 動乱の時代(光と闇;晋の夭折;関東大震災;方子の妹と兄)
第4章 流転(王族妃のつとめ;王公族廃止;李承晩から朴正煕へ;福祉事業へ)
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